韓ドラにハマる前に韓国映画について思っていたこと

あれは2020年の最初だったか、とにかくコロナが流行り始めてはいたけど、まさかこんな風になるとおは思いもしない頃だった。日本から権利元の会社の人が来て、私のプロジェクトではないが、パートナーのボブとジョンがやっているプロジェクトなので、少しコーディネーションと通訳を手伝った。某日本の人気アニメ作品の実写化を作っているテレビ制作会社の社長との会食の際、彼はひたすら、ポンジュノ監督の話をしていた。それは、あの20年のアカデミー賞の発表の前で、とにかく外国語の映画がノミネートされたと言うだけでも驚きの事実で、唾を飛ばさん勢いで前のめりに話していた。彼はポンジュの監督の過去作品のテレビ化も手掛けていて、監督の才能をそれは高く評価していた。その前日の会食でも、某バットマンの1キャラクターにフォーカスした映画で大ヒットを飛ばしていた制作出資会社との会食でも、いかにポンジュノ監督がすごいかと言うことが話題に登っていた。私は映画やテレビを生業にしているくせにアジア圏の作品をあまり見ていないので、ポンジュノ監督の作品見たことあったかな?と思っていた。監督やその作品を知らないと、通訳は難しい。映画見たことないと映画の内容の話とかになるとわからなくなってしまうので、最低でも話題作くらいは見ておいた方が良い。タイトルも邦題出てこないと厳しいし。

そんな通訳としてはお粗末な私には、なんとなく韓国映画はすごいと言う印象がある。アメリカに来てからさっぱり映画を見ていない私の知っている韓国映画は「シュリ」とか「JSA」とかで、韓国映画のダイナミックさや予算のかけ方がハリウッド的ですごいなと思った記憶が蘇った。当時の日本映画はアートハウスのニッチマーケットだけど韓国映画はきちんと世界に通用する商業映画作ってて90年代を生きていた若い私はすごいなあ、なんて思った。留学してから思ったのは韓国の人はわりかし愛国心が強く、留学終わっても故郷に錦をと言う心意気の人が多いように思われた。兵役があると言うのがきっとその要素の一つと思うけど。日本人は逆に、人数も減ってきていたし、とにかくあまり群れにならない。志の高そうな人は特に群れない。渡米直後には分かりにくいが、外国で生きていくには自分の持っているバックグラウンドを生かすのが一番だが、日系社会があるなら、そこの力を借りるのがWinWInだと思う。しかし、日本人はとにかく溶け込んでしまうので仲間が探しづらい。韓国人は人数も多かったし、何せすごい大きなコリアタウンがあるし、韓国のアイデンティティとホコリをもってアメリカ生活にむしろ溶け込まない人が多かった。それでもUSCやUCLAのフィルムスクールに入る韓国人は多く、こう言うことが10年20年後の映画界を変えていくのかしら、とぼんやり考えていたのだけど、変えていった。本当に。

韓国語の映画がアカデミー作品賞をとるって、もうすごい驚きの事態だと思うんだけど。この「パラサイト」の受賞はハリウッドの様相を一変させたのは間違いない。「Netflix500ミリオン、韓国ローカルプロダクションにアプルーバル」も今年(2021)のオスカー最有力のひとつの「ミナリ」も。この韓国ブームはしばらく続きそうだ。ハリウッドには流行はあって、何かが流行ると似たような作品がしばらく流行ったりする。「パラサイト」で人々の韓国映画を字幕付きで見ると言う敷居は下がりむしろカッコよくなって、「愛の不時着」のヒットなどにもつながっていると思う。ディズニーの新しい配信のSTARだって、韓ドラのローカルプロダクション探してるみたいだし。。BTSのビルボード入りやクラミー賞出演なども若い世代に響いている。ダイバーシティの運動の一貫になったあのTwitterの運動でも。あ、だからコリアンブームはクールなんだ。

と言うことも踏まえて、韓国の共同制作とか、韓国の俳優さんとの企画とか考えたいなー。夢が膨らむ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?