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 「虫とりのうた」「赤い蟷螂」「幼虫旅館」を読んで(ホラーミステリーを初めて読んでみたいと思っている人にお薦め)

 3作ともに、都市伝説をテーマにしたミステリー小説である。「虫とりのうた」では、冒頭遭遇した女の子が死に、”ひとさらいのうたの呪いだ”という噂を聞く。「赤い蟷螂」では、”赤い蟷螂の画像を見たものは呪われる”、という都市伝説があり、20年前にそれを見た友人が死亡する。「幼虫旅館」では、秘境にある旅館に行くことになるが、”神隠しにあう幼虫がいる旅館”といった話を道中耳にする。
 
 それぞれ、こんな感じで、都市伝説と人の死が絡まったミステリー小説となっています。どれも読み始めると、次どうなるのだろうかということが気になり、一気に読みました。まあまあ楽しめました。ちなみに、ホラー要素は、「虫とりのうた」「赤い蟷螂」「幼虫旅館」の順に薄くなっています。

 また、可能であれば、3作を一気に読んでいただくことをお勧めします。3作ともに主人公の名前や大まかな設定が同じですが、作品毎に役割が異なっていることも面白かった。例えば、主人公は赤井で統一されているが、由貴子という女性は、「虫とりの歌」では主人公の妻で6歳の子供がおり、「幼虫旅館」では生後半年の幼児がいる妻となっていました。その他、単なる同僚が元恋人になっていたり、同級生が成功したり落ちぶれていたりしていました。この人物は、この本ではこうゆう役回りになっているのかという部分も楽しめました。プレイする毎に人物の役割や物語が変化するノベルズゲームをしているような感覚で面白かった。
 
 ちなみに、僕はホラーミステリー小説として、三津田信三さんの刀城言耶シリーズが好きで面白いと感じるが、長編かつ難解で理解が追いつかない場合もあり、他の人に全くお薦めしません。この3作は、どれも講談社ノベルスで250ページから300ページとそれほど長くなく、初心者向けのホラー要素のあるミステリー小説という感じを受けました。ホラーミステリーというジャンルに興味を持った際には、読んでみてください。
4/10読了 出版社:講談社 作者:赤星香一郎
タイトル:「虫とりのうた」「赤い蟷螂」「幼虫旅館」