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とろける!高野豆腐の水煮 転じて麻婆高野豆腐鍋

日曜の夕方、父さんが「麻婆豆腐が食べたいなー」と言いました。
冷凍庫に肉みそはあるけど豆腐が無い。今から買いに行くのは面倒くさいなーと思ったときに、思い出しました。

私の好きな料理本に、奥園壽子さんの『ズボラ人間の料理術』があります。
確かあの本には、高野豆腐で湯豆腐を作る話が書いてあったはず!
どうやって作るんだっけ?と読み返しました。

巻頭に掲げられた「正しいズボラの7か条」の6「料理の既成概念を捨てること」の精神にのっとって、高野豆腐のパッケージに書かれた「ぬるま湯で戻してから、必ず味付けしただし汁で煮てください」に反して、高野豆腐を水から茹でるだけで『まるで豆腐のようにとろとろになる』と書いてあります。
実際に茹でてみると、高野豆腐は次第に膨らみ、柔らかくとろけてくるではないですか。
様子を見るためにちょこちょことつまみ食いをしましたが、最初のうちは箸を動かさないと切れなかった普通の高野豆腐が、最終的には上から押さえるだけで豆腐のようにすっと箸が入るようになりました。
口に入れればプルンとして、高野豆腐の特徴であるケーキではなく台所用品のスポンジのような、キュッとした歯ごたえを感じません。

最初から味付けしただし汁で煮ろというのは、さもなくば煮溶けて崩れるぞ!という警告だったようです。
蕩けることを受け入れるのなら、水煮というのもそれはそれで許される道のようでした。


と、いうことで、お湯で茹でて水きりをした豆腐のつもりで麻婆豆腐に使おうと思います。
ゆで汁を味見してみたら、薄い薄ーーい豆乳のようだったので、これも顆粒スープを溶くのに使おうと思います。

麻婆豆腐はいつもの人長良次ひとおさよしつぐシェフのレシピを参考に、唐辛子にんにく生姜に豆板醤と豆鼓を炒めたところにスープを入れ、肉みそを加えて味見をしたら、満を持して茹で高野豆腐を軽く押さえて水気を切って投入しました。
麻婆スープと馴染ませて水溶き片栗粉でとろみをつけたら完成です。
(土鍋仕立てなので、キャベツともやしもどっさりと入っています)

高野豆腐に味が浸み浸みな期待が高まります


机に運んでいただきますと手を合わせ、いそいそと口に運んだら………あれ?
なんだか普通の高野豆腐の煮物みたいな食感に戻っています。

これはどうやら、砂糖と醤油に高野豆腐の食感をキュッとしめる働きがあるようです。
『ズボラ術』を読み進めれば、確かにそのように書いてありました。

と、いうことは、片栗粉でとろみをつけた後から高野豆腐を入れれば柔らかく蕩ける麻婆高野豆腐を食べることができるということでしょうか。

七か条の7「実験精神旺盛で、遊び心があること」に則って、次回麻婆豆腐の際には後入れを試してみることにしたいと思います。



『ズボラ人間の料理術』奥園壽子
2001.11.5出版…20年以上前の本なので、中古でしか手に入らないようです。


毎回お世話になる人長シェフの麻婆豆腐レシピ
辛味以外は忠実に餡を作っています。
具材で好き勝手して、土鍋で作って、すみません。
それでも美味しいです。ありがとうございます。


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