なんでアスパラにしたの?③ 軽い野菜だから。すごく大事なこと。

先だってから書いている、「なんでアスパラにしたの?」の③です。

②は設備と技能面に絡めての内容でしたが、今回はアスパラガスの「軽さ」に注目したいと思います。
アスパラガスを食べたことがある人・スーパーなどで買ったことがある人であればわかると思いますが、アスパラは野菜の中でも「軽い」方の野菜です。
その「軽さ」のわりに単価が高い野菜でもあります。

そして、「軽い」=「作業をしていて体の負担が少ない」ということでもあります。これはものすごく大事なことです。とくに、男性と比べて非力な女性にとって、すごく大事なことです。

たとえば、同じ1キロ分の重さの野菜たちが、値段が高い順に並べられていたとしたら、アスパラはかなり上位の方に来ると思います。
そして、ピーマンのような中空構造になってもいないので、かさばることもありません。

キャベツ1玉とアスパラ1束が同じくらいの値段であることも多いと思います。なんだったら、アスパラ1束の方が高いこともあると思います。これが結構大事なことなんですね。

まず、「軽い」ということは「収穫作業がすごくラク」だということです。

たとえば、野菜を収穫してコンテナ台車に積んでいった時、キャベツだとすぐいっぱいになってしまうので、畑を何度も往復することになります。しかも、場合によってはキャベツ畑はコンテナ台車が入るような構造になってないので、背負いカゴに1個ずつ入れていくしかありません。その場合、超重労働です。やったことありますが、絶対にキャベツ農家にはならないとその時誓いました。

しかし、アスパラの場合は、だいたいは畑じたいがコンテナ台車の使用が可能な構造になっていますし、コンテナがいっぱいになるのもだいぶゆっくりです。ピーマンなどのような中空構造でもないし、ナスのような複雑な形状でもないので、かさばらないし、積み上げやすくもあります。コンテナがいっぱいになったらかなり重くはなりますが、台車が使えるぶん、だいぶマシです。重労働といえば重労働なのですが、農業の中では「軽作業」と言ってもいいと思います。

だいたいの農作物は重たいものがほとんどです。1個1個は軽いのですが、販売単位にした時はとてつもない重量になっているものがほとんどです。

それに、ある程度の期間、毎日のように付き合っていくと、体への負担がとてつもなく大きくなっていきます。重たい作物と毎日付き合っていると、足腰を痛めることも多いですし、疲労も溜まっていきます。

これらの収穫作業での身体への負担が少ない、というだけでも、相当なメリットなわけです。

そしてさらに、「軽い」からこそ、お土産にしやすかったり、かさばらないから荷姿が小さくなるので、ネット通販に向いていたり。卸で売るにしても、送料が少なくて済む、というのは地方の農家にとってはかなりありがたいことです。

などなど、販売に関してもいろいろなメリットがあるわけです。

実は、アスパラガスは全国各地で、女性が主体になって栽培を進めていることが多い作目でもあります。その大きな理由が、やはり、「軽い」ということ。

その作目じたいの特徴に注目して、自分に適性があるかどうかを検討して作目を選ぶのは、すごい大事なことだなと思っています。

私の場合は、アスパラって女性がやってることが多いらしいよ、という話を聞いて、いろいろ調べたり、研修をお願いしたりして、こりゃ良さそうだ、と判断して、今に至ります。

他にも栽培する作目の候補としてブルーベリーやイチゴなんかもありましたが、結局はこの「軽さ」でアスパラを選びました。

まだ収穫がはじまってないのでなんともですが、まあ、悪い選択肢ではないだろうとは思っています。



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