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カスタマーサクセスサクセスはGRR(チャーンレート)とNRR(クロスセル)、どっちが重要?

カスタマーサクセス界隈大騒がせ!Jason Lemkinさんの波乱あるブログ発信

最近、米国のカスタマーサクセス界隈のTwitterで争論になっていたテーマがありました。発端はSaaStrの創業者、Jason Lemkinさんの下記の記事です。

Why NRR is Probably The Wrong Core Metric for Your Customer Success Team(カスタマー・サクセス・チームのコアメトリクスとして「NRR」がふさわしくない理由)

Jason Lemkinさんは、下記の私の記事でも触れたのですが、米国のSaaS経営における最先端の情報の発信源になっており、いま米国でブームになっているカスタマーサクセス指標の「NRR」がふさわしくない、という発言には多くの反論もありました。

Jason Lemkinさんって誰?という方にこちらのブログ記事を共有

記事の概要は下記です。なお、GRR、NRRの計算式については下記の記事にまとめられておりますので、事前にご一読ください。

カスタマー・サクセス・チームのコアメトリクスとして「NRR」がふさわしくない理由(概要)

・NRRは、カスタマーサクセスのトップ3に入る重要な指標である
・しかし、NRRが高い環境とは、営業やカスタマーサクセスの現場が怠けがちになる
・というのも、NRRが高いと、解約が気にならなくなってくる。(アカウント増やクロスセルの売上が大きい製品であれば、解約の影響が財務的に小さくなる)
・製品力と市場地位が高ければ、カスタマーサクセスのチームが弱くてもNRRの数値はそこそこになる
・これは製品が勝手に到達しているようなもので、カスタマーサクセスの成果とは言えないのではないか
・だから製品が勝手に拡大させているエクスパンションの売上を差し引いた、GRRでカスタマーサクセス現場の目標を設定するべきだ
・NRRを採用するなら、私の考えでは、セグメントごとにNRRを向上させる目標を設定すれば効果的である
・というのも、NRRが低いセグメントがあればNRR向上の動機づけになる

上記ブログより意訳&藤島が大幅加筆

これに対して、近年NRRの重要性を積極的に発表しているGainsightのCEOであるニック・メータさんは、下記のようにLinkedInでコメントしています。

「とはいえ、NRRも重要なことは間違いなく、GRRはGRRで契約拡大の状況が見れないのは指標としてマイナス面があります。つまりどちらの指標も重要だということ。GRRが悪ければGRRに注力するべきですが、GRRが良いならNRRに注力するべきです。」

openpage藤島の所見は「チャーンレート→NRR」の順で強化するべき

私の所見としましては、日本のSaaSベンダーやSIにおいては、まずチャーンレートを重視(ここで言うところのGRR重視)をすることから始めて間違いないと思います。多くのSaaS製品がまだまだ単体製品として拡大期にあり、その拡大過程において顧客層が広がっても契約維持率を保てるかが経営において重要だからです。

しかし、中長期のSaaS製品の経営、という視点に立てばNRR重視は必須になるものです。CS PROUDでのイベント登壇もご一緒してすっかり仲良しになり、非常に尊敬しているALL STAR SAAS FUNDの神前達哉さんの下記の記事では、アップセル/マルチプロダクト戦略の重要性について触れています。

NRRの重要性を説くALL STAR SAAS FUNDの神前達哉さんの記事

こちらの記事が非常によく出来ている内容でしたので、中身を一部引用させていただきます。既に多くの米国先端企業は、SaaS経営においてシングルプロダクトではなくマルチプロダクトでLTVを高めていく戦略を採用しています。つまり、企業経営において複数製品のクロスセルによるNRR向上を、経営戦略の中に織り込んでいると言えます。

神前さんが共有した、Samsaraのプロダクトローンチの図。

このNRR向上に関して、NRRという言葉は使ってはいないのですが、You Tubeのフォーマットに沿った形で弊社でカスタマーサクセス情報を発信するopenpageのYou Tubeチャンネル「カスタマーサクセスTV」でも解説しています。

You Tubeチャンネル「カスタマーサクセスTV」におけるクロスセル解説(暗にNRRを説明)

こちらの図で触れているのですが、カスタマーサクセスの観点では単一製品のカスタマーサクセス体制を構築後、マルチプロダクト開発を見込んだ総合的なカスタマーサクセスの設計が求められます。

カスタマーサクセスTVからの抜粋

さらにわかりやすくすると、神前さんは上記のブログで、NRRの向上要素を下記のように分類しています。

神前さんの作成図(WorkdayのGeoff Byron氏図解を参考に加筆)

GRR、NRRの指標のニュアンスを理解する

まず、解約率を防ぐことは必須で、これはJason Lemkinさん、Gainsightニック・メータさんともに共通認識だと思います。

Jason Lemkinさんの発信は、「製品が②の従量課金、セールスが④のクロスセルを頑張るので、自動的にNRRが上がってしまい、カスタマーサクセスが①チャーンを防ぐ、をサボってしまってもわからないんじゃない?」(だから②と④を抜かしたGRRを見よう)ということを言っていて、これはカスタマーサクセスをやっている人からすると少し失礼な発言ではあります。笑

そしてGainsightニック・メータさんが語るのは、「もちろん①チャーンを防ぐことは何よりも重要だけれど、単一製品で①の担保が出来た次のチャレンジとしては、②の従量課金、④のクロスセルをカスタマーサクセスも担うことで、カスタマーサクセスが収益向上により貢献するべきだよね」(GRRが低いなら①を重視するべきだけど、高いなら②と④にコミットするNDRを見よう)ということです。

私は、Gainsightのニック・メータさんの発言に賛成で、Jason Lemkinさんの発信は理解はできるものの、現場感としてはサボるなんてとてもそんな余裕がなく、仮にサボるとするならば、目標設定やインセンティブ、企業文化などに問題があるものだと考えます。もちろん、この指標は捉え方の話でもありますので正解はありません。読者の皆さまはどちらを重要と捉えるでしょうか?

おわりに

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