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【400字小説】しかえし

 多分、小学生くらいの時。めちゃめちゃヤンチャで先生や親に迷惑をかけていた。正直先生たちの間では、要注意児童リストのトップになっていたのではないかと我ながら思う。それくらい、後先考えず自由だった。

 そんなある日のクラス替え。新学期に隣に来たおとなしめなクラスメイト。とてもじゃないがいじりたくなって、少しばかり筆箱を隠した。勿論すぐに気づかれて、先生に通報された。放課後に職員室に呼び出され、酷く叱られた私を待っていたのは、私の被害者だった。

 からかいにでも来たのかと思いにらんでやると、もじもじしながら、「一緒に帰ろう」と呟いてきた。憔悴しきった私は断る元気もなく、仕方なく一緒に帰ることにした。

「どうして、一緒に帰ろうなんて。意地悪したのに。」
「叱られてたし、筆箱は返ってきたから。」
「いや、そうじゃなくて。いじ」

 丁度大通りの信号待ちだった。私は道路に飛び出していた。

 だから私は、両足がない。



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