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拝啓、ビクターサマーウッテン

ようやく最後!
ライナーノーツ8本目。
脆すぎる意志とノリと勢いで始めたけど、ちゃんと走り切れそうで良かった…。
結構大変やったけど、やってみれば案外出来るもんやな。
最後の曲ってことで張り切って、書くぞ。

遭逢するトリロジーの最後の曲は"ビクターサマーウッテン"。
一リスナーとしてもミスタニスタを聴いているんですが、たくさん聴いていると好きな曲、お気に入りの曲というものが出てくる。
この曲はそういうリスナーとしての俺がメチャクチャ好きな曲、なんです。
語り始めたら長くなるので、極力手短かにまとめる。

ウエムラの中で
ビクターサマーウッテンという曲は"発想の勝利'ってイメージがある。
俺は音楽に限らず「この発想ズルい!」となるものが大好物。ちょっと危ない思想かもしれんけど、劇薬みたいに鮮烈なインパクトがあるものが好みだったりします。だから二郎とかそういうのにハマるんよ。
パッと見てグッと来てインパクトが後頭部目掛けてグーパンをかましてくるようなのが昔から好きです。
まーウエムラの性根にそれが合っているかどうかはさておきとして。
この曲も全体を均すとシンプルなポップロックなんですが、均さなければそりゃもうスゴいパワーがある、と思っている。

シバガキがTwitterでも言うてた通り、これはコロナ禍を表現したもの。
歌詞を書く時にそのことを共有されてたかどうかは覚えてないんやけど、歌詞もそれを意識して書いたものになっています。
シバガキが曲作りでしてることを、ウエムラも歌詞作りでやってみようかな、みたいなね。
随分の前に出来た曲ではあれど、歌詞を書いてた時のことは結構覚えている。
毎度のことながらウンウン唸っていたのですが、スマホでメモアプリを開いて「コロナ禍に感じてたあの感覚たちの共通点はなんなんやろ〜」とグルグル考えておりました。この辺は後ほど。
手探りで挑戦してみたところも沢山あるけど、歌詞も含めてこの曲良いな〜とたまに自画自賛している。

皆さんがどうかはわからんけど、俺にとって一昨年の夏は何も無さすぎて"逆に良い印象も悪い印象もない"っていう不思議な夏だったんです。
SF映画かよって言いたくなるくらいに世界中がウィルスにビビリ倒し、したかったことは何にも出来なかったなぁと。まぁあの夏きっかけで出会えた面白いことも沢山あるので、悪い夏ではないのですが。
恐らく誰も何も悪くないが故に、言葉通り色々と宙ぶらりんになってたんやろな、と思う。

そんな感じでこれまでの色々な夏を振り返りながら
「ビアガーデン行きたかったな〜」
「車で川に行って飛び込むみたいなんもやってみたかったな〜」
「祭り行って大はしゃぎしたかったな〜」
とかやりたかったことを色々と考えていたときに、ふと「あ、共通項はコレかも」みたいな感覚になりまして。「"やるせなさ"やん。これやん」みたいな。
そこでこの曲におけるテーマは"やるせなさ"に決定したわけです。

そうなったら結構スイスイ歌詞作りは進んでゆき、無事完成。
信じられないくらい賑わいが無くなってる飲み屋街とか、コロナの影響で潰れちゃったあの店やこの店とか、"やるせね〜"と思ったその他出来事とかを考えながら書いていた。
住んでる近くのところでもちょこちょこ店が潰れ始めてたのもあり、「個人店はこうして死んでいくのだろーか、あの店は大丈夫だろーか」とかしんみりしながら書いていた。
そんな気持ちとは裏腹に歌詞自体はなんかメチャクチャ書くのが楽しかった記憶がある。
最後の方の歌詞考えてるとき、なんか気持ち良くなってたので変な脳汁ドバドバ出てたと思う。

個人的な話で恐縮ですが
"生温い布団に不時着する"というフレーズを使えたのも良かった。
このフレーズ、実はかなり前から認めていたのですが、なかなか使ってしっくりくるタイミングに巡り合えず。
けどこの曲の歌詞を書いてる時、俺の中のギャルが「つーかここでカマさないのナシっしょ」とかいうてたのでカマしたりました。正解だったと思う。

他の言葉もこれまで使ったことがないけど、出したい雰囲気を目掛けて色々調べながら書いてたりする。
そして居酒屋が全然営業していない時期だったこともあり、その気持ちが溢れたかのようにお酒が歌詞に出てきている。紹興酒と醸造酒。どんだけ酒を飲むんだ。本当に体に気をつけて欲しい。
"酒盗"なんかもなかなか歌詞に出てこないと思うけど、流れ的にコレ!って感じがしたので採用してる。
急に脇道に逸れたくなったので逸れるんやけど、"酒盗"について話して良い?
何となくあったら頼んでしまうんやけど、アレメチャクチャしょっぱくない?
みんな本当に美味しいと思って食べてるの?マジ?大人になるってこういうこと?背伸びする感じ?もう29歳ですけど?
「ほな食わんかったらえーやん」って言いたくなるのは分かる。分かるよ。俺の"分かる"は結構マジ。
けどさ、なんか日本酒と酒盗でしっぽりキメてるオッサンってなんかカッコよくない?そうでもない?
いーや、俺はカッコ良いと思うね。その道を極めた感があってカッコ良いね。
なんていうかありますやん。自分に合わないのはわかっているけど似合うようになりたかったり、憧れめいた気持ちで挑戦したりしたいなって思うこと。俺の場合、酒盗のほかに極太縁のメガネとかヒゲとか靴下履いてサンダル履くとかがある。今度俺がそれしててもどうか優しく見守ってくれ。

話を戻しましょう。
気に入ってるフレーズを歌詞に使えて嬉しかったって話ね。
別に皆さんに刺さらなくても全然良いのですが、俺が気に入りすぎてるのでバンバン売り込んで行く。
まずね、"生温い布団"ってのが含みがあるやん。
物理的な生温さっていうのもあるし、
気持ち的にどっちつかずな感じが故ってのもあるし。
で、そんな布団に倒れ込んだり、潜り込むのではなくて不時着、不時着なのよ。この若干の不本意感。自分で書いた歌詞を自分で褒めるのマジでダサいんやけど、言わんと誰にも気づいてもらえなさそうなのでここで言わせてほしい。言わせていただきました。あざす。
歌詞に落とし込んで満足して、もう一回歌詞を読んで納得して、既に気分は良いのですがコレ人前で歌ったらどうなっちゃうんでしょうね。
歌が何気に大変な曲やけど、良い感じに歌えそうなので歌いたい。

季節的にも今が6月ってことで夏が近づいているのでコレを書きながら一昨年を思い出してるけど、
今思い返してもあの夏は本当にやるせなかった。
季節感も人生の変動感もなーんにもない。
クッソつまらんけど、それを"おうち時間"とかいう無理やり捻り出した感がある、やたらとメッセージ性の強い概念でラッピングしたようなあの感じ。
結果悪くはなかったと思ってるけど、当時はまーやるせない感じでした。
そうじゃなかった??貴方も。

ウエムラはコロナ禍がきっかけで、"やるせなさ"というものを思い出したわけですが行きたい場所には行けず、会いたい人には会えず、若干塞ぎ込みながら寝るみたいなことをするあの感じ。
これ自体はコロナ禍に限らず結構あるあるやな、と思っている。
"後悔"なので有れば多分"やるせない"とはならないんですよね。攻めるべき対象がハッキリしてたら、案外スッキリするもんですわ、多分。
そういうのが無いからやるせないっていう感覚になるんですね、多分。
この手の感情は恐らく定期的に思い出しちゃって「ハァーァ」にみたいな感じになるんでしょうが、なんていうかそういう時に聴いてもらって、スッと寄り添えるような歌になれば良いなと。
なので、この曲についてもただのコロナの歌ではなく、長く聴ける内容にしようみたいなことを考えておりました。書けたよーな気がしてます。

色々とツラツラとお話してしまったけど、今年についてはようやく色々な不安が薄れて、しっかり楽しい夏が来そうな雰囲気がある。
あまり夏が好きなわけではないんやけど、柄にも無く「この夏はどうしようかな〜」と考えている。
今年こそはビアガーデンに行ってビールだけで胃袋パンパンにしてやりたいし、去年行けなかった夏の高山に挑戦したい。なんか1人でしっとり線香花火するとかいうクソキショいこともやってみたいし、缶チューハイでも飲みながらかなり下らんことでガハガハ笑いたい。
ここ最近の夏は受け身で居ざるを得なかったせいで、なんかモヤっとしてたような気がするので
次こそは攻めの姿勢で夏に目に物言わせてやりましょーぜ。
いかんせん根暗なので、考えるだけになる可能性も多分にあるけど、やるせなさの種は出来うる範囲でバンバンはっ倒してやりましょーぜ。夏に限らず何事も。
そんな時にこの曲を聴いて、貴方の中で何かしらギアが入ってくれたら嬉しい。

P.S.
ギターソロパートがあるのでそれなりに練習してレコーディングに臨んだのに、当日シバガキから「いや、これはそんなに気持ちいらん」と言われてブチギレそうになった。やるせないのでライブでは心を込めてビッグマフを踏み抜きます。刮目、して!

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