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埼玉県は一つのチームなんだ~サッカー王国埼玉の市町村でスタメンを組んでみた~

僕は埼玉県で生まれ、埼玉県で育った、生粋の埼玉県民。

父方の家は代々大宮に住んでいる。僕自身も大宮赤十字病院に生を受けて、大宮の街で育った。一方の母親は県北の深谷市の出身。そのため深谷市には小さい頃から幾度となく足を運んだ。売りに出せばブランド価値のつくネギを日頃から食していたことが、僕を無類のネギ好きにさせたのだろう。周辺の熊谷市や行田市、加須市にも母方の親戚がいるため、居住経験こそないが、県北の各市にも小さい頃から馴染みがある。

進学した高校があるのは、県南西部の新座市。新座市や志木市、朝霞市や和光市などに住んでいる友人が多くいた。大学もキャンパスこそ東京都内だったが、所属するテニスサークルが新座市内のコートで活動していたので、大学進学後も新座市にはよく足を運んでいた。はじめて一人暮らしをした時も、最寄りは東武東上線の志木駅。あのあたりも庭のようなものだ。

僕の叔父さんは、都内に通勤しているということもあり、都内への交通の便が良い、県南部の川口市で暮らしている。叔父さんの家に行くたびに、川口市や戸田市の様々なところに連れて行ってもらった記憶がある。川口前川のイオンモール、グリーンシティのイオンモール、北戸田のイオンモール。イオンモールばかりだ。我々埼玉県民は、イオンモールが大好きなのだ。

そして、僕はサッカーだけでなく、野球やバスケットボールを観戦することも大好きだ。野球は埼玉西武ライオンズ、バスケは埼玉ブロンコスが贔屓チーム。いずれも県西部の所沢市を本拠としている。高校・大学時代に交際した女性も川越市や東松山市、小川町など、なぜか県西部に住んでいる方ばかりであった。所沢のプロぺ通りも、川越のクレアモールも、何度通ったことだろうか。

その後も県全域が選挙区になる参議院議員選挙や県知事選挙に関わったり、地域活性化に関わるゼミや学生団体の活動を行うなどするうちに、気づいたら埼玉県内の全市町村を踏破してしまった。


そこで感じたのは、一口に埼玉県と言っても、市町村によって本当に多種多様で、様々な魅力や持ち味をもっているということだ。

それぞれの市町村の持ち味が上手く絡み合って、埼玉県というひとつのチームになっている。これって何かに似ていないだろうか。そう、私たちの愛するサッカーだ。

いわば各市町村が選手であり、県はチーム埼玉の監督。市長や知事を選んでいるのが私たち埼玉県民であることを考えると、我々埼玉県民はチーム埼玉のGMであると言えるだろう。私たちの納める市民税や県民税で市町村や都道府県がなりたっていると考えれば、私たちはオーナーでもあると言えよう。オーナーであり、GMでもある私たち。いずれも重責である。チームの命運を握っていると言っても過言ではなかろう。

GMの最大の仕事はチームの編成だ。僕は埼玉県民。チーム埼玉のGMとして、スターティングイレブンを考えてみたいと思う。埼玉県全土を回り、地域活性化や政策立案のために各市町村の強みや課題を徹底的に分析してきた僕だからこそ、埼玉県が一つのチームとして最も輝けるイレブンを編み出すことができるに違いない。


まずはフォーメーション。ここが悩みどころだ。埼玉県には、二つのJリーグクラブが存在する。一つは、私が応援する大宮アルディージャ。アルディージャはピム・ファーベークや三浦俊也に始まり、伝統的に4-4-2を用いることの多いクラブである。もう一つのJリーグクラブである浦和レッズは、ギド・ブッフバルトやミハイロ・ペトロヴィッチなど、3バックを採用する監督が多かった。どちらにしようかと悩んだが、アルディージャサポーターの僕が馴染みがあるのはやはり4バック。浦和さんもフィンケとかゼリコ・ペトロヴィッチとか、4バックの時代が無かったわけじゃないもんね。ごめんなさい。

でも、4-4-2ってなんだか埼玉らしい気がする。攻守のバランスがとれていて大崩れしない。組織化されたゾーンディフェンスで相手の攻撃を防ぐ。決して華麗なパスワークで見る人を魅了させるわけではないけれども、カウンターが決まった時の爽快感はやみつきになる。うん、なんだか埼玉っぽい。


それでは、スターティングイレブンを選んで行こう。まずはゴールキーパー。ゴールキーパーには川口市を起用したい。

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決してゴールキーパー川口、という収まりの良さだけでチョイスしたわけではない。ゴールキーパーに最も必要とされるのは、言うまでもなく守備力だ。川口市は東京都との県境。そして県境には荒川が流れている。荒川にもしものことがあれば、埼玉は大変なことになる。川口市は埼玉の守護神なのだ。

とはいえ、現代サッカーではゴールキーパーにも足元の技術が求められるようになってきた。その点においても川口市は安心だ。川口市は単なるぬりかべではない。川口駅を中心に再開発がどんどん進行するなど、非常に攻めた街づくりが行われている。その甲斐あってか、川口市は「本当に住みやすい街大賞」で見事連覇を果たした。時に攻撃参加することもできる現代的なゴールキーパーとして、川口市に期待したい。


続いてはサイドバック。現代サッカーにおいて、サイドバックは非常に大事なポジションだ。守備をしたりクロスを上げたりするだけでなく、攻撃の組み立てやシュートなど、得点に繋がるプレーも求められる。

左サイドバックには所沢市、右サイドバックには三郷市を起用したい。

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サイドバックに求められる能力の一つがスピードだ。所沢市の中心である所沢駅は、池袋まで西武池袋線で23分、新宿まで西武新宿線で35分、渋谷も横浜も西武池袋線と直通する副都心線で乗換不要と、非常にアクセスに恵まれている。一方の三郷市にある三郷中央駅も、秋葉原までつくばエクスプレスで20分、東京駅や銀座駅にも25分くらいで出ることができる。両サイドバックに機動力が持ち味の街を配置することによって、攻守に良い影響を与えたい。いずれも今が伸び盛りの街なので、しっかりハードワークしてくれるはずだ。所沢には埼玉の長友佑都、三郷には埼玉の内田篤人を目指してもらいたい。


センターバックは戸田市と和光市を起用したい。

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やはりセンターバックに求められるのは守備での安定感。戸田市はボートレース場や工場地帯、和光市は本田技研や理化学研究所などによって、財政が非常に安定している。

安定感だけでなく機動力も兼ね備えているのが、両市の特徴だ。戸田市から埼京線に乗れば、数分で赤羽に出ることができる。和光市は副都心線と有楽町線の始発駅になっている。戸田、和光ともに外環自動車道も通っており、車を利用する人にももってこい。幸魂大橋で両市は結ばれているので、連携も全く問題ないだろう。

安定した守備をしながら、セットプレーでしっかり得点できる、田中マルクス闘莉王と中澤佑二のようなセンターバックコンビになってもらいたい。


ボランチは我らが旧大宮市と本庄市のコンビ。

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大宮は交通の要衝だ。京浜東北線、高崎線、宇都宮線、埼京線、東武野田線、ニューシャトル、そして新幹線。西口東口それぞれから、バスも多く出ている。まごうことなき埼玉県の心臓であり、このチームの始点は常に大宮だと言っても過言ではないだろう。大宮アルディージャにおける大山啓輔。浦和レッズにおける阿部勇樹。チーム埼玉における大宮とは、そのような存在だ。

そんな大宮とコンビを組むのが本庄市。新幹線の本庄早稲田駅と関越自動車道の本庄児玉インターチェンジが隣接しており、実は全国でも有数のアクセスに恵まれた街なのだ。ここから上越方面、北陸方面、長野方面、東京方面に七色のパスが出される。

タイプとしては大宮に似ているが、大宮ほどの実績や知名度はない。しかし早稲田大学やカインズホームなどといった事業者の誘致に成功するなど、着々と力をつけてきている。

「本庄台地」という言葉があるくらい地盤が強固なのも魅力。あまりの盤石さに、明治期には首都移転の話もあったほどである。中盤で使い減りしない選手。玄人好みなサポーターが、ユニフォームを買いそうだ。

他にも副都心線や有楽町線が利用可能で、圏央道と関越自動車道が交差する鶴ヶ島市や、圏央道と東北自動車道が交差し、鉄道網も発達している久喜市など、ボランチタイプの若手が多くひしめいているのがチーム埼玉の特徴だ。47都道府県でチームを作ったら、埼玉は間違いなくボランチとしてスタメンに食い込むことだろう。


続いては両サイドハーフ。サイドハーフはドリブル突破やクロスなど、様々なタスクが求められる。守備でも重要なポジションであるため、機動力が不可欠だ。右サイドハーフは越谷市、左サイドハーフは川越市を起用したい。

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東武伊勢崎線の北越谷駅、東武東上線の川越市駅はいずれも始発駅。直通する地下鉄で座って都心まで通うことができる。また、中心部である南越谷・新越谷駅と川越駅を中心に再開発も進んでおり、攻撃力も申し分ないだろう。


2トップには旧浦和市と志木市を起用したい。

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