未明ライナーノーツ③「惑星SOUL」
https://open.spotify.com/intl-ja/album/1ZTBIoMaUmEYVoImJHHmeS?si=xCTdLOwCSF2c4IdLLT70vA
ギターカッティングをフィーチャーしているが、制作初期段階ではエレピとシンセだけのテクノポップだった。それゆえ、初音ミクなどのボカロ曲として仕上げようかとも思ったのだが、先述の通りアルバムは自分の声で残すと決めていたので、そこからはブレないようにした。
制作時期が、例のソウル・ファンクバンドでの動きが活発な頃(2023年の初夏)で、自分もプレイスタイル模索のためにいろんな音源をメルカリやCDショップで入手したり、YouTubeで聴いたりと貪欲になっていた時期。それであのギターカッティングとベースラインに着地したという次第。ソウル・ファンクのある種王道的なプレイのなか、独特の「熱く冷たい」質感が生まれたのがこの曲ならではマジックか。
あとコロナ禍の時に、香港のバンド「BEYOND」の曲も結構聴いた。ギタリスト「Paul Wong」の「何車」は、「オリエンタル・ファンク」とでも呼ぶべきか、二胡とファンキーなバンドアンサンブルの絡みに衝撃を受けた。今回のアルバムを作る大きなきっかけになった一つ。
https://youtu.be/rUARPZ3lo3k?si=90p7e5xU6PsQCGt5
このアルバムの制作後期は、楽曲のメロディを特に意識していた。過去の「denki-bran」「ele-mental」は、楽曲を作ると言うよりは、「抽象画をDAW上で描いている」ような意識だったように思う。しかし、どこか無計画に作っていた弊害として、メロディがどこか不自然で歌いにくかったりすることが多かったので、自分で弾き語ったり、ライブで再現できそうな曲は、せいぜい「恋は無問題」くらいだった。(本作でも収録。)
ちなみに制作前期のインスト曲(「飲茶」「T.S.Q.」「Shenme Mingzi?」)や、「地球の裏側で」「雷雨」はわりと展開がシンプル。中でも「地球の裏側で」「雷雨」は、いわゆるAメロBメロサビの形態を取らず、わりと抽象画寄りなんだけど、結果としてメロディも納得いくものになっていた。
この「惑星SOUL」のトラックができた時は、これまでになかった大きな手応えを得た。が、手応えとリスナー数・反響は比例しないのが現実。どうやったらリスナー数って増えるものか。
仮タイトルは「恋する惑星」。言うまでもなく同名の映画から。トラックのエレピの音色、ファンク的リズムあたりから連想して、「ソウル(音楽ジャンル)」→「ソウルメイト」「ツインソウル」的なキーワードから作詞に取り掛かったような…。歌詞の中には、「恋する惑星」や「天使の涙」を彷彿とさせるキーワードが並んでいて、並んだ時のその支離滅裂さに多少「電波」っぽさが滲んでいる。
シングルとして既発の曲だったが、ミックスのバランスを再調整しつつ、テルミンを追加したのが今回のアルバムバージョン。「電波」「テレパシー」「未来に手薬煉引かれる」感を出そうとしたのだけどどうだろうか。一応言っておくと、スピリチュアルどっぷりの世界観ではない。「ソウルメイト」が本当に存在するかは知らないけど、居たら素敵だよねって話。多少屈折しているのだけど、未来に対する希望の歌だと自分は思っている。
一人で絞り出した「メイク剥がれるほど 心から笑いたい」というセンテンスに偽りはなかったのだ。
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