Reboot

私は病気を持っている

いきなりこんな話もなんだと思うが、双極性障害Ⅱ型という病気で、まあ、わかりやすく言えば躁うつ病。
気分がやけにハイになったり、かと思えばどーんより沈んで何もしたくない…　となってしまう、鬱です。

私の症状は軽いほうで、落ち込むこともハイになることもあまり変化がないタイプ。
躁鬱ってもっとヒャッハー！となったり、もう死んでしまいたい…となったり、浮き沈みの激しいものと思いがちだけど、私はそうではない。

わりと“普通”に見られ、自分でもわりと“普通”だと思って生きてきた

だけどやはり沈んでしまって、つらい日々を過ごしたこともある。

双極性障害Ⅱ型は、Ⅰ型と違って鬱の期間が長い。

どうにも気分が優れず、トイレと布団の往復だけという日々が続いたこともあった
食べ物を食べたいと思わない。
おなかがすかない。
動けない。動きたくもない。

精神科病棟に入院したこともあった
ウワサでよく聞く、外鍵の付いた病室。

部屋には便器とベッドしかない。スマホは禁止。面会は許可制。
頼めば売店でお菓子が買えたらしい（買わなかったが）

ぶっちゃけ、記憶はそれくらいしかない
記憶力も無くなるみたい。

だけど、そんなどん底から明ける時が来る。
希望が見えた！　

薬が合ったのだ。

今まで何をどう飲んでもあまり効かなかった（と思う）薬を変えてみたら、気分が落ち着いてきた感覚があった（一週間くらいかけて実感していた）

そこから１日１日をどう過ごしたかは記憶にはないけれど、なんとかやってこれたんだと思う

だけど、また別の意味でつらい日々が始まってしまう。

少し良くなってくると、今度は「いつまで薬を飲み続けるの？」
「早く完全に元気になりたい」「以前の私って、どんなだっけ？」
という思いが強くなる

社交的でしたか？
よく喋るほうでしたか？

もう、わからない。以前の“私”がわからない。

元気になりたい。
前みたいに戻りたい。元気な頃に戻りたい。

残念ながらこの病気に『完治』はない

とにかく、元気な頃の自分に戻りたかった

薬の影響で体重も増え、余計に前の自分に戻りたい戻りたい戻りたい

ずっと思ってた。

ずーっと思ってた。

　

でもある時、ふと、思ったのだ

“戻る”って、どこに？どこまで戻りたいの？
戻ってどうする？

私は前に進みたいのに、戻ってどうする？

戻ったとしたら？私は元気だ！っていえるの？

昔に戻ることだけが、元気な頃の自分に戻ることだけが元気の証ではない！と思った

「これから」を思うと、急に不安になってしまったけど、
私は前を向いて進むために、まず自分を受け入れる準備をした。

気持ちの準備。　

外を歩いてみたり、ストレッチをしたり、美味しいものを食べたり
少しずつ自分を認める作業をしていったの。

私の『今』が『これから』を作る。

気持ちが前向きになってきた

本当の意味で『前向き』になれそうな予感がして、自分に自信を持ったのを覚えている。
私はこれでいいんだ。
前を向いて歩いてみよう、そう思えた

そうしたら、わかった。

戻りたい、戻らなきゃ、は思い込みだったのだ

戻ったって、あの頃の私はもう居ない

元気な頃に戻る、じゃなくて
常に新しい自分を作っていこう、新しい自分でいけばいいんだと
思えるようになったのは、双極性障害Ⅱ型の診断を受けてから8年経ってだった

思い込みから解き放たれた私は、前向きに、ずっとこの病気と共に生きていく。

人生の“Reboot”

#思い込みが変わったこと