自死した弟のこと【24】納骨

 2月の下旬頃から、なかなか寝付けない、寝ても変な夢ばかりみてしまい疲れが取れないという状態が続くようになった。私は普段からコーヒーや紅茶、緑茶を好んでいるのでカフェインの取り過ぎかと思い、それらを控えることで改善を図ろうとしたが、全く改善しない。どうしてだろうと考えるうちに、3月末に控えている納骨が原因かという思いに至った。そこで、母と妹に電話してみたところ、やはり2人とも全く同じ状態だという。
「なんとなく眠れない」
「ざわざわする」
と時々妹と通話し、眠気の波がやってくるのを待った。
 ところで、どうして納骨を3月末にしたかというと、弟の眠る場所が桜の綺麗なところだからだ。美しい桜が弟の旅路を穏やかなものにしてくれたらいいなと思い、家族で霊園を決めた。

 そして、3月某日に納骨の日を迎えた。
 お経の意味は全く分からないが、お坊さんの読経する声が心地よい。弟が旅立ってからこれまでに感じた悲しみ、苦しみ、そして心の疲れが少し和らいだような気がした。
 納骨後は母、私、妹の3人で会食をした。弟のことをたくさん話し、たくさん笑った。母が途中、しんみりと
「天国に行けたかな」
と言うので、私は
「行けたでしょ。優しかったし」
と答え、ノンアルコールビールをぐいぐい飲んだ。妹は何も言わなかった。何と言っていいのか分からなかったんだと思う。

 納骨の翌日、私は帰宅した。電車に乗り、途中の乗り換え駅でサムライマックを食べた。前に江頭2:50のYouTube『エガちゃんねる』で観て以来、ずっと食べたいと思っていたサムライマックだ。江頭2:50も言っていた通り、肉厚で美味しい。サムライマックを噛みながら、弟が亡くなった11月から3月の納骨までの間のことを思い出し、
「よく頑張ったな」
と自分で自分を労った。

 マックを食べた後は真っすぐ家に帰り、夕飯とお風呂を済ませた息子と一緒に眠りに就いた。2月下旬から眠れないと悩んでいたことが嘘のように、この日は穏やかに入眠することができた。

 今もまだ眠れなくなることや、自責の念が消えてくれないことがあるが、納骨という区切りを迎えて、少しずつ心の平穏を取り戻している。

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