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第17話 黄金の角を持つシカ

17. 未来形

(6月30日 ヘラクレス宅③)

穏やかな青い大洋にひっそりと浮かぶ離島がある。
周りには他にいくつかの小島が浮かんでいるのだが、その島だけはまるで周りの海を自分の懐に吸い込んでいるかのように他の島々を圧倒する存在感を放っていた。
島そのものが山になっているのか、そこには平地らしい平地はほとんどなく、島の南側に小さな浜辺があるだけだった。
大型の海鳥が島を巡視するかのように上空を飛んでいる。
その山麓に、今し方どこからともなくやってきた1頭のライオンの姿があった。
ライオンは橙色に輝く太陽をしばらくの間じっと見つめていた。
まだ梅雨明けきれぬ湿った空気が島全体に覆いかぶさり、蒸し蒸しとする暑さがこの先の猛暑を予感させていた。
日が西に傾き始めるとライオンは、汗でも目に染みたのだろうか、――いや、そうではない、――1度しっかと目をつぶると、次の瞬間、意を決したかのようにその大きな目をかっと見開き、一心不乱に目の前の草木を掻き分けながら険しい獣道を登っていった。
が、その姿は決して百獣の王といった勇壮で自信に満ちたものではなく、そこから落ちたらあとはないという焦りとその身に重くのしかかるある種の宿命を背負った奴隷のようだった。
彼は時折、泥と汗にまみれた体を反らし、木々の葉の隙間から差し込む陽光を見つめた。
そして、その度にかのお告げを脳裏に蘇らせるのであった。
「ヘラクレスよ。金華山に棲む黄金の角を持つシカを生け捕りにせよ」――
金華山。――宮城県石巻市の太平洋に浮かぶ霊島。森林には多数の鹿が生息しており、毎年10月には鹿の角切りの神事が行われている。
落ち葉と枯れ枝に足を取られながらも、ヘラクレスは無我夢中で山林を登り続けた。
どこにいるのかもわからない黄金の角を持つシカを追い求め、ただひたすらに登り続けた。
荒い息遣いとともに、大量の汗がじゅっと噴き出す。
疲労のために足がガクガクと震えていた。
体力の限界を通り越してもなお、山を登り続けるヘラクレスだったが、そんな彼にもついに幸運が訪れた。
「見つけたぞ」
と、ヘラクレスは愛用のこん棒をゆっくりと背後に隠しながら呟いた。
前方10メートル程先の木陰で、1頭のシカがこちらの様子を窺っている。
そのシカは世にも珍しい黄金の角を持つシカだった。
人間の大人が両腕を広げたくらいもある大きな角が木々の向こうで神秘的な金色の光を放っている。
ヘラクレスは呼吸を整えながら考えた。
というのも、超人的なパワーを持つヘラクレスにとって、向かってくる敵を討つのはお手の物だったが、これを生け捕りにするとなると少々勝手が違ったからだ。
追いかければ間違いなく相手は逃げていく。
そうかと言って、黙って待っていたところで、どこの世界にこん棒を持ったライオンにわざわざ喧嘩を売りにくる草食動物がいようか。――
しばらくの間、ヘラクレスは、「動くなよ」と言わんばかりにシカを睨みつけていた。
こん棒を握りしめる手が汗でじっとりと濡れている。
一方、黄金の角を持つシカは、前方の大男に怯え、その円らな瞳を潤ませているようにも見えた。
ヘラクレスがじわりじわりと歩を進める。
その距離、9メートル。――
8メートル。――
7メートル。――
刹那、シカが細長い右の前脚を微かに上に動かした。
同時にヘラクレスが足を止める。
目の前の草木を始め、太陽が止まり、海鳥が止まり、小さな浜辺が、他の島々が、周りの海がと、ありとあらゆるものが次々とその動きを止めていく。――
光明の神アポロンが再び太陽を西へと運び始めたとき、ヘラクレスはあと1歩で黄金に輝くその大きな角に手が届くところまできていた。
相手に注意を払いながら、こん棒をそっと自分の足元に置く。
そして勢いよく踏み出し、目の前の角を両手で掴もうとしたそのときだった。
シカははらりと身を翻し、空を掴んだヘラクレスの両拳に見事、美脚キックを食らわした。
「わぁっ」と、バランスを崩すヘラクレス。
それでも転ぶまいと1歩下がって何とか踏ん張った。
が、足の裏にこん棒の感触を覚えたときには遅かった。
ヘラクレスは1度宙に浮いたかと思うとデンと背中から地面に落ち、そのままゴロゴロと草木をなぎ倒しながら山の麓まで転がり落ちていった。――
ヘラクレスが再び意識を取り戻したときには、アポロンはすでに1日の仕事を終え、代わって月の女神アルテミスが夜の仕事に取りかかっていた。
ゼウスとレトの間にできた双子の妹――兄はアポロン――であるアルテミスは狩猟の女神であり、月の女神とされることもある。ローマ神話ではディアナ(Diana)、英語読みでダイアナと同一視され、女性の名前としても一般的である。
ヘラクレスは仰向けになったまま、静かに片目を開けた。
微かに聞こえる波の音とともに、まぁるいお月様がこちらを見ている。
どうやら下の浜辺まで転がり落ちてきたらしい。
自分はまだ生きているのだろうか?
体はちゃんと動くのか?
今、何時だ?
シカは?
ふと、そばに何かがいる気配を感じたヘラクレスは、眼だけを動かして辺りを見回した。
頭の上の方に何かがいる。
ゆっくりと上体を起こしながら振り向くと、そこには彼を労わるかのように優しく見守っている黄金の角を持つシカがいた。
ヘラクレスは、母親に抱かれた赤子のように安らかな気持ちになり、瞼の隙間からぼうっとそのシカの潤んだ瞳を見つめていた。
そして大きな赤子は、月のように仄かに光る母親の角に両手を伸ばすと、それをそっと掴むのであった。

