作家・演出家/ストスパ代表 白鳥雄介さんより/札幌演劇シーズン2024-冬 参加作品 OrgofA「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」 感想・コメント
「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」を読んで。
作家・演出家/ストスパ代表 白鳥雄介
読み終えた今、複雑な気持ちになっています。
25年にも及ぶ不倫に身を投じたジョージとドリスをとても「愛おしい人間」と感じてしまう自分がいるからです。
こんな不倫の仕方まともじゃない、理解できない、異常だと決めつけたい。
なのに気が狂うほど魅力的な人間が目の前にいるからこそ、求め合ってしまう。
そこに人間の性を認めながら台本を読み進める僕もまた異常だと突きつけられる、個人的に恐ろしい戯曲でした。
不倫を重ねるドリスとジョージに不思議と愛おしさを感じる要因がもう一つ。
それが1951年〜1975年、25年の間で変革していったアメリカ社会に生きているという点。僕は特にドリスの人生に感情移入しました。女性として社会で生きることが大きく変容する中で、懸命にもがき、彷徨うドリスの姿がOrgoA(オルオブエー)代表の飛世早哉香さんと重なりました。
飛世早哉香という同志の中にある強烈な「性」へのメッセージをこの戯曲を通して、届けようとしているのではないか、と。
観終わった後のカフェか居酒屋での激論が白熱しそうです。
最後に僕はアメリカ社会の50年代〜70年代半ばまでの歴史に詳しくありません。なので「これはどういうことなんだろう?」と立ち止まってしまう瞬間が何度かありました。
次は激動のアメリカ社会を頭に入れてからまた読みたい。
白鳥雄介
札幌演劇シーズン2024-冬 参加作品
OrgofA「Same Time,Next Year-来年の今日もまた-」
そのほか、回数券や中高生向けの無料招待もあります。
詳しくは札幌演劇シーズン 公式ホームページをご覧ください。
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