見出し画像

ゆらぎ

 大学四年生の7月。もうすぐ八月。
大学生は「人生の夏休み」というが、私の感覚だと「ゆらぎ」の時間といえる。そのくらい、感情の波が激しい。ゆらゆらゆらゆら。価値観と生き方がゆらぐ。自分が揺らぐ。ゆらゆらゆらゆら。流れに身を任せて目をつぶっていたいが、そういってられないのも現代社会に生きる人間ならではの苦み。

 ベランダに出ると、目の前には若々しい新緑の木々が広がっている。のっぽなビルなんか一つもなくて、ただ自然だけが前に広がって。そんな空間を夢見ている。今の私は。結局苦しい。だってあちこちにコンクリートで固められたビルが並んでいて、その中で人間が頑張ってる。人間は何を思ってる?人間は人間らしく生きられてる?

私は、私は何なのだろう。
いきいきとした自分を忘れて今はただ宙ぶらりんになっている。横たわっている。

苦しいのに、呼吸をして生きていかなければならない。人間とは何かなんてせいぜい100年しか生きられない私は意味を見出せるわけないのに。

なのに、いつでも幸福でいたいと願っている。私は幸福なままで生まれ、幸福なまま死んでいくことを願っている。漠然とした不安が私を襲い、夜中2時になってもレポートを書き出せない自分でも、気が付けばかけがえのない幸福に包まれていることを願っている。

願いは願いのままで。そのままでいて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?