マガジンのカバー画像

お菓子な小説

6
お菓子にまつわるエピソード。嘘かホントかはあなたの想像次第。
運営しているクリエイター

記事一覧

タラタラしてんじゃねーよ

表題の通り、先輩にドヤされたところだ。私はこの春から新入社員として働いている。しかし、なかなか要領がつかめず、もたついてしまうことが多い。

「タラタラしてんじゃねーよ!!!いいか!なんべん言ったらわかるんだ!」

今日も先輩からの叱責は続く。怒声がオフィスに響く。
「すみません……」と消え入りそうな顔で私は言った。

会社に行けば先輩に怒られる、そんな生活がずっと続くと思っていた。そんなある日、

もっとみる

じゃがりこ。

俺はこの会社に入って、5年目。
大学生の頃は御社御社を連呼して、それぞれの会社を第一志望とうそぶいて回った。
その結果、本当の意味で第一志望の会社に合格。
ここまでは順風満帆だった。

しかし、社会人生活も慣れたとはいえ、学生の頃のような自堕落な生活にも憧れる。いや、世の中の学生みんなが自堕落というわけではないんだ。
だいたい講義が始まるのが9時だろ。会社の始業時間も9時だったらどれだけ嬉しいか。

もっとみる

カールおじさん。

「11…12…!!」

筋トレはこの最後の追い込みに命を吹き込む。
ここからが自分との勝負だ。

仕事帰りにジムに寄って自分を追い込むことを日課としている。

今日は腕のトレーニングだ。
男たるもの太い腕にはあこがれるし、女子に触っていいかと聞かれると、たいてい力こぶをさす。
だから、力こぶの高さを出すべく、二頭筋を鍛えている。
今日の種目はダンベルアームカールだ。反動を使わず、丁寧に…おっと、俺

もっとみる

らあめんジジイ。

疲れた……。
まだ昼か……。

そうひとりごちた水曜日。
私はラーメン屋の戸を開いた。

「らっしゃあせぇー!」

店内はそこそこにぎわっている。

「ひとりなんですけど」

人差し指を立てて、店員に伝える。

「カウンターどぞ」

若い店員にぶっきらぼうに通された。
カウンターには年配の女性が座っている。

この店はいわゆる「二郎系」であり、ラーメンに高く盛られた野菜が有名である。とはいえ、私は

もっとみる

らあめんババア。

「らっしゃあせぇー!」
威勢の良い掛け声が店内に響く。

そこに私は一人で入り、右手の人差し指を力強く立てる。

「カウンターどぞぉー!」

足取りは軽い。なぜなら私はラーメンが好きだから。

仕事一筋のこの人生。子どももいないので、楽しみといえばこのランチ。
仕事仲間と行ったこじゃれたランチよりも、ニンニクもヤサイもアブラもマシマシにして、誰とも会わないように過ごすのが好きなの。

「けっこう量

もっとみる

ポッキー。

「はい、ハッピーシェアね!」

最近彼氏と別れたばかりの私に、そうやって親友のチカはポッキーを渡してくれた。

チョコがたっぷりコーティングしてあるのに、ほんのちょっぴり塩気を感じたその1本が嬉しかった。

チカと話すとなんかスッキリする。
先生に怒られたときだって、お母さんと喧嘩したときだって、いつも私のグチをうんうんとうなずきながら聴いてくれた。
チカはいつだって明るく、クラスの中でも目立つ方

もっとみる