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【オペラ研修所】何するところ?どうやって入るの?【リストアップ】

大学を卒業してから劇場にいきなり就職する前に、職業とその機能を知るため、また、オペラ界に踏み入る第一歩としてとても有益な場所。
今日はオペラ研修所について、経験を踏まえて綴っていきます。そして…
私が知る限りのドイツ語圏+ちょっとα の研修所をリストアップしますよー!
これから応募しようと思っているそこのあなた、検索しまくらなくても済むように、ここにまとめました!必要とする方へ。

オペラ研修所って?

研修生とは、簡単に言うとオペラ歌手の見習い、実習生のようなものです。
1~2年間奨学金が付与され、実際に劇場の本公演に小さな役で出演したり、大きな役のカヴァーを務めることで劇場でのお仕事というものを経験しながら、その他レッスン、コーチングや、研修所によっては有名な歌手や、その劇場で働く歌手によるマスタークラスが受けられす。研修所によっては、音楽大学と提携しており、大学の学位を取得できるところもあります。
劇場内部の人間と共に働くことで、外の世界との繋がりもできる、言わば、プロのオペラ歌手になるための、最初の第一歩!ですね。

日本からでも応募することは可能!ただ、当然ですが、その国の言葉が話せる必要があります。

年齢制限は?

研修所ごとに異なります。女性は28-30才くらい、男性は30-32才くらいまでのところが多いです。が、年齢制限のない研修所も…

ここで私の経験を通して、ひとつの例を見て見ましょう。
参考までに、どぞっ!

テューリンゲン州オペラ研修所

私がお世話になった研修所。現在の情報(大まかな日本語訳)と、当時の私の経験談も含めて、ここに書いておきます。
ちなみに、※印は、私個人のコメントです!笑。

どんなところ?

Thüringer Opernstudioは、ワイマール音大が提供する、ドイツ国立劇場ワイマールエアフルト劇場ノルトハウゼン劇場アルテンブルク・ゲラ劇場と提携して、若く才能ある歌手たちに、プロのオペラ舞台を継続して経験させ、磨きをかけるチャンスを与えるための大学院研究コース。
研修生は新作品やレパートリー作品の中で適した役を演じ、上記4劇場の公演に定期的出演します。それと同時に、個々の必要性に伴って(声楽、譜読み、語学、演技)大学の授業を通して指導を受けられます。
研究生に付与される奨学金は、経済的問題に左右されることなく、芸術的技能の向上に集中することを可能年、また実践的な研修により、就職に繋げる機会を増やします。

研修所での研究

  • 期間: 2ゼメスター / 1シーズン (=1年); 個々の研修生に対する各劇場の判断によって、もう1年の延長も可能。冬ゼメスター始まりです。劇場のシーズンと、学校の授業期間が同じではないので注意。
    ※私は就職が決まったので1年で辞めました。でも、焦って就職しなくてもよかったかなーと、今になって思っています。笑。

  • 劇場での研修内容: 定期的な稽古参加、公演出演による、実践的な職業経験。配役は、研修生個々の適正能力と、成長機会が考察されます。
    授業や稽古はドイツ語で行われるため、それに十分なドイツ語能力が必須であることを注意してください。

  • 学校での研究内容: 大学教授による、声楽の、個人、またはグループレッスン。演技授業、オーディショントレーニング、歌曲や役の研究、ドイツ語の舞台発語、歌曲コース。

    ※私の在籍期間にはBrigitte Fassbaender先生のマスタークラスがありました。私は劇場側が忙しくて参加させてもらえず、滑り込みの聴講でしたが…

  • 取得できる卒業資格: 適した研究が証明された場合、各劇場の評価を含む証明書が最後に授与されます。
    ※こんなのなかったぞ!笑

  • 奨学金: 研修期間 月/ 1.300 Euro 
    ※私の時は850€だったような… また、大きな劇場の研修所だと、これに加えて、本公演出演ごとに出演料が出るところもあります。いいないいな。笑。

  • 定員: 最大6人

入学条件

  • 声楽専攻である研究の卒業資格(もしくはそれ同等の卒業資格)

  • 年齢制限: 30才(応募時点)

  • オーディション形式の入学試験に合格すること

    オーディションについての情報が知りたいかたは、こちらの記事をどうぞ。↓

応募

オンラインポータルからの応募。
募集期間は10月1日から11月5日。
※ということは、志願者は毎秋、要注意!

