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「あらゆる薔薇のために」を読んで(他にない世界観でちょっと感動したい人にお勧め)

 この人が創作する本は、設定が本当に面白い。世界観にびっくりさせられる。この本にも驚かせられた。ある脳の病気の治療をしたら、体のどこかに薔薇に見える腫瘍ができるその発想に驚いた。それだけで、どうゆう物語が描かれているのかとワクワクした。本当に、冒頭で読むものを惹きつける魅力がある。

 この本は、薔薇を中心としたミステリー風の青春小説だったと思っている。薔薇の腫瘍を持つ人々の独特の悩みや様々な考え方があり、薔薇の真実を知った時の多種多様な反応がある。そんな悩みと感情を表現するという目的のため、手段として殺人事件を解決する警察小説の体を成したのかなと感じた。読み始めると最後まで一気に読みたくなった。没頭して楽しくなれました。ありがとうございます。言いたいことは、いっぱいありますが、ネタバレになるので控えます。個人的には、はっきり物を言う主人公の相棒がお気に入りです。

 全体のテーマとして、「人と同じとは」「人と違うとは」は何か?人の個性を形成するのは、生まれか環境か出会いか?と行ったことをを考えさせてくれました。読みやすい文章で感動もでき、そして深みもある物語です。他にない世界観を体験して、青春に感動したいと思う人にお勧めです。まず第一章を読んでみてください。

作者:潮谷験 タイトル:あらゆる薔薇のために 出版社:講談社 
R5.4.6読了