寄生からの脱却

この世界では何かと個性が要求される。しかし、人間そう簡単には自分の個性に気づくことができない。だから、みんななりたい自分像を探し、そのロールモデルの生き方を学び、真似をしていくことで個性を磨いていく。

しかし、今の僕は、なりたい自分像が分からない。
将来の進路などを考える時期になってきたが、全く自分の希望が見えてこない。

子供の頃は、自分の中から湧き出る力でがむしゃらに我が道を生きていくことができたけれど、今は何にも湧き出てこない。誰かから道筋をもらわないと生きていけない。そんな体になってしまった。


突然だが、アフリカでよく耳にする感染症にマラリアというものがある。このマラリアは、蚊によって媒介されたマラリア原虫という寄生虫によって引き起こされる。

そのマラリア原虫という寄生虫は、かつて光合成をしていて、自前でエネルギーを得ていたと考えられているが、今では全く光合成を行わずに動物に寄生し、宿主からエネルギーを得ることで生きている。


そうだ。僕はマラリア原虫と同じ運命を辿ってしまったのだ。僕も子供の頃は光合成をして自前でエネルギーを作り出していた。しかし、気づいたときには、光合成を行うための葉緑体は持っているけれど、肝心の使い方が分からなくなって、誰かから道筋という名のエネルギーを受け取るだけになっていた。


「誰か寄生させてくれぇ~。」


情けないが、今の僕はただそうやって叫んでいるだけだ。いつかは寄生生活から脱却して、このガラクタでしかない葉緑体を使いこなし、自分の力で生きていけるようになりたいと思うけれど。


う~ん、まだ他人任せの僕には想像ができない。

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