俳優/空宙空地 代表 おぐりまさこさんより/札幌演劇シーズン2024-冬 参加作品 OrgofA「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」 感想・コメント
俳優/空宙空地 代表 おぐりまさこ
「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」
コメディチックでライトテイスト、でも時には牙を剥いて進んでいくストーリー。
「コメディチック」と書いたけれど、実は私は…最初から最後まで笑えなかったし、二人を好きになれなかった。それはもしかしたら、どこか自分の中に心当たりがあるからなのかもしれない。
心当たり。ここに描かれている二人の、身勝手さや欲深さ、諦めの悪さ、懸命に生きているのにうまくいかない滑稽さ。
自分自身の、そんな姿を突きつけられているような気分になっていたのもしれない。
観る人によって、これはどこまでもコメディであるかもしれないし、どこまでもドキュメンタリーかもしれない。文化の違いはあれど、人はきっと何処でも、何かと向き合い、闘い、抗い、もがきながら生きているのだから。
そしてもう一つ印象的だったのが、作品の中で紡がれる25年間。舞台セットは、とあるコテージの一室。そこで一年に一度逢う二人の1日の物語が演じられている。
でも私には、この部屋の外〜遥か離れた場所で積み重ねられる、364日間の物語に感じた。
開けられたトランクから広がるのは、舞台の外側で流れる時間と広がる空間。一年の内の364日間が、舞台上でぎゅっとと詰め込まれていた。いつの間にか、この二人と同じように、来年の今日を待っている自分がいた。
そうそう、一生懸命に向き合ってもんどり打つからこそ、それが可笑しく映るという点で、空宙空地がふだん創っている物語に、どこか共通点があるようにも感じた。
これはきっと、生で観た方がその「人間」を強く感じられる。365日もしくは364日×25年=9119日を生きる人物を生で観ることなんてなかなかないと思う。
貴重な体験になるかもしれません。
http://www.coochuhcoochi.com/about.html
札幌演劇シーズン2024-冬 参加作品
OrgofA「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」
そのほか、回数券や中高生向けの無料招待もあります。
詳しくは札幌演劇シーズン 公式ホームページをご覧ください。
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