自死した弟のこと【小休止:バタピー】

 夜、バイト終わりに携帯メールを開く。そこには弟からのメッセージがあった。
「こだわりのバタピー買ってきて」

 弟は幼い頃からバタピーが大好きだった。柿の種のピーナツが許せない私は、いつも弟用の小皿にピーナツを入れ、姉弟間で柿ピーの「ピー」の需要と供給をマッチさせていた。
いつも美味しそうにピーナッツを食べる弟。
そんな彼のため、アルバイトを終えた深夜にセブンイレブンへ寄って注文通り「こだわりのバタピー」を買うことが何度かあった。
「うめぇー」
と言いながら食べる弟の姿を最後に見たのはいつか分からないくらい年月が過ぎてしまった。

 ついこの間、近所のドラッグストアでバタピーを見かけた。いつも置いてあるのだろうけど、家族内で好んで食べる人はいないし、目もくれなかったのだ。おつまみとして売られているバタピーを見て、酒なんて飲めない頃からこれを好んでいた弟の、四畳半の部屋で美味しそうに食べていた弟の姿を思い出した。
 そのあと、お花とお線香、それからバタピーを持ってお墓参りに行ってきた。天国でも大好きなバタピーを楽しんで欲しい。
 でも、「こだわりのバタピー」はセブンプレミアムの商品なんだね。普通のバタピーを持って行っちゃったから、次こそは「こだわりのバタピー」を持って行くよ。

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