たまに見る夢
たまに見る夢。
高校に入り直す夢。
『やり直している』夢。
夢の中の私は、これが「やり直し」だと自覚していることもあれば、完全に人生一週目のつもりでいることもある。
自覚しているときは、夢の中で自分を鬱に追い込んだ同級生にしっかり怒って反論していたり、最後まで辞めたくても辞められなかった部活をさっさと辞めたりしている。
やり直さなくては、今の頭と体力でもついていけるかな、頑張れるかな、と、どこか現実での自分のスペックや肉体年齢を認識したような心配をしていることも。
人生一週目認識のときは完全に「15~18歳の自分」という自認で、それでも言いたいことはハッキリ言っているし、嫌いなものは嫌いだとちゃんと思えているし、やりたくないことはやっていない。
でもその場合もやっぱり、「勉強を『今度は』最後までやりたい」という意識はある。
(たまに大学の講義に出ている夢も見るけれど、本当にたまになので今回は除外。たいてい、出席日数を数えて怯えている。)
そうして目を覚まして今住んでいる部屋の天井を見上げると、最初は自分がどこにいるのかもわからない。
「あれ、ここどこ?」
「知らない天井だ」
「学校行かないと」
「勉強しなくていいんだっけ?」
「ここは名古屋だから、高校までは新幹線に乗らないと」
そのあたりまで考えて、自分はもう高校を卒業し、大学をやめ、実家を飛び出して名古屋まで来たことを思い出す。
ああ、「やり直せない」んだなあ……としばらく実感に費やしたりして。
今の自分に後悔はないと言いたいけれど、深層心理としてはやっぱり悔いがあるんだと自覚させられる。
やりたかったことがあった。なりたい自分があった。ちゃんと受験勉強がしたかった。頑張りたかった。頑張ることを頑張る機会すらなくしてしまった。そんな色々を、考える。
やり直せるなら、なんて普段は考えないし、なんなら人生をやり直せるとしたら何歳からやり直したい?系の質問について、「巻き戻ったら今までに書いた原稿をまた一から書かなきゃいけないじゃん!!無理無理!!」なんて言って笑っているし実際そう思っているけど、そうやって、あまりにリアルな仮想世界を過ごしてしまうと、起きてから「そんなものどうでもいいから、やり直せたらなあ」と思ってしまう。
ただ、間違いなく時間が解決してくれることはあって。昔は同級生の名前が忘れられず、同姓もしくは同名を見かけると拒否反応が出たりしていた。漫画や小説を買って登場人物と名前が被ったりしたらもう読みたくなかった。
でも先日、ある映画を見ていて、エンドロールまで来たことろで「あれ、そういえばメインの登場人物のひとりが同じ名前だったじゃん」と気付いた。
これはいい意味で過去になったのかな、と思う。
とはいえ、「やり直せるなら」という願望と後悔が消えることはきっとないんだろうな、と夢を見るたび実感する。何年か前までは、そんなふうに過去に固執する気も失せるくらい、今を楽しく生きてやる!とか思ってもいたけれど、体力ない人間が意気込んだって疲れるだけだし、仕方ないものは仕方ないとして受け入れることにした。
悔しいなあ、と。
あとアイツはいつか鉢合わせたらビンタしてやる、と。
夏休みが終わる頃になると、ぽっきり折れて教室に行けなくなったあの日を思い出すからか。
またあの夢を見たので、今日の日記とします。
あの夏の日の、過去の自分へ。
つらかったよな。
つらい中、生き抜いてくれてありがとう。
あとそいつビンタしていいよ。
ゆる
2023/8/30
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?