必要書類を添付、ポータル登録時の応募者番号を記載したメールを担当者(Frau Anja Gläßl, anja.glaessl(at)hfm-weimar.de)へ送ること。

必要書類

  • 出願用紙(オンラインポータルからプリントアウトしたもの)

  • 署名付きの表形式の履歴書(オペラ歌手の職業に関連した内容/ これまでの学歴、舞台経験、歌ったことのある、または勉強済みのレパートリー等)

  • 証明写真 1枚 (データで)

  • 声楽専攻の研究の大学卒業証明書

  •  YouTubeのリンク 3つ/ ビデオ:
    あなたの声種で実力を十分に証明できるアリア、シーンで応募してください。
    最近録画された、暗号化されていないビデオをYoutubeにアップロードしてそのリンクを、ポータル上で我々に送ってください。
    CDs, DVDs, MP3やその他形式のデータは受け付けません。

  • 受験料 50ユーロの振り込み証明

申請書の受領は、すべての書類を受け取り次第、書面で確認されます。
※メールが送られてくるはず

提出された書類に基づいて、予選が行われます。予選通過した志願者は、書面(※恐らくメール)で、オーディション形式の入学試験に招待されます。
全て正確に記入され、提出された応募のみが受け付けられます。

オーディション

オーディションは1、2月頃に劇場で行われます。(※毎年違う)
各劇場の代表者で構成される合同の審査員が審査を行います。
場所や時間などの詳細は、予選通過した者のみに送られます。

オーディションの課題

  1. アリア 4曲。少なくとも2か国語以上で、20分程度。(ドイツ語のアリアを少なくとも1曲必須。)

  2. その場で、即興演技を強いられることがあります。(10分程度)


多少の違いはあれど、どこの研修所も似たような条件なところばかり。自身で応募要項をきちんと読むこと。また、毎年同じだったのに、急に期限が変わったりすることもあります。油断禁物!要チェック!

ある程度の情報は※印で追記しましたが、私の体験談をここでひとつ。

私の体験談

私がこのオペラ研修所に在籍したのは1年間。ワイマール音大のゼメスターは10月始まりでしたが、エアフルトの稽古は8月末には始まりました。
私が在籍した1年間で私が担った仕事は、

  • エアフルト テバルドと天の声(ドンカルロ)、*クセニア(ボリスゴドゥノフ)

  • アルテンブルク・ゲラ ムゼッタ(ボエーム)、巫女1(タウリスのイフィゲニア)、*メンデルスゾーンのオルガンコンサート曲、妖精2(真夏の夜の夢/メンデルスゾーン)、研修生コンサート

  • ワイマール 眠りの精、露の精(ヘンゼルとグレーテル)、ケートヒェン(ウェルテル)

  • ノルトハウゼン なし!!笑。

  • これに加えて、研修所外になりますが、ゲストとして、ライプツィヒ歌劇場で小さな役(魔笛のクナーベ、トスカの羊飼い)を歌っていました。

*印は、急遽受け持ったもの。いわゆるジャンプイン。どのオペラの公演も3~5公演程度でした。住居はワイマールでなくてはならなくて、毎日電車に乗って隣町まで通います。あまりに不可能なスケジュールの場合だけ、劇場が準備してくれる宿に泊まることがありました。

研修期間というのは、オペラ歌手という仕事が、また、専属歌手という仕事が本当に自分に合っているのかどうかを見極められる期間でもあります。例えば…私の研修所同期の友人は、入所3か月経つか経たないかの頃、稽古でこんなに待たされて、人生の無駄だ。こんな職業は僕には合わないし、劇場は僕は好きじゃないことがわかった。と言って、辞めました。ドイツ人の素晴らしいテノールでしたが、彼は、効率よく働きたい、好きなことだけやりたい、自分が自分のボスでありたい、といった性格で、今は得意のコンピュータープログラマーをやりながら、コンサートや、自分の興味のあるオペラ公演をフリーランスとして歌ったりしています。

私は、何せ歌ってご飯を食べていきたい!の一心で、どの公演も稽古も本気で取り組み(それは性格かな。今もそう。笑。)、どんなチャンスも逃したくない気持ちでいっぱいでした。先ほど述べた、急遽受け持つことになったプロダクションもそう。ロシア語の役(小さな役です。アリエッタがありました)を3日で譜読み、暗譜してオーケストラ稽古から参加、5日後にはプレミエを歌いました。苦労は買ってでもしろ。私はこの機会で、自分のポテンシャルを証明したかったのです。また、こういった緊急事態が私は大好きで、やってやろうじゃないの!という性格なのも、この職業に向いていたのかな。同期や同僚たちは、お金も出ないのに、やらなくていいんじゃないの?といった意見ばかりでした。

余談が長いね。ごめんなさい。

こちらの音大を卒業して1年の間に、研修所指定とはいえ3つの劇場で働く機会を頂戴したおかげで、各劇場とのつながりもできましたし、そのうちの1つ、アルテンブルク・ゲラに専属ソリストとして就職が決まりました。
エアフルトの人たちは今でも時々お仕事で呼んでくれますし、私が今の劇場に異動することになったのも、エアフルトからヴュルツブルクに異動が決まった人が私に声をかけてくれたからでした。また、研修中のコンサートで出会った指揮者が、その後も他の劇場や町でのオペラやコンサートのお仕事に声をかけてくれたりします。最初の方に述べた通り、実際に、研修所での経験が、外との繋がりにもなったわけです。私はここの研修所しか経験していないので、よそについてここまで詳しく述べることはできませんが、どの研修所も、とても大切でありがたい最初の第一歩になることは間違いないでしょう。
また私は劇場という場所が好きだと知ることもできました。

では皆さんお待ちかね?!全国すべての... とはさすがにいきませんが、私が知る限りのドイツ語圏+ちょっとα (全32件)のオペラ研修所、そのホームページと、知ってる情報があるところはそれも書いていきます!

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