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ショートパンツを履いた日


夏は必ず、地元の川で遊ぶ。

そこはいつも、ほとんど人がいない。プライベートビーチならぬ、プライベートリバーだ。

大きい浮き輪に乗ってぷかぷか浮いてみたり、水中メガネをつけて川の流れに身をまかせたりする。

川の水はひんやり冷たくて、最初に潜るときが一番どきどきする。そして30分も遊べば、すっかり体は冷える。

大きめの岩の裏には、魚がいる。

ヤマメ、ハヤ、そして鮎も。

手を伸ばせば捕まえられそうなほどの距離で、一緒に泳ぐ。なんども、なんども。

海の近くで育ったわたしは、この地に引っ越してきて、川遊びの楽しさを知った。


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春に撮影したもの

久しぶりに水着を新調した。

若いときはデザインやら、形やら、あれこれ気にして選んでいたけれど、今はもっぱら着やすさ重視。

スポーツ店でセールになっていた、白地に紺のストライプのビキニに、紺のトップスとグレーのショートパンツのセットになったもの。肩紐が背中でクロスしていて、スポーティでかわいい。

もちろんいいお年なので、ビキニだけとはいかない。しっかりぜんぶ着る。周りに迷惑はかけたくない。

試着もしないで買った水着。実際に着てみた。2年前までわりと真剣にスポーツに取り組んでいたし、今はまぁすこしお肉がついたけど、トレーニングしたらすぐ戻る程度。まだ大丈夫。

それにしても、ショートパンツが短い気がする。膝上20センチ。正直、落ち着かない。


この夏、初めての川遊び。水着に着替えて主人の運転する車に乗り、いつもの川に向かった。

でも、そこはプライベートリバーでは無くなっていた。


川の水が極端に少ない。

去年の大きな台風で、川の流れが変わっていた。

そして、なんといっても、人がめちゃくちゃ多い。しかも、県外ナンバーの車ばかり。

なぜ。

どうやら海やプールにいけないぶん、何かで知ったのか、この川へ遊びに来たようだ。

狭い場所にテントを張り、バーベキュー。あまりの人の密度に驚き、足だけ川に浸けて涼み、すぐにその場を離れた。

ああ、新しい水着なのに。鮎と、泳ぎたかったな。今年はもうここには来れない。


さて、これからどうしよう。唯一の休日。

ここはとても田舎だ。見渡しても青々とした田んぼと、とうもろこし畑しかない。


結局、いつものラピュタに出てきそうな公園に移動して、リフティング練習をした。水着のまま。もちろん、しっかりぜんぶ着て。

膝上20センチのショートパンツのまま外に出る。落ち着かない。

公園は珍しくがらんとしていて、整備をしている職員の方以外、誰もいない。これなら、大丈夫。

暑かったから、最高記録は25回。

てんでだめだったけれど、いつもより短いパンツは、涼しくてとても快適だった。恥ずかしさも、すっかり忘れていた。

たまにはショートパンツでもいいよね



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