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【米崎りんご】ジョナゴールド②

2019年の10月上旬、大きな台風が迫っているとの予報が入ります。とはいえ毎年のことなので、あらかじめ枝を突っ張ったり主幹を支えたりという木の対策は既に済ませておくもの(予報が入ってから準備するのでは遅いので)。1番の台風対策は「収穫」なんですよね。もう少し成らせておけば味がもっと美味しくなるのに…色付きが良くなるのに…という葛藤はありますが、落ちてしまうよりは収穫したほうがマシです。落ちたりんごは従来の価値観であれば最低ランクになってしまうので。
とはいえ、さすがに収穫となるとある程度の予報が出てから開始するので、数日ですべてのりんごが救えるわけではありません。
※落ちたりんごの商品価値や台風については後で記します!

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写真はまさに台風襲来当日の畑。

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10月上旬に収穫したジョナゴールド。ちなみに園主が亡くなってから借りた畑なので、正確な樹齢はわかりませんがいずれも90年代後半に植えた木とのこと。画像で分かる通り、色ムラはありますが、試食したところ味は完璧。ただ、前にも記しましたが、完全に赤くないりんごは「従来の商品価値」だとかなり低いんです。どうしたもんかな~と農協の菅野さんに相談に行ったら、既に綺麗な色をしているジョナゴールドを見つけて愕然。単に生産技術の違いなのか、自身のレベルはこんなにも低いのか…と凹んでいたら。

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このジョナは2000年代、新たに品種改良された”別もの”だったのです。

青森県五戸町の野村敏夫氏が、ご自身の圃場で発見された通称「ノムラジョナ」。葉摘みや玉回しをしなくても勝手に着色するこのジョナゴールドは、貯蔵もできて省力できるという、時代に合った優れもの。先見に優れた先輩農家さんは、早くに昭和ジョナからの改植を進めてきたわけですね。
話しをちょっと戻します。りんごを知る前のジョナの印象を➀で記しましたが、「もさもさする」理由は、ジョナは劣化が早いんです。常温以上のところで保存するのは尚更。そして熟すると蝋質物(いわゆるワックス)を発生するので”べとべとする”んですね。

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比べて品種改良以前のジョナがキレイに色づくのは10月中下旬。この頃は酸味より甘味が強くなります。しかしこの時期は既に”王者”青森産のサンふじが初出荷され、市場価値がガクンと下がる。そして味の最高点に達したジョナも、特徴として一気に軟化し劣化していくのです。

でもね、一つの品種でここまで物語があると、単純に市場価値や味で左右されるもの、と考えると面白くないんですよね。一つのりんごにはお世話している農家さんがいて、その価値を分かってくれる買い手さんがいて、この奥にそれぞれの家族がいて。つまり商品ではなく作品に近い。りんごってそんな温度を感じると思います。

というわけで、古木に固執するわけじゃないんですが、たとえ昔の品種だろうといいところはいっぱいあるわけで。国内りんごは2000種類以上あると言われているので、ふじと王林しか知らないのはもったいないんです。何が言いたいかというと、「ウチのジョナは色ムラはあるけど甘酸っぱくて最高に美味しい!だから買ってくださいお願いします」ということです!

みなさま今日も素敵な1日をお過ごしください。
リビングのデスクから、吉田司でした。


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