前記事『心理職はサステナブルな仕事かという疑問』の裏側
今このnoteをご覧くださっているのは、私が2日前にアップした「心理職はサステナブルな仕事か」という疑問という記事を読んでくださった方かと思います。
私が書いたこのnoteは、前記事の中でも書いた通り、私が心理職になって以来、自身の中で長らく疑問に思っていたことの一つでした。
今のこの心理業界のシステムの在り方のままで、いつか心理職は自立した生活を営めるそんな職能に育つのだろうか、と。
それはこの業界の在り方を批判したいわけではなく、ただただ単純な疑問として私の中にあった思いでした。
この思いを尊敬すべき心理職で、仲の良い友人である同期に話したことはあったのですが、この疑問はお互いの中でのみ共有されるもので、お互いにこの疑問を他の人に伝えることはありませんでした。
〇転機の訪れ
そんな折、偶然インターネットで知り合った心理職の方からありがたいことに文章を書くお仕事をご依頼をされる機会に恵まれました。
その方は若手の心理職の方で、業界内の認知度も高く、ビジネスセンスもあり、今後業界できっと上り詰めていかれるんだろうなという印象がある方でした。
その方と仕事の打ち合わせをしていた折に、仕事上必要を感じたので、その方のビジネス展開のビジョンを訪ねてみようと思ったのです。
そうしたら、その方に「きりん。さんって面白いですね。マイノリティって言われませんか?」と言われたのです。
それは非難をされたわけではなく、単純にシンプルに質問をされた感じでした。
私にとって、『働く=対価が発生すること』であり、そのために必要なことを考えるのは当たり前だと思っていました。個人的な話ですが、紹介文にも書いたように、私自身はビジネスと心理学のWメジャーホルダーです。一時期はMBAを取ることも考えていたほどでした。
そんな私にとって、商売をする以上、『どんなビジョンをもってビジネスを展開するのかを考えること』は、特別なことではなく、ごくごく普通のことでした。
ただ、その考え方が心理業界ではあまりスタンダードではないことや、共感される考え方ではないこともわかっていました。だからあえて言葉にもせず、私の中に置いていた考え方でもありました。
でも、この方はネガティブにではなく、大変好意的に私の考えを受け止めてくださった気がします。その後この方とは2回ほどお話をする機会があったのですが、その都度、とても興味深く私の話を聞いてくださっていました。
「心理職の在り方とビジネスのことを考える」ことが人に受け止められるという、この体験は私にとってとても不思議な体験だったので、前述した友人にこの話をしてみることにしました。
ちょうどそのころ、私の友人はビジネスを多角的に展開するときだったので、マーケティングのことを少し話したりしていました。
そうしたところ、友人から「きりん。さんのその考えてることを、ブログとかで他の人に伝えてみたら??」と勧められたのです。「それはきっと他の誰かにとってすごく必要な価値だし、あなたが価値がないと思っていることは誰かの価値かもしれないよ」と。
私にとって心理職のことを考える=ビジネスの展開を考えるというシンプルなものの考え方は、他の人にとって価値のあるものではないと思っていました。
でも、この友人やお仕事先の方はそれを貴重だと言ってくれる。
心理職にとって、特に自主開業を目指す人にとって、ビジネスについて知ることは重要だと言ってくれる。
これは私の考えをリフレームするにはとても不思議で貴重な体験でした。
こうした個人的な体験から、前記事は完成したのでした。
〇心理職のこれから
今回この記事を沢山の方の目にとめて頂けたのは、「心理職としてサステナブルであり続けたい」という思いが共感を呼んだからなのかなと自身では思っています。
前記事に書いたように、サステナブルであるには歩き続けなければならない。
でも、その歩みは今のままでは心理職としてのWell-Beingにはつながっていかないのかもしれないと私は思っています。
私たちの仕事は、とても不思議な仕事で魅力にあふれています。
私たちが働くことが誰かの幸せな未来につながる。
なんて素敵な仕事なのだろうと思いますし、だからこそ、私は長い間低賃金でもこの仕事に、この業界に携わってきました。
でも、その支援をする私たちは、本当にWell-beingな状態にあるのでしょうか。
少し本論から離れてしまうのですが、WHOの憲法前文を皆さんはご存知でしょうか?
その中に、こんな一文があります。
「健康とは、完全な肉体的、精神的、社会的に良好な状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない。(中略)到達し得る最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的もしくは社会条件の差別無しに万人の有する基本的権利である」
この中の社会的に良好な状態とはまさにWell-Beingのことを指しています。
自分たちがよりよく生きること。それがその人の最高の水準であること。
私たちは支援者であると同時に、一個人でもあります。
そんな私たちは本当に一個人としてのよりよく生きることを追求できているのか。
そして、それは業界の社会通念としてある考え方に育っているのだろうか。
こうしたことをビジネスという視点から改めて考え直し、そして、より良い方向へ向かえるようになれば素敵だと思い、このnoteを始めてみることにしました。
心理職が社会の中で認知されつつある今だからこそ、私たちは変わることができる。より良い方向へ。
こんな私の個人的な思いが、誰かのもとに届き、そして、その誰かがまた別の誰かにとバトンを渡すようにつながって、この業界に携わる人のWell-Beingにつながれば‥‥と心から願っています。
最後まで私の個人的な思いを読んでくださってありがとうございました。
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