― 「ところかまわずナスかじり」第六十七話 で、出目金―

 むかぁ~し、むかし。金魚どもにも手足がついちょってな。池から池に楽に移動できたもんじゃ。こりゃぁ人間もいっしょぢゃがな、地面を歩けるっちゅうことは、走れるっちゅうことだぁ。そうするとな、アイツには負けたくないって思うヤツがかならず出てくるもんじゃ。まあ、普通にの、競争してるぶんにゃ害はないわなぁ。じゃがなぁ、ちょっとやりすぎたヤツらがおってなぁ・・・


キン「おらっ、メっ!今日こそ決着つけるわよっ!」

デ「キ、キンちゃん、もうやめようよぉ・・・。」

メ「ほぉっ、ほっほっ!キン、そぉんな内股で私に勝てるわけないじゃない!まぁったく、醜いったらかなわないわぁ~!汚らしいったらしょうがないわぁ~!ウンチよ、あなたは!内股のウンチ!ほぉほっほっほ!」

キン「キィ~ッ!う、内股の方が可愛いのよっ!み、みんな言ってるわっ!」

メ「はいはい。‟みんな”、ね。『みんなが言ってるわっ!』だって!かぁわいいいいいっ!」

キン「キィ~ッ!」

デ「メちゃんも言いすぎだよぉ・・・。」

メ「だって、見てよ、コイツの内股っぷり!これ、ぶりっ子通り越して、もう、病気よっ!脳ミソがタレてんのよ、あんたっ!あ、見て、コイツの目!脳ミソ出てきちゃってんじゃん!」

キン「うるさいわねっ!これ、ただの目クソよっ!」

メ「『ただの目クソよっ!』・・・。かぁわいいいいっ!」

キン「キィ~ッ!」

デ「もうやめなよぉ、二人ともぉ・・・。」

メ「ふんっ!」

キン「ふんっ!」


 いやはや、すごい騒ぎでなぁ。この三人、それぞれがキンキン声だからかなわないわなぁ。水の中ならまだしも、陸で騒いだもんじゃから、さぁ大変。この騒ぎを聞きつけてやってきたのが陸サーファーの岡田君じゃった・・・


陸サーファ―の岡田君「おいおいおいおいっ、お前らっ!うっせぇ!うっせぇ!うっせぇ!」

メ「何よっ、あんた!あんたの方がよっぽどうるさいわよっ!あんたも何か腐ってんじゃないの!なんでこんな沙漠の真ん中でサーフボード持ってんのよっ!ハゲてるしっ!」

陸サーファ―の岡田君「ハゲてねぇ~わっ!これはチョンマゲっていってなぁ・・・」

メ「はぁうるさい。キャンキャン吠える男ほど気持ち悪いものはないわ。あ、これ撮っとこ!」

陸サーファ―の岡田君「やめろっ、おめー!ネットとかに上げたらぶっ殺すからな!」

メ「アアコワイコワイコワイ・・・」

デ「メ―ちゃん、や、やめなよぉ。この人、タンクトップだよぉ・・・。」

陸サーファ―の岡田君「なんだ、おめーわっ!タンクトップでわりぃかよっ!」

デ「ぁぁぁぁ・・・」

キン「ちょっと、この、シタビラメっ!ウチの弟になに言ってくれてんのよっ!」

陸サーファーの岡田君「ああっ!なんだとぉっっ・・・・・・・・。あ・・・・・」

キン「なによっ!」

陸サーファーの岡田君「・・・な、なんでもないっす。いや、ほんと・・・」

メ「な、なにコイツ!なんでコイツに怒鳴んないのよっ!」

陸サーファ―の岡田君「いや、あ、あの・・・。ホント、俺が悪かったっていうか・・・・」

メ「ああああああああぁ?!まさか、こいつ・・・」

陸サーファ―の岡田君「ホ、ホント、マ、マジ、すまないっす。」

メ「ちょっとぉ!あんた何でコイツだけにあやまってんのよっ!ふざけないでよっ!」

陸サーファーの岡田君「い、いや、ホント・・・。お、俺と結婚を前提に付き合って・・・」

メ「ふっ!ふざけんなぁっ!」

キン「や、やめなよぉ、・・・メちゃん」

メ「『メちゃん』だぁぁぁあああああっ???!!!!」

デ「あっ・・・、キンちゃん、赤くなってる・・・。」

キン「や、やめなさいよ、デ。も、もうっ。」

メ「なにクネ散らかしてんだっ、おめぇはっ!ふざけんなっ!」

キン「あ、ご、ごめんね、メちゃん・・・。今まで、・・・うふっ、ホント、ごめんね。」

メ「ふぅおおおおぉっ!!!!!」

陸サーファーの岡田君「あ、あの、で、お返事を・・・」

キン「・・・あ、あの、・・・・・・OK。」

デ「ああ、おめでとう、キンちゃん!」

メ「おめえらぁっ!!!ナニ喰ったらそーなんだよっ!」

陸サーファーの岡田君「あ、あの、じゃ、い、行きましょうか・・・」

キン「・・・ええ・・・。」

メ「死ねぇっ!お前らみんなっ、死ぃねぇえええっっ!!!」

 というわけでの、・・・出目金ぢゃぁ。

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