「ども! 家庭教師のタムラです」
「よう、タムラ」と、ゼウスが出迎えた。「悪いな、ヘラクレスならまだだぞ」
「おや、随分と遅くまで、……今日はどちらへ?」
「何でも金華山に行くとか、……」
「金華山?」
と、そこへ、ヘラクレスが帰ってきた。
「ただいまー! 捕ったどー!」
「何を捕った?」と、ゼウスが聞く。
「シカ!」
「でかしか! もといっ、でかした、我が息子、……ナンチャッテな」
「見て、この角」
「スルーかいっ!」
「金色なんだぜ」
「ほぉ、金色ねぇ、……ん? 金色?」ゼウスの顔色が変わる。「バカ、お前、それアルテミスのペットじゃねーか」
「え? そうなの?」
「ああ、……そいつはやばいな。アルテミスにごしゃかれっぞ」
「マジでぇ?」と、困惑するヘラクレス。「でもさぁ、アルテミスって俺の姉ちゃんみたいなもんだろ」
「ま、まぁな。でも、そいつはまずいぞ。わしからアルテミスに言っておくから、明日、朝一で返してくるんだな」
「うん、……わかったぁ」と、肩を落とすヘラクレス。「あ、先生、こんばんは。すみません、遅くなって」
「いやいや、……どぉれ、んで、やっか」

「どぉれ、やっぞぉ。今日のテーマは『未来形』ね。と、そ・の・ま・え・に。まずは復習。はい、『彼は毎日テニスをします』を英語で?」
「He play tennis(×)」
「おいっ!」
「あ、He plays tennis every day.」
「そ。主語が3人称単数のとき、一般動詞の現在形には s をつけるんだったよ。大丈夫?」
「ウッス」
「んで、次。『彼は昨日テニスをしました』を英語で言うと?」
「He played tennis yesterday.」
「そのとーし! 過去のことを言うときには、動詞の過去形を使えばよかったね。では、本題。『彼は明日テニスをするでしょう』みたいに、未来のことを言うときにはどうするか。はい、<アテナの黙示録17>を見てみましょ。

