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イノベーションのためのオペレーション

先日とある方とお話して思ったこと。
イノベーションとは新規事業開発やスタートアップの成長などが包含される。ここでのinnovationは「技術革新」ではなく、"the use of a new idea or method" ケンブリッジ英英辞典)という意味。

結論から言うと企業の中で全員が「イノベーション」をやっていたら絶対に儲からない。よく自分の会社の中はオペレーションをやっている人ばっかりだというけど、それは至って正常な姿だと思う。
GoogleだってAppleだってみんな多くのオペレーションを回した上で、一握りの人たちがイノベーションや新規事業を起こしている。

では組織におけるイノベーション力って何か?もちろん誰かが発想したり、プロデュースしないといけないのは当然としても、それよりも重要なのは「組織的に変化を受け入れる力」なのかもしれない。

ただ組織はオペレーションに最適化されており、その「変化」には必ず痛みを伴う。組織が大きければ大きいほど、それを伴うのは当然だが、組織に柔軟性や弾力性がないのは、実は「人」ではなく、業務に最適化(されすぎている)ITシステムと運用方法であることが多い。(しかもそれは言い訳の一つでしかないと言って見過ごされる)

前にお師匠さんから教わった、日米のシステムの違いは米国は「戦略に最適化される」、日本は「業務に最適化される」という点。これの大きな点は、業務自体は数年・数十年変化しないことが多いが、経営者変更による戦略は数年で変わることが多く、社長変更のたびにCIOが新しくなりシステムが新陳代謝する事が多い。

前職でも約30年企業のシステムで「ITシステムがスバゲッティ状態」という言葉で3年かかってもそのスバゲッティを紐解くことさえできなかった。

もう一つは運用方法。例えば予算を決めにしても、その時の時勢にあった柔軟な予算を割り振る方法なんて見たことがない。基本2−3月で予算申請を通常より多くだして通して、上期終了後に予算削減要求が来て、贅肉分野プラスアルファを削る。これが毎年の恒例行事になっていたり、組織改変が半年に一回起こり、そのたびに予算の組み替えで1−2ヶ月使って具体的な企業活動ができないなどはよく聞く。テスラは新しい取り組みを入れないと決裁がおりない仕組みがあったり、徹底的に前任、前回を評価する運用をしている。

日本企業の場合、1年間10ヶ月しか企業として活動できないわけで、当然単純計算1/6の生産性を無駄にしていることになる。個人の生産性には非常に厳しく見るのに、組織の生産性をちゃんと測らないのはなんでだろう…。一時期流行ったBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング(Business Process Re-engineering))という言葉はどこへ…。

イケてる企業、イノベーションを起こせる企業とは前提として、会社の基盤(fundamentals)からしっかり設計されていて、変化に強いオペレーションができることだと思う。

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