2章 デザイン原則 内容紹介(3)
書籍の制作が佳境を迎えて、2週間ほど更新が途絶えてしまい、すいません。無事校了しましたので、予定どおり12月21日書店、12月25日ごろネット各所で発売されます。よろしくお願いいたします :-)
さて、2章「デザイン原則」の一部紹介、つづけましょう。効果的なデザイン原則の特徴、4つあるうちの「▷3. 視点(POV)がある」と「4. 関連づけやすく、覚えやすい」を見ていきましょう。
このマガジンは、12月21日に全国書店、25日ごろにAamazonで発売になる「Design Systems − デジタルプロダクトのためのデザインシステム実践ガイド」を編集している私が、個人アカウントでこの本の断片を紹介するものです。予約ヨロシクでございます。
2章「デザイン原則」
きちんと機能するシステムは、必ず明確な原則にもとづいています。この章では、効果的なデザイン原則の特徴と、そうした原則を定義する方法をいくつか紹介します。
1.効果的なデザイン原則の特徴(その1)
2.効果的なデザイン原則の特徴(その2)
3.効果的なデザイン原則の特徴(その3)※この記事で一部を紹介しています
4.原則を定義する
5.原則からパターンへ
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▷3. 視点(POV)がある
デザインは、私たちの選択の積み重ねで形成されます。このWebページは視覚的にもっと生き生きとさせるべきですか? それとも実用的にした方がよいですか? 陽気な感じと真面目な感じではどちらがあっていますか? このモジュールでは、なぜ柔軟性よりも使いやすさを優先させる必要があるのですか? 多くの場合、両方を選ぶことはできません。優れたデザイン原則があれば、相反する要素についての判断が求められる場合でも、優先事項をはっきりさせ、バランスを見極めやすくなります。
たとえば、Salesforce Lighting Design Systemの原則は「明快、効率化、一貫性、美しさ」です。Salesforceは、この順序で原則を規定しています。美しさよりも、効率や一貫性が優先されなければなりません。常に一番優先されるのは、「明快」であることです。このように原則を順位づけると、何を優先してデザイン上の判断を下す必要があるのかを、効果的にチームに伝えられます。
相反する価値を認め、バランスの見極め方を提案すると役立つ場合があります。Mediumの初期のデザイン原則のひとつに「指示は選択にまさる」があります。これは、Mediumエディタをデザインするとき、チームが引き合いに出していた原則です。豊富なフォーマットオプションの代わりに、あえてガイダンスと指示を与えることで、ユーザーが書くことに集中できるようにしています。
優れた原則は、万人に万能であろうとはしません。はっきりとメッセージを伝え、デザイナーがその視点を持つように働きかけます。ダン・モールは、「Researching Design Systems」の中で次のように述べています。
デザインシステムとは、観点および視点のガイドラインを含み、デザインシステムで何かを構築する全関係者にクリエイティブ面の方向性を伝えるものでなけれなりません。チーム全体にこの言語を浸透させる必要があります。そうした要件を満たせないならば、Material Designを使って終わりにした方がよいでしょう。(ダン・モール)
▷4. 関連づけやすく、覚えやすい
面白いテストをやってみましょう。社内の人々に、「うちのデザイン原則は何ですか?」とたずねます。誰も回答を覚えられなければ、その原則は改良の余地があります。覚えやすい原則とは、日常的に使われる原則です。見えるところに掲示して、プレゼンテーションやデザインのレビュー時など、毎日習慣的に目にすることができるようにします。原則が実際に使われるよう、覚えやすく日常的に使われるような、本当に有益な原則を定めなければなりません。
原則は、多すぎないことも大切です。人間の記憶力には限界があり、一度に5つ以上はなかなか覚えられません。※16 デザイン原則を使ってもらおうとするなら、3~5点に抑えたほうがよいでしょう。本書に関連したインタビューの中で、TED、Atlassian、Airbnbのチームにデザイン原則についてたずねたところ、皆、即答でした。一瞬のためらいもなく、まごつく人も、ブランドマニュアルで原則を調べようとする人もいませんでした。誰もが原則をよく覚えていたのは、シンプルで、わかりやすく、便利であるうえ、数が少なかったからです。
重要なのは、彼らはその原則を日常的に使ってデザイン上の判断を下していたことで
す。Airbnbの4 つのデザイン原則(「統一」、「普遍的」、「象徴的」、「対話」)は、同社のデザインプロセスに深く染み込んでいます。
新しいコンポーネントをデザインするときは、これら4 つの原則すべてに従うようにしています。もしこれらの原則がなかったら、社内で承認を取りつけるのは難しいでしょう。1つひとつのピースが原則に沿うようにしています。(ロイ・スタンフィールド|Airbnb プリンシパルインタラクションデザイナー)
Spotifyのチームは、Tone(トーン)、Usable(使いやすい)、Necessary(必要)、Emotive(感情的)の頭文字を取って、「TUNE」という覚えやすい原則を定めました。レビューや品質管理のセッションでデザインが「TUNE」かどうかを問うことが、Spotifyのデザインプロセスの一部となっています。
以上の特徴を備えた原則を定義するには、時間と労力、それにチームワークも必要です。しかし、努力に見合う価値はあります。原則が、デザインシステムのコアを成すからです。
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noteの機能では表現しにくい画像のキャプションや、脚注などは省略しています。あくまで、書籍の概要としてイメージしてもらえれば幸いです。全貌はぜひ書籍でお確かめください。
これで、全部で4つある効果的なデザイン原則の特徴を紹介しました。次回は、いよいよデザイン原則の定義の進め方を紹介します。
では、次回をお楽しみに。
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