<アテナの黙示録17> 未来形
【1】未来形<will +動詞の原形>
|★「~だろう」「~するつもりだ」「~する予定だ」のように未来の事柄を述べるときは、動詞の未来形<will +動詞の原形>を使う。
||例)現在形:He plays tennis every day.(彼は毎日テニスをします)
||||過去形:He played tennis yesterday.(彼は昨日テニスをしました)
||||未来形:He will play tennis tomorrow.(彼は明日テニスをするでしょう)
|||||※will のうしろは必ず動詞の原形にする。

いがぁ。【1】ね。『~だろう』『~するつもりだ』『~する予定だ』のように未来の事柄を述べるときは、動詞の未来形<will +動詞の原形>を使う。よって、『彼は明日テニスをするでしょう』だったら?」
「『明日』って何だっけ?」
「tomorrow」
「そっか。じゃあ、He tomorrow(×)」
「おいっ! 英語の語順は『だれが/どうする/何を』が先だぞ」
「あ、そっか」
「てことは、『彼は/するでしょう/テニスを/明日』の順に英語に直していけばいいね」
「なるほど」
「よって?」
「He will play tennis tomorrow.」
「てことよん」
「うん、わかった。あれ? will に s つけなくてもいいんすか?」
「うん。will(=助動詞)は、主語が何であってもこのまんま使う。s をつけるのは、一般動詞の現在形で主語が3人称単数のときだけだからね」
「そっか、……んじゃ、現在形よりも楽だな」
「まぁね。その代わり、will のうしろには必ず動詞の原形がくる、ってことをお忘れなく」
「出たー、動詞の原形」
「まぁ、これまで飽きるほど聞いてきた言葉だと思うけど、まだまだ、これからしょっちゅう出てきますんで、そこんとこヨロシク」
「そうすか」
「んで、もいっちょ。『私は来週京都を訪れるつもりです』を英語で言ったら?」
「えーと、『私は/訪れるつもりです/京都を/来週』の順だな」
「そのとーし!」
「『訪れる』って?」
「visit」
「『来週』は?」
「next week」
「てことは、I will visit Kyoto next week. か」
「そのとーし!」
「おし、キター!」
「んで、次、いくぞよ。【2】、否定文のつくり方。

【2】未来形の否定文のつくり方
|★未来形の否定文は、will のうしろに not を入れてつくる(=<主語+ will not +動詞の原形~.>の語順)。
||例)肯定文:He will play tennis tomorrow.(彼は明日テニスをするでしょう)
||||否定文:He will not play tennis tomorrow.(彼は明日テニスをしないでしょう)
|||||※will not = won’t

未来形の否定文は、will のうしろに not を入れてつくる」
「それだけ?」
「うん。どってことないっしょ」
「なんか、be動詞みたいだな」
「そうだね。be動詞の否定文も、うしろに not を入れるだけだったもんね。てことは、はい、さっきの He will play tennis tomorrow. を否定文に書き換えたら?」
「He will not play tennis tomorrow.」
「そのとーし! ちなみに意味は?」
「彼は明日テニスをしないでしょう」
「てことよん。で、will not は縮めて won’t[ゥオウントゥ]でもいいよ。ま、スペルも発音も注意だな。willn’t(×)なんて単語はないからね。ちなみに、『~がほしい』っていう意味の一般動詞 want[ゥオントゥ]とは母音の発音が違うよ。英語では[オウ]と[オ]、ついでに[オー]は全く別の発音なんで。OK?」
「ウッス」
「んで、次。疑問文のつくり方。【3】だな。

【3】未来形の疑問文のつくり方
|★未来形の疑問文は、will を主語の前に出してつくる(=<will +主語+動詞の原形~?>の語順)。
||例)肯定文:He will play tennis tomorrow.(彼は明日テニスをするでしょう)
||||疑問文:Will he play tennis tomorrow?(彼は明日テニスをするでしょうか)
||||答え方:Yes, he will./No, he won’t.

未来形の疑問文は、will を主語の前に出してつくる、ってことで」
「おぉ、これもbe動詞のときと同じだ」
「そうだね。てことは、はい、He will play tennis tomorrow. を疑問文に書き換えたら?」
「Will he play tennis tomorrow?」
「そのとーし! ちなみに意味は?」
「彼は明日テニスをするでしょうか」
「そ。じゃあ、yes で答えたら?」
「Yes, he will.」
「おぉ、よくできた」
「うん、何となくそうかな、って」
「いいよー、何となく予想がつくっていうのは、英語のルールに慣れてきた証拠だ。ま、is で聞かれたら is で答える、does で聞かれたら does で答える、みたいに、will で聞かれたら will で答える、ってことだな。じゃあ、no だったら?」
「No, he will not.」
「そのとーし! will not は縮めて won’t でもいいよ」
「No, he won’t. ってことか」
「そ。んで、もいっちょ。You will open the window.(あなたは窓を開けるつもりです)を疑問文にしたら?」
「Will you open the window?」
「そのとーし! ちなみに意味は?」
「あなたは窓を開けるつもりですか」
「そ。で、ここで注意。<Will you +動詞の原形~?>っていうのは、今みたいな『あなたは~するつもりですか』っていう意味の他に、『~してくれませんか』(=依頼)や『~しませんか』(=勧誘)っていう意味もあるのね。【4】だな。

【4】<Will you +動詞の原形~?>の用法
|★<Will you +動詞の原形~?>で、「あなたは~するつもりですか」の他に、「~しませんか(勧誘)」や「~してくれませんか(依頼)」の意味になる。
||例)Will you open the window?(窓を開けてくれませんか)
||||―All right.(わかりました)
|||※答え方…All right./O.K./Sure./Of course./Certainly.

ま、会話ではこっちの意味で使う方が多いんだけど、この場合は答え方に注意だね。『~してくれませんか』『~しませんか』って聞かれたら、普通、Yes, I will. とは言わない。『いいよ』とか『わかった』とか『もちろん』っていう意味で、All right./O.K./Sure./Of course./Certainly. な~んて答え方をするよ」
「なるほど」
「んで、ヘラクレス、Will you open the door?(ドアを開けてくれませんか)」
「ウッス。ちょっと待って下さい」と、ドアの方に向かうヘラクレス。
「いやいやいやいや、……て、聞かれたら、何て答える?」
「あ、そーゆーことね。えーと、All right.」
「てことよん。ここまで、どっか質問ある?」
「特になし」
「おしっ。んで、次、【5】だ。

【5】<will +動詞の原形>の書き換え
|★<will +動詞の原形>は<be going to +動詞の原形>で書き換えることができる。
||例1)I will visit Kyoto next week.(私は来週京都を訪れるつもりです)
|||||=I am going to visit Kyoto next week.(私は来週京都を訪れる予定です)
||例2)He will not play tennis tomorrow.(彼は明日テニスをしないでしょう)
|||||=He is not going to play tennis tomorrow.(彼は明日テニスをする予定はありません)
||例3)Will you study English this evening?(あなたは今晩英語を勉強するつもりですか)
|||||―Yes, I will./No, I won’t.
|||||=Are you going to study English this evening?(あなたは今晩英語を勉強する予定ですか)
||||||―Yes, I am./No, I’m not.
||※<will +動詞の原形~>は「~だろう」のように単純に未来を表す他、主語が I, you, we のときは「~するつもりだ」のように自分の意志を表す。これに対して<be going to +動詞の原形~>は「~する予定だ」のように、すでに決まっている予定を表す。いずれも、そうなる可能性が極めて高い場合に使われる。

実は、未来形にはもう1つ別の表現がありまして、<will +動詞の原形~>は<be going to +動詞の原形~>で書き換えることができるのね。be っていうのは、is/am/are のどれかを使う、ってことよん。例えば、I will visit Kyoto next week. であれば、will の部分を be going to に代えて、I am going to visit Kyoto next week. ってなるよ」
「そっか、I が主語だから am を使うってことだな」
「そのとーし! He will visit Kyoto next week. だったら?」
「He is going to visit Kyoto next week. ってことか」
「そのとーし! じゃあ、今の He is going to visit Kyoto next week. を否定文にしたらどうなると思う?」
「んー」と、腕を組むヘラクレス。
「is があるんだから」
「is のうしろに not を入れる」
「そ。てことは?」
「He is not going to visit Kyoto next week.」
「うん。疑問文だったら?」
「Is he going to visit Kyoto next week? かな」
「そのとーし! is を主語の he の前に出すだけだ」
「なるほど。答えるときは?」
「is で聞かれてるんだから」
「is で答える?」
「そ。てことは?」
「Yes, he is.」
「うん。No だったら?」
「No, he isn’t.」
「てことさ」
「フムフム」と、ヘラクレスは納得した。
「いがぁ。<will = be going to>ね。ま、テスト対策ってことで、このまんま暗記だな」
「意味は同じ?」
「そ。ま、厳密に言えば、ちょっと違うんだけどね」
「『ちょっと』って、どれくらい?」
「んー、『今日は』と『今日も』の違いくらい、……かな」
「じゃあ、たいして変わらないね」
「そうだけど、時と場合によってはトラブルのもとになるかもしれんぞ」
「と言うと?」
「例えば、……女性に対して何気なく、『今日は綺麗だね』な~んて言おうものなら、『今日は? 今日も、じゃなくて、今日は? じゃあ、いつもは綺麗じゃないっていうこと?』な~んて、しつこくつっかかってくる人がいるじゃん」
「いるいる、うちの母ちゃん」
「え、そうなの。ま、聞かなかったことにするけど」
「「……」」見つめ合う教師と生徒。そして次の瞬間、「「ゥワッハッハッハ」」
すると、
(うるさいわよー、ちゃんとやってるのー)と、階下から母アルクメネの声が届く。
「「……」」
「う、うん。ま、詳しく言えば、【5】の※にもあるように、<will +動詞の原形~>っていうのは『~だろう』みたいに単純に未来のことを言うときに使うんだよね。主語が I, you we であれば、『~するつもりだ』みたいに自分の意志も表すし。これに対して<be going to +動詞の原形~>っていうのは『~する予定だ』みたいに、すでに決まっている予定を言うときに使う、ってことね」
「フムフム」
「だから、仮にヘラクレスの父ちゃん(=ゼウス)と母ちゃん(=アルクメネ)が、こんな会話をしたとしよう。『あなた、明日、暇?』『うむ。何かあったか?』『アプロディテ(=愛と美の女神)が引っ越しの手伝いをしてほしいって言うのよ。私は明日忙しいから、あなた、行ってくださる?』『あぁ、よかろう。では、明日彼女を訪ねよう』 さて、父ちゃんの最後のセリフ『明日彼女を訪ねよう』は、I will visit her tomorrow. って言えば、何の問題もないんだけど、これを I am going to visit her tomorrow. って言っちゃうと、父ちゃんは最初からアプロディテを訪ねる予定があったかのような言い方になるわけで、そうなると母ちゃんは『あなた! 何しに彼女を訪ねるつもりだったのよ。まさか浮気? キーッ』みたいな感じになり兼ねない」
「たしかに、ウチの母ちゃんならあり得るな」
「父ちゃんにもあり得るかもね」
「「……」」見つめ合う教師と生徒。そして次の瞬間、「「ゥワッハッハッハ」」
すると、
(何だタムラ、さっきからうるせーぞ。ちゃんとやってんのか、ゴラァ!)と、階下から父ゼウスの怒鳴り声が届く。
「「……」」
「う、うん。では、次、いきますか。はい、【6】の『未来を表す語句』。

【6】未来を表す語句
||★次の語句は普通、未来形<will +動詞の原形>とともに使われる。
|||tomorrow(明日), next ~(次の~に、来~に), soon(まもなく、すぐに), in +時間を表す語句(あと~で), hope (that) のうしろ(~ということを望む), this evening(今晩), some day(いつか)

未来形といっしょによく使われる語句が7個あるんで、まとめて暗記しときましょ。はい、未来を表す語句、7個、読みぃ」
「トゥモロウ、ネクストゥ、スーン、イン+時間を表す語句、ホウプ(・ザトゥ)のうしろ、ズィス・イーヴニング、サム・デイ」
「おしっ、もう1回」
「トゥモロウ、ネクストゥ、スーン、イン+時間を表す語句、ホウプ(・ザトゥ)のうしろ、ズィス・イーヴニング、サム・デイ」
「はい、もう1回」
「tomorrow(明日), next ~(次の~に、来~に), soon(まもなく、すぐに), in +時間を表す語句(あと~で), hope (that) のうしろ(~ということを望む), this evening(今晩), some day(いつか)」
「おしっ、んで」
「ノートに10回ずつ書け、って言うんでしょ」
「わかってんじゃん。さすが、我が塾生。はい、さっさと書く!」
――この瞬間を大事にせぃ。世の中のどの生徒よりも今、お前が1番頑張ってるぞ、ヘラクレス。
「書いた!」
「おしっ。んで、<スピンクスの謎17>をやってみよう。

<スピンクスの謎17> 未来形
次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(1) I (go, goes, went, will go) to Okinawa next Sunday.
次の英文を否定文に書き換えなさい。
(2) They will play baseball tomorrow.
次の英文を疑問文に書き換え、yes/no で答えなさい。
(3) She will come here this evening.
日本語の意味になるように、次の英文の(  )内に適語を入れなさい。
(4) “( ) ( ) show me your picture?” (「私にあなたの写真を見せてくれませんか」)
|“Sure.”(「いいですよ」)
次の2つの英文がほぼ同じ意味になるように、(  )内に適語を入れなさい。
(5) It will rain tomorrow.
|=It ( ) ( ) ( ) rain tomorrow.

はい、(1)、答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(1) I (go, goes, went, will go) to Okinawa next Sunday.

「I will go to Okinawa next Sunday.」
「そのとーし! ところで、なんで未来形にしたの?」
「next があるから」
「そのとーし! その理由が大事よん。ちなみに意味は?」
「私は今度の日曜日に沖縄に行くつもりです」
「おしっ。いでしょ。んで、次、(2)、書き換えた英文読みぃ」

次の英文を否定文に書き換えなさい。
(2) They will play baseball tomorrow.

「They will not play baseball tomorrow.」
「そのとーし! will のうしろに not を入れるだけね。will not は won’t でもいいよ。ちなみに意味は?」
「彼らは明日野球をしないでしょう」
「おしっ。いでしょ。んで、次、(3)、書き換えた英文読みぃ」

次の英文を疑問文に書き換え、yes/no で答えなさい。
(3) She will come here this evening.

「Will she come here this evening?」
「そのとーし! will を主語の she の前に出すだけね。んで、yes で答えたら?」
「Yes, she will.」
「そ。will で聞かれたら will で答える。no だったら?」
「No, she won’t.」
「おしっ。ちなみに意味は?」
「彼女は今晩ここに来るでしょうか。はい、来るでしょう。/いいえ、来ないでしょう」
「おしっ。いでしょ。んで、次、(4)、答え入れて読みぃ」

日本語の意味になるように、次の英文の(  )内に適語を入れなさい。
(4) “( ) ( ) show me your picture?” (「私にあなたの写真を見せてくれませんか」)
|“Sure.”(「いいですよ」)

「”Will you show me your picture?” “Sure.”」
「そのとーし! 『~してくれませんか』って相手に頼むときは<Will you +動詞の原形~?>を使えばいいね。はい、ラスト、(5)、答え入れて読みぃ」

次の2つの英文がほぼ同じ意味になるように、(  )内に適語を入れなさい。
(5) It will rain tomorrow.
|=It ( ) ( ) ( ) rain tomorrow.

「It will rain tomorrow. =It is going to rain tomorrow.」
「そのとーし! <will = be going to>だった。ところで、なんで be は is を使ったの?」
「主語が it だから」
「おしっ。ちなみに意味は?」
「明日は雨が降るでしょう」
「おしっ。完璧!」
「おっしゃー!」
「はい、通してどっか、質問ある?」
「んー、特になし」
「おしっ。んで、本日終了。おつかれさ~ん」

「にしても、せっかく苦労して生け捕りにしたのになぁ、……」
「まぁな。気持ちはわかるけど、仕方がないよ。シカだけに、……」
「「……」」見つめ合う教師と生徒。そして長い長い沈黙が、いつまでも続くのであった。

<オイディプスの答え17> 未来形
(1) will go
(2) They will not play baseball tomorrow.
(3) Will she come here this evening?
―Yes, she will./No, she won’t.
(4) Will you
(5) is going to

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