4月に上京した新社会人の私が、半年ぶりにスマホを捨てて、自然の中で「自分」と向き合う
どんな旅にも、忘れられない感情とタイトルがある。最近見た映画に感化され、そのタイミングでのこの旅。何かきっと意味があると信じて、たっぷりと旅を味わう。
14の栞
ここ数年の中で一番美しい涙を流した作品。中学2年生の1クラス、35人に密着した終業までの50日間の軌跡。造られない”自然”のストーリーに、全ての14歳を経験した人々が涙しただろうなというくらい、もう、素晴らしい作品だった。
サブスクやDVDの公開も一切ないのもまた儚い。クラスの35人、全員が主役の青春は、一切の美化もない。理想に描かれる青春など、偽物ではないかと思わせるくらいの。脆い14歳の自分を、人の全てを映すようで、栞を挟んでまた戻れたらいいのに、とまで思わせてくれた作品。
ある男子は、腰の怪我でバスケができずに悩んでいる。ある子は、告白の言葉がうまく出てこない。友達でいたいのに、人が信用できない。自分のせいでクラスメイトが学校に来れなくなったのではないか。そんな、当時の人生最大の悩みの種まで、一切のつくり無くして描かれる。
この作品を観て、ずっと頭を駆け巡るのは「こんな大人にはなりたくない」という14歳の素直な言葉。真摯に受け止めすぎている自分も成長していないのかもしれないが、「こんな大人になりたい」と思われるような人で、ありたいなと思う。美しく脆いストーリーには、きっと14歳を過ぎた全ての人に明日への希望と、大切な人への愛を教えてくれる心が詰まっていたのだろう。
乗鞍サステイナブルキャンプ
大自然と調和し、サスティナブルに生きる。暮らしを営む。朝はコーヒーの豆を挽き、寒空の中でいただく。コーヒーの暖かさを会話の温もりが混ざり合う、美しい目覚めと共に一日が始まる。心の向くままに、自然と向き合う。人と向き合う。あるものに感謝しながら適応し、調和する。命に感謝をしながらいただく。こんな朝が3日間、始まろうとしている。
映画を観て、理想の暮らしと美化しない自分の暮らしを考えてみた。きっと、足りないのは「あるものに、感謝すること」なのではないかと。大切にしたいと思っているのに、全部できない。そんな自分はどこか寂しいような気がする。
「あるものに、感謝すること」
大切だと思っているのにできない、そうしたいのにできない、というワガママをちょっとずつ減らして、暮らしたい。それがきっと、ありたい私の姿であり、ありたい自分でいられる自分を、きっと14歳の私は肯定してくれるだろう。
人生の軸は、「大切なひとと、心地よく豊かに生きること。」であることを、紅葉色の山を見るたびに思い出す。「あるものに、感謝すること」それこそが”人以外の全て”と調和して生きる本来の人の姿であり、サスティナブルの原点なのかもしれません。