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昔の音楽との付き合い方

今では、タダみたいになった音楽だけど。

CDアルバム1枚3,000円っていうのが相場で、しかもCDレンタルなんてなかった時代。まぁ、信号もない田舎に住んでたからってのはあるけど。

CDを1年に数枚くらい入手して、それをカセットテープにダビングして、ポータブルカセットプレーヤーで聞く、って時代だった。

そりゃもう、CD買ったら何百回も聴いてた。繰り返し繰り返し。

始めは、良くないかな失敗したかな、と思うこともあるんだけど、聴いているうちにクセになってきて、ある時馴染み、名曲に聞こえる・・こともあった。

流行曲とは別に、こういうマイフェイバリットソング的な、自分の嗜好に合うアーティスト・作品を見つけ出した、という音楽の付き合い方が、当時の特徴だったように思う。

一方、流行歌については、FMラジオ・・、土曜日の午後、ベスト20曲を3時間くらいかけてフルで流してくれる番組があって、これを録音してた。録音って言っても、3時間を取れるカセットテープなどないから、曲のはじまりを察知して録音ボタンを押してた。そして終わるや否や録音停止。3曲でひとまとまりだったので、カセットテープの裏表をひっくり返すタイミングも重要だった。目でテープの残りを見て、いい感じのところでひっくり返して巻き戻し。テープは使いまわしてたので、後で、テープのあまりの部分は、無音で上書きするようなことをしてた。

ま、カセットテープを知らない時代の人にとっては、なんのこっちゃかもしれなけど、毎週真剣勝負だったわけ。お金はないけど時間はある学生の特権をフル活用してた。

今は、そうやって音楽に対して主体的に近づいていかなくても、瞬時に取り出せる時代になった。一方で、執着が無くなったと思う。ちょっと聴いただけでわかったつもりになっちゃう。

「これは、・・・の曲ね」って。

それは知識であって、聴きこんでいたあのころとの音楽との付き合い方とは違う。

多分、机の上に、おいしそうな料理がたくさん並べられて、つまみ食いしておなかいっぱいになってるようなものだと思う。

過去の、思い出のCDも最近は聴き返せるけど、やっぱりあのころにヘビロテしたあの曲たちは、宝物になってる。

この時代に、どう音楽と付き合うべきかって、再定義されないまま、ただただ流されている気がする。消化されないまま大半の曲が消えていく。昔は、リリースするだけでも大変だったのが、表に出るのが簡単になった分、厳選されてない、インスタントな曲が増えているのかもしれない。

それでも、音楽を人は欲するので、どう時代はこの状況を解決するのか、眺めている。

いつも読んで頂きありがとうございます。 これからもよろしくお願いします。