企業で共創する仕組み

「仲間と共に良い物を創る、共創する」という言葉は響きが良く、仲間と共に行動した・何かを成し遂げた人にとっては心に届く言葉ではないだろうか。スポーツで全国大会を目指したり、ハッカソンやアイデアソンでより良いものを創っていく過程等が正しくそうだ。多くの会社では、この協力して一致団結する事が求められている。

まず第一条件として、この共創には
・ある程度信頼できる
・みんなでコミュニティを上手く回していける/より良くしていける
人がいる事が条件だ。ボランティアや市民活動、またNPO等はここが上手くいけば上手く回ると思う。

 しかし、技術や資金が絡んでくると話が違ってきて、信頼だけで無く信用も必要であり、更に高い個人能力も必要になってくる。
 そのため、技術開発部等の研究や緻密なシステム開発、知的財産・特許等が絡む場合には、共創しにくくなっているのが本音と言える。
 研究では自身の経験と知識を元にした直感を元に、地道に枝葉を伸ばして、実験と検証を繰り返していく事が求められる。そして緻密なシステム開発では機器同士の状態を考慮し、一つの変数が影響する範囲を抑えておき常に正常動作する設計と検証が求められる。多変数が影響する場合に置いて問題点を見つけるのは全体を脳内で緻密に計算し、機器の相互依存を把握する必要があるのだ。
 知的財産・特許が絡む場合には、信頼できる人にしか話す事が出来ない。協力者なので良かれと思い仮に多くの人に情報展開してしまうと、知財保護出来ないどころか他社に技術を持っていかれかねない。
 情報の収束性、拡散性を考えると共創し難い分野であると言わざるを得ないのだろうか。

 しかし、信頼と信用をクリアした人財がいる組織においては、情報共有を密にした共創が上手く行くのではないだろうか? お互いの知識と能力を掛け合わし、優れたアイデアを実現する事で生まれてくるものがあるのではないか? 資料はTeamsやSlack、ソースコードはgithubで共有する。オープンソースと同じ文化が企業でも通じるのではないだろうか? そしてアイデアソンやハッカソンを定期的に行ってみる。モチベーションの高い人材が集い、語らい、突然変異が生まれるのではないか。

 中村修二 氏の「怒りのブレイクスルー」を読み、「孤独」と「集中」が生み出すブレイクスルーだけでなく、現代の企業における共創するイノベー
ションの在り方について一考した次第だ。 

誰もやっていない方向へ舵を切る、実験機材が無いなら自分で創る、この先見と決意。この時代はインターネットが出始めで商用サービス化されていない1980年代、今となっては海外からある程度の機材は安く整えられ個人でも実験・研究・開発ができる個人メーカー時代だが、知識と経験を頼りに一人で装置開発と実験を黙々と続け、会社からの命題よりも自分の意思と直感を頼りに進んできた姿勢に感銘した。
苦労して考えた経験が直感を育み、「孤独」と「集中」がブレイクスルーを生む。そしてこの時代は、共創が加わる事でイノベーションが生まれるのだと信じている。

共創したいができていない一個人の立ち位置にて、企業での技術開発の在り方を今一度問い直したい。


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