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大虎の泣く子も黙る小説小噺

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2020年2月の記事一覧

#0 私が小説を読むようになったわけ

短編小説を読みたいというラザニアに、彼女の好きそうな小説を偉そうにいろいろと紹介した。彼女に合っているかどうかはまだわからない。読んですぐによいと思うものもあるだろうけれど、時間が経ってからよいと感じるものもある。読むことは他人の考えを知ることだから、わからないのが当たり前だし、時間がかかるのもしょうがない。わかることなんて重要ですらない。何度も読めばいいし、わからなかったら諦めてもよい。引っかか

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#1 羽蟻のいる丘/北杜夫

北杜夫「羽蟻のいる丘」(新潮文庫『夜と霧の隅で』収録)

女の子がじっと土を見つめている。蟻がいるからだ。蟻の行列を見つめて遊んでいるところから、徐々に後ろのほうにいる男女へと話は向かっていく。女の子の母親と、色が黒く額が広いけむくじゃらの男の二人が何やら話をしていて、その会話が小説の核心である。男女の心理の機微がそこはかとなく穏やかな空気のなかに描かれている。終盤、男のある一言で突如しかし必然性

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