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早春の日光植物園を歩く②

栃木県日光市にある日光植物園で、春のガイドツアーに参加してきました。

前回の様子はこちらです。


イワウチワの咲く斜面を下ると、小川が見えてきました。

舘野園長

園長(舘野 正樹准教授)が小川へ足を踏み入れ、おもむろに葉を摘み取りました。そして、葉を小さくちぎり「わさびの葉です。よかったら味見してみてください。」と数名の方に渡します。すると、みなさん「思ったよりも辛くない」。わさびの葉は根の部分に比べると、辛味がないそうです。


また、すぐ近くにはザゼンソウがありました。

ザゼンソウ(サトイモ科)

開花する際に自ら発熱し雪を溶かし、花から悪臭を放ってハエなど呼び寄せ、受粉するそうです。悪臭…気になります。試しに近づいて嗅いでみましたが、マスク越しだからか何もにおいませんでした。


しばらく進むと、薄暗く落ち葉が湿ったエリアで立ち止まりました。まわり一面に、小さく白い花が群生していました。

バイカオウレン(キンポウゲ科)

バイカオウレンの花は直径1.5センチほど。とても小さく、いちごの花に似ていました。
花びらのような白い部分は萼が変化したもので、本当の花びらは中心に近いところにある黄色いスプーン状の部分です。

花の形がウメの花に似ているので「梅花」と呼ばれるようです。そして葉は5枚。可愛らしい形をしていて、ゴヨウオウレンとも言われています。

そして、バイカオウレンのすぐそばに咲いていたのは、同じキンポウゲ科のウスギオウレンです。

ウスギオウレン(キンポウゲ科)

バイカオウレンよりも背が高く、高さは10センチを超えていました。ひょろっと伸びた茎に、淡いクリーム色の花。

萼が細長く開き、咲いているさまは線香花火のよう。薄暗い森の中で、静かに佇んでいました。

クリーム色がきれい

バイカオウレンとウスギオウレン。同じキンポウゲ科でも花や葉の形も色もそれぞれ異なり、とても興味深かったです。


日の当たる場所では、カタクリが咲いていました。

カタクリ(ユリ科)

くるんとカールした花びらが可愛らしいです。
栃木県内にはカタクリの群生地が多くありますが、保全管理されている場所が多いため、足元まで近づいて見るのは今回が初めてです。ちなみに花が終わると、カタクリの球根をネズミが食べてしまうんですって。


園長先生は歩きながら、花の色についてお話ししてくださいました。
植物にはいろんな色がありますが、昆虫や鳥たちは、ハイビスカスや椿などの赤い色の花を好んで寄ってくるそうです。おいしいものがあるぞ、と。

そして、赤色を見て食欲が出てくるのは人間も同じで、飲食店の看板には赤い色が多く使われているそうです。たしかに、マクドナルド、ケンタッキー…スーパーなども赤い看板が多いですね。

しばらく歩くと、ヤマツツジの前で止まりました。手前にはイチヤクソウの立て札があります。

イチヤクソウは、ツツジの根にあるカビ菌から栄養をもらって生きているそうです(菌根植物という)。そのため、もしヤマツツジが枯れてしまったら、イチヤクソウも枯れてしまうんですって。

集団の最後尾で話を聞いていたため、イチヤクソウがどこに咲いているのか、よくわかりませんでした。うろうろ探していると、参加者の方が「これですよ。」と教えてくださいました。

イチヤクソウ(ツツジ科)

共生している

手前に咲いているのがわかりますか? イチヤクソウはヤマツツジから50センチほど離れた場所にありました。


樹木の多い林のエリアでも、先生のお話が続きます。ちょっとしたクイズをしますね。

第一問。古木にたくさんの穴。穴を開けたのはだあれ?

正解はキツツキ。固い木よりも、柔らかい木を選ぶそうです。

第二問。螺旋状に絡まっているのは、なんの木?

答えは藤。隣の木の枝へと伸びていました。

植物園へ行くと、どうしても花の咲いた植物に注目しがちです。でも、先生のお話を聞いていると、樹木にも興味深いエピソードがたくさんあって、もっと知りたいと思いました。


林を過ぎると視界がぱっと明るくなり、ミズバショウ池に到着です。

池には水草が浮かび、ツンとした葉(おそらくカキツバタ)と、ミズバショウが咲いていました。チョロチョロと小川の流れる音が、ここちよく、爽やかな気分になります。

ミズバショウ(サトイモ科)

日光植物園では、尾瀬より一足早く咲くミズバショウを観察できます。今年は雪解けしたあとにふたたび雪が降ったため、葉や花が少し焼けてしまったそうです。それでも、きれい。

動画も撮ってみました(20秒)。


ミズバショウ池をあとにして、さらに園内の奥へと進みます。田母沢川に架かる通御橋(かよいみはし)付近で立ち止まると、斜面に白い花が咲いていました。

ハナネコノメ(ユキノシタ科)

1つ1つは1cmにも満たない大きさで、気づかずに通り過ぎてしまいそうなほど。バイカオウレンと同じく、白い4枚の萼が花びらのように上を向いていて、その内側から紅色をした8本の雄しべが顔を出しています。


岩場の斜面に群生していました。

白と赤のコントラストが可愛らしい

その後、一箇所に集まり質疑応答があり、みなさん熱心に質問をされていました。そして最後に園長先生の挨拶があって、ガイドツアーは終了となりました。だいたい1時間15分。貴重なお話を聞くことができ、とても良い体験が出来ました。


まだ少し歩きたい気持ちがありましたが、気温が一気に下ってきたので、駐車場へ戻ることにしました。帰り道にも、いろんな植物を見つけましたよ。

フキノトウ

ミツマタ(ジンチョウゲ科)

ショウジョウバカマ(ユリ科)


そして年間パスポートもゲットしました! ちょっとまって、小石川植物園共通って書いてある…?

リンドウのイラストつき
裏面

開園早々、舘野園長のガイドツアーに参加でき、とても貴重な体験が出来ました。今年も、たくさんの植物に出会うのが楽しみです。

思いのほか長文になりました。最後までお読みいただきありがとうございました!


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