―　「ところかまわずナスかじり」第七十九話　店長　―

　そうですかぁ、私はクビですかぁ・・・。
　いや、私、これでも一応店長なんですけどもねぇ。まぁ、時代といってしまえおじゅうばそれまでなんですけど・・・

　そうですかぁ・・・

　あの、ちょっとすいません、法律的にはどうなんでしょうかね？あの、バイトの方が、そのぉ、店長をクビにするって・・・。いや、深い意味はないんですけど・・・。

　あ、それはそうですよねぇ。専門家じゃないと、ねぇ？

　そうですかぁ・・・。あ、すいません、ちょっと泣けてきちゃって・・・。あ、ありがとうございます。いや、こちらのナプキンで、はい、十分です、はい。ありがとうございます。お気を使っていただいて・・・

　で、あの、次の店長は、あの、もう決まってるんでしょうか？
　あ、そうですよね。確かに私にはもう関係ないことですよね。ははは。

　じゃあ、私、そろそろ失礼しますね。ほんと、短い間でしたけど大変お世話になりました。
　え？釣りでもしたらいい？
　いえいえ、私は釣りどころか、趣味というのがないので、ねぇ。そのぉ、もう、家に居るしか・・・。
　そ、そうですねぇ、あなたを面接したのがまるで昨日のようですよねぇ。そうですかぁ、もう二週間にもなりますかぁ。

　いや、感慨にふけっちゃいました。あ、お客さん来ちゃいましたね。すいません、お忙しいところ。じゃあ、私はこれで・・・。はい、いや、今度はお客として来ますね。はっはっは・・・