わたしの東京論
毎週、東京のどこそこに出かけているが、おかげでわかってきたことがある。東京における文化とは何か、ということ。これは長年関東地方に住んできて、かつネットをぼんやり見ているだけでは決してわからなかったことである。実際の現地に行ってみて、五感で感じて初めてわかることがある。
どの街に行ってもたいてい過去を感じさせてくれる歴史上の建築物や施設がある。その土地ごとに有名なストーリーがある。そのストーリーを証明する物的証拠が博物館などに保管されている。メインストーリーを補完するサブストーリーのようなものが文化の奥行きを示す。何がメインで何がサブなのかはあまり示されない。しかし、色々見て回るごとに同じ話が繰り返し提示されることがありそれこそがメインストーリーなのだと後からわかる。だからこそ、足で稼ぐ文化理解は成り立つのである。他人の話ではなく自分の中で成立できるのが素晴らしい。
どこに行っても必ず、見かけるものがある。それは江戸時代の地図である。もう絶対にある。あれは、ゲームにおけるワールドマップのようなもので、江戸に住む人達の熱さが詰まっている。東京における文化の象徴的概念が江戸の地図ということは、もうどこに行ったって大事そうに見せられるから、そういうことなんだろう。
つまり、東京とは江戸時代から始まるストーリーということだ。江戸時代が西暦1600年ごろから始まるが、目にする資料はもうちょっと後だ。この辺りから生まれた色々な文化的遺産が東京を彩っている一方で、これより前の話は全くないと言っていいのが面白い。
大阪や京都にお邪魔すると、文化の熟成度は明らかに関西の方が高いと感じるのは当然だと思う。関西のストーリーは古くは奈良時代ごろまで遡り、1000年前からの営みがあるので勝負にはならない。というか、勝負してはならないと思う。
東京にはあと3つ、ポイントがある。
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