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ひとまず世間話02 #ふりかえり③

旅をするからには、その土地がどんなところなのか、一言で説明できるようになりたいって思うわけですよ。

これを「土地の顔」と呼んでみようか。

東北地方の一巡目の旅でつかんだイメージを3枚の写真で語ってみよー☆

青森県ってどんな顔?

優しい鬼にお地蔵さん
(恐山・八葉塔より)

宮城県ってどんな顔?

志波(しわ)の大地に塩の花 

岩手県ってどんな顔?

ちゃぐぽんがラスボス(確信

おいおい、岩手県はもっと他にあるだろ。鬼に優しい仏さまとか。そんな3段オチ。

福島県はまだ会津に行ってないし、秋田県は田沢湖の宿題があるから保留。

全然顔が見えてこないのが山形県。今、資料を読んでるところ。

4泊5日、移動の過酷さがどうでもよくなるくらい楽しかったな。

課題は荷物の軽量化。コインランドリーとか使えば着替えも減らせるし。

アクセス状況をみると、ケツ(結)記事が伸びてるのはいつものことだけど、恐山回の⑤が意外に健闘してる。

地獄や死者の魂が集まる場所をあんなに茶化して書いて大丈夫なの?

なんて引きぎみにとらえている人がいたらいけないので補足しておこうか。

下北半島の地図
(観光パンフレットより)
恐山の位置は大湊の少し左上のあたり

死者の魂が集まる場所として、よく言われるのはお山。

そして海。海の彼方には常世がある。

さらに岬。常世に飛び立つためのジャンプ台とされている。

恐山がある場所は地形的にはウショロ、つまり窪地。

マサカリのような形をした下北半島における岬のどれにも該当しない。

宇曽利湖の向こうにお山はあるけど、大尽山は下北半島最高峰ではない。

最高峰は釜臥山(かまふせやま)。標高は878m。

つまり、恐山は死者の魂が集まる場所の優先順位としてはけっして高くはないってことがわかる。ただし、

宇曽利湖と大尽山の山容の美しさは本物だ

だからこそ、慈覚大師円仁はここに聖地をつくろうとした。

火山ガスが噴出する岩肌の一帯を地獄に見立て、本尊・地蔵菩薩を中心にさまざまなお地蔵さんを配置することで、地獄に落ちた亡者を救済する地蔵菩薩の姿を体感できる場を設けようとしたんだ。

恐山の本質は、地獄と極楽のテーマパークだってこと。

極楽としての温泉や宿坊だってあるしね。これすごく大事(笑)。

口寄せ(イタコ)については寺院側は関知していない。

そういう地域の文化を保護するために黙認していることの優しさを評価するべきじゃないのかな。

死者を冒涜する行為は許せない。

開発のために墓所を壊す連中も、明治維新のときに寺や仏像を破壊した連中も。

エンタメを意識してギャグも使ったりするけど、死者を茶化したりなんてことは絶対にしないし、自分のキャリアにおいてしたこともないってことだけは書いておこうかな。

昔、ばあちゃんに言われたっけな。

「あんたがそういうのん(神仏)に興味があるのはええけどな、無縁仏や落武者のお墓だけはいろたらあかんで。これだけ言うても聞かんかったら知らんよ」

「いろたらあかん」ってのは、触ったらダメって意味の大阪弁。

それが転じて、「かかわるな」っていうこと。

すごい剣幕で言われたんで、それはさすがに守ってる。

千葉県は里見氏の血みどろの合戦場でもあったので、そういう場所にはなるべく近寄らないようにしてる。

でも、里見ゆかりのお寺だと妙音院(館山市)はものすごくいいところ。

安房高野山妙音院(館山市)
火渡りで有名。来年こそは絶対に行く

ご住職も優しい方で、如意宝珠(龍が持っている何でも願いが叶う珠)の話をしてくれた。

宝珠は俺たちも心の中に持っていて、自分では取り出せないけど、観音さまがひょいとつかんで願いごとを叶えてくれるんだってよ。

お地蔵さんもいいけど、観音さまもいいかも(笑)。

そんなわけで(どんなわけだ?)恐山は断然おすすめ。

俺は行ってみて人生観が変わった。

地獄と極楽は紙一重。心の持ちようなんだ。

個人的には④の鬼神社が思い入れあるけど、弘前市にはまた行くつもりでいるので、いつの日か書くであろう完全版に乞うご期待☆

速報記事はちょこちょこ書かせてもらってるけど、やっぱり最初に書いたこれが別格。

あまりの暑さに「真夏に祭りやるのも考えもんだよなー」とか愚痴ってた人見神社の関係者も、自分たちが毎年やってる神事についての記事がいまだにわらわら読まれているとは気づくまいて。うひひ。

注目されている理由が後半の神馬ちゃん劇場であり、キャプション芸が見事にハマったパターンだっていう自覚はあるよ。

何ゆえのキャプション芸なのか、語っておこうか。

子供のころから書くことが好きで、学校を出てすぐに大手出版社の週刊コミック誌が募集している漫画原作賞に入賞して、書き手としてのキャリアをスタートさせた。

でも、結局は鳴かず飛ばず。

理由はわかってる。世に問うべき自分というものがなかった。

もっというと、書くことはアウトプット(出力)であり、書くためのインプット(入力)の作業というか努力が圧倒的に足りなかった。

感性だけの若書き(才能)で乗り切れるほど、プロの世界は甘くはないってこと。

そこで、取材力を身につけるべく、ゼロから出直すことにした。

といっても、政治経済はちんぷんかんぷんだしグルメも大して興味ない。

得意分野があるとすれば、子供の頃からやってきた格闘技の世界ぐらい。

そこで、当時あったいくつかの専門誌に片っぱしから電話して営業をかけた。

【結果】全部断られちゃいました

そりゃそうだよ。どこの馬の骨かもわからん奴を起用するほど雑誌はヒマじゃない。即戦力でもなければ使ってはもらえない。

でも、その後で、一社から連絡があった。

ムック本を作りたいのでライターを探していると。

お題は「プロの格闘家になるにはどうすればよいのか」。

いろんな競技の関係者に取材して、一本の記事にまとめ上げた。

それが気に入られたのか、ある日、専門誌の編集長に呼び出された。

「今日からうち(専門誌)で書いてもらうことになったのでよろしく」と。

え、いいの?

お茶くみ雑用トイレ掃除からはじめるつもりだったのに。

現場から離れてかなりの時間が経つけど、今でも思うよ。本当にいいの?

そこからの悪戦苦闘の日々については、今回の主旨からずれるので省略。

編集長はとても尊敬できる人物で、彼が持っているスキルはなんでも盗んでやろうと思って必死に食らいついた。

そんなある日、俺が書いた記事にはじめてダメ出しされた。

本文じゃなくて、キャプションについて。

「もっとキャプションをしっかり書いた方がいいな。読者は本文よりもキャプションを読んでる」

はっきりいって手を抜いてた。キャプションなんて写真の補足説明ぐらいにしか考えