アスパラガスの土づくり①

今年の3月末から4月頭にかけて定植したアスパラガスですが、今のところとっても順調です。
病気ひとつ発見できていません。
たまに虫に食われていますが、被害はごくわずかと言っていいと思います。

で、アスパラガスをつくってます、と言うと、よくかけられるのが、
「すごく病気出るよね?」という言葉。
アスパラガスというと、病害虫が出やすく、殺菌消毒や殺虫剤が欠かせない作目というイメージがあります。
私もそうでした。だいたいの栽培指導書にはとにかく欠かさず殺菌消毒をすること、殺虫剤を撒くこと、と書かれています。

「有機栽培でアスパラガスをやりたいなあ」とは思っていましたが、このイメージがゆえに、植えてからも、
「まずは無農薬でやってみる。どうしても無理になったら減農薬の特別栽培に切り替えよう。そこでも無理だったらふつうに農薬を使う栽培にしよう」
と思っていました。

結果、今年はほとんど病気が出ず、たいへん順調、という。
むしろ少し秋収穫をしてもいいのではないか、というくらいには大きくなりました。
1年目だと、草丈は腰くらい、大きくなっても胸のあたりまで。と言われていたのですが、半分くらいの株は私の身長(164㎝)くらいには大きくなってきています。やはり、順調と言ってもいいのではないか。
ごく一部ですが、ふつうにスーパーなどで売ってるくらいの太さの芽も出てきています。

こんなに順調でいいものか、と疑問を感じるくらいには生育が順調です。
で、生育が順調なことはともかく、病気がほとんど出ないことについては、心当たりがあります。

アスパラガスの栽培をする、と決めて、いろいろ調べたり、人に話を聞きにいったりした時に、ある仮説を立てました。
それは、
「アスパラガスが『病害虫に弱い』という定説があるのは、そもそも最初に肥料を入れ過ぎるからなのではないか」
というものです。

アスパラガスを栽培する時によく言われるのが、
「10年植え替えをしない作物だから、植えるときに10年分堆肥をやりなさい」
という言葉です。
アスパラガスを栽培する時には、通常の、たとえばナスとかトマトのような一年生の果菜類の10倍の堆肥や肥料を入れるように指導されます。
ナスやトマトだと、1反あたり1トン程度の堆肥を入れるように指導されますが、アスパラガスだとその10倍の10トンを入れるように指導されます。
可能であれば20トン入れた方がいい、と指導されるときもあるようです。

しかし、別の定説で、
「作物を栽培する時には、肥料をやりすぎないように気を付けた方がいい。肥料をやりすぎると、作物じたいが弱弱しい生育になり、病害虫に弱くなる」
というものがあります。これはほとんどの作物に適用される考えです。
私の過去の経験上、これはほぼ100%正しいと思っています。
だいたいが、肥料をいっさいやらないよりも、肥料をやりすぎた作物の方が弱弱しい生育になります。
ある作目で実際に目にしたことがありますが、とにかくヒョロヒョロとした生育で、丈ばかり高くなって葉がほとんど出ず、出ても細い葉ばかり、という状態でした。ほとんど収穫もできなかったようです。
しかし、なぜかアスパラガスだけが、この定説が適用されず、多肥栽培が標準となっています。

で、
「多肥栽培が基本のアスパラガスであっても、初期成育を確保できる程度の量の肥料だけ入れて、足りなそうだったら、その都度液肥などで補った方が、ムダな病害虫の被害も防げるし、消毒や殺虫剤も使わずに済むのではないか」と考えて、その通り実践してみたのでした。

結果、現在、たいへん順調にアスパラガスが育っています。

……と、ここまで自分ひとりですべて考えたように書きましたが、やはりいろいろ最新の資料なども調べていくと、
「植えてから10年経ってアスパラガスの株を掘り返してみたら、下の堆肥がぜんぜん分解してなかった。堆肥を大量に入れた意味は無かったようだ」
「最近はアスパラガスも肥料をやりすぎないのがトレンドで、堆肥をたくさん入れるよりも緑肥などを作った方がいい」
などなど、いろいろな意見も目にしたので、この方針に決めたのでした。

とまあ、方針としては以上の通りでしたが、具体的にどんな土づくりをしていったのかは、また別に書きたいと思います。

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