メフィスト賞と物語の視野を広げてくれた『歪んだ創世記』
メフィスト賞
「面白ければ本にする」をただただ実践する講談社の『メフィスト賞』
持ち込まれた小説を編集者が直接読み、面白いと判断されたら本になる。
受賞時期も作品も編集者次第。
分野もホラーやミステリーが多いが、SF・恋愛・格闘となんでもあり、
本格推理ものから実験小説まで、多種多様である。
森博嗣さん、辻村深月さん、真梨幸子さんといった多数の作品を出版している作家さんから、作品は受賞作のみといった作家さんまで、有名無名が存在する。
そんな、なんでもありの賞が『メフィスト賞』。物語が好きな人なら、絶対気にいる作品に出会うことができる。本の開拓に悩んだらメフィスト賞受賞作品を一読してください。
作品名:歪んだ創世記 出版社:講談社 作者:積木鏡介
そして、今回紹介するこの本は、メフィスト賞受賞作が現64作品のなかででも飛び抜けて変な作品。
生き残りたい登場人物と当初の設定と辻褄が合うように登場人物を殺したい作者との攻防を描く本です。
『創造主(作者)が決めた掟(設定)に、創造主自身も拘束される』というセリフがおすすめです。作者VS登場人物、登場人物が勝手に動くと表現されますが、それが、なるほどと思える内容です
こんな発想があるのか、本というものの表現の自由さというか奥深さを感じました。「こんな本があるんだ」という体験を得られることは間違いなしです。掟破りのなんでもありです。
正直、普通の物語ではありませんし、講談社さんもよく出版したなと思いますが、こんな本も存在するということを、多くの人に知って欲しいと思っています。本に関する知識の幅が増えることは間違いなしです。
ただし、この本、僕は好きですが、人によっては「ふざけるな」「時間を返せ」とか、思うかもしれません。
勧めといてなんですが、あくまでも、あくまでも自己責任で読んでいただきたい。