マンガでやさしくわかるアサーション 人間関係で悩んでいるあなたに

平木典子=著 星井博文=シナリオ制作 サノマリナ=作画 

発行所=日本能率協会マネジメントセンター

 アサーションは説得術や印象操作の技術ではなく、自分も相手も大切にする、「自己表現型」の対話術の一つ。

 アサーションを身に付けると、一方的に我慢することも諦めることもなくなる

あなたはどのタイプ? 3つのタイプの自己表現

非主張的自己表現

Q1. 外食先でオーダーと違ったものが出てきたら、あなたは黙って何も言わずに笑顔で受け答えをしてしまいますか?

 もしそうなら、このタイプに近い。具体的な特徴として、

・自分の気持ちを表現しない

・曖昧な言い方

・言い訳がましく言う

・消極的な態度

 自分の考えや気持ちを言わず、言いたくても自分を抑え、結果として相手の言うことを聞き入れてしまう。そして、欲求不満や怒りが溜まって人と付き合うのが面倒になる。

 また、自分を後回しにする人は自ら犠牲になるだけでなく、自分の1番身近な人を巻き込んで相手を犠牲にし友人や家族の関係が続かなくなったりする。職場のストレスを家に持ち帰ってしまい、ギクシャクするのがオチ。

 守るべき相手は、偉そうな上司や同僚ではなく、自分の大切な人だということを意識するべき。彼らのためになら、アサーティブに自己表現できるようになる。

攻撃的自己表現

  オーダーと違ったものが出てきたら、中には大声で怒鳴って注文通りのものを要求する人もいる。

 自分の意見や考え気持ちをはっきり言うことで、相手の言い分や気持ちを軽視して結果的に相手に自分を押し付ける言動なこと。

 派生系として、「本当の自分」、「自分の心」に正直になりたいからと、ズケズケものを言うタイプもいる。果たしてそれがwin-winなのかは言うまでもない。生意気とアサーションは同じではないのだ。

アサーティブな自己表現

 自分の考えや気持ちなどを後回しにしたり、ごまかしたりせず自分でまずはっきりさせる。そしてそれを伝えた方が、自分も相手も大切にしていることになるかどうかを判断する。そうなら、正直に、相手にわかりやすく伝えてみようとすること。

自己信頼とアサーション権

自己信頼とは自分をあてにできること

 つまりは自信のこと。自分ができる事は実行し、できないことを認めて助けを得ることから培われる。

 攻撃的な人は自信がない?

典型的な例)「コーヒーが欲しい」「コピーをとってきて欲しい」

 自分ができることでありながら、何らかの理由で「助けが欲しい」、「お願いしたい」と言うことであれば、そのように伝えれば助ける人はいるだろう。しかし自分は「助けが欲しいと言いたくない「断られるのは嫌だ」と思っていると、命令することになる。

 その結果、命令を断られると、嫌みを言って仕返しするようになる。

アサーション権とは

世界人権宣言第19条とアサーション権--大きく分けると2つ

「私たちは誰もが自分らしくあって良い」

「人はだれでも自分の気持ちを考えかたを表現して良い」

 「誰でもやって良いこと」を具体的に知らない時、私たちは非主張的な表現で自分の人権を無視したり、攻撃的な表現で相手の人権を(無意識に)犯したりする。

 権利を無視して攻撃的になっている上司や部下には、無視しないで、きちんと受け止めてほしい気持ちを伝える

 考えている事や意見を変えても良い

 人は一貫性を維持したいと思うが、ときにはそれは相手を大切にしていないだけでなく、自分も大切にしていないことにもなる。相手が譲歩する姿勢を見せたら、自分も今までの感情を持ち越さず、自分の気持ちを変えて、「できる時はやりますよ」と伝えていく。

考え方をアサーティブにするには--4つのStep

Step1. 相手の物の見方を理解する

 人は皆周囲の環境に合わせて、異なったものの見方、考え方を身に付けている。言い争いは基本的に相手の「べき」と自分の「べき」の覇権争い。だったらまずは、相手が何を考え方の根拠にしているのかを把握する。

Step2. 自分の考え方を知る--思い込みに縛られない

 アサーションの第一歩は、自分の気持ちを明確に把握すること。メタ認知。自分の感情に気がつき、その気持ちをありのままに受け入れ大切にすること。

 時々「私は」と言う主語をつけて訓練するとメタ認知しやすくなる。

 そして、自分の思い込み、つまり「〜べき」と思っていることを精査してみる。 

 その次に、相手の「べき」に対して、どのような気持ちになったのかを認識する。

Step3. 気持ちに素直になる

 本来、気持ちや感情は周囲の刺激に対する自分の独自の反応。しかし人間は考え方が影響して感情が作られることもある。「このような時はこのような感情を持つはず」と思わなければ、どんな感情を自分の感情として持っても良い。そしてそれを変える権利も自分が持っている。

Step4. DESC法を使う

D=Describe:主観を交えず客観的事実、つまり自分が対応している状況や、相手の行動を描写する。

(例)「打ち合わせの時間が15分オーバーしていますね」


E=Expression:相手に共感したり自分の主観的な気持ちを表現、説明する。

(例)「皆さんも次の予定があるのではないか」と相手の状況を思いやり、そして自分には次の予定があることを伝える。


S=Specify:相手に望む行動、妥協案、解決策などの特定の提案をする。

(例)「一旦まとめて、次の日程を決める」


C=Choose:提案に対する肯定的・否定的結果を想像し、その結果に対する選択肢を示す

(例)他の人が話し合いを続けたい場合→「自分は先に失礼する」

「切り上げてもよろしければ近日中に私から連絡します。もしこのまま続ける必要があるならその話はあと10分ぐらいでできますか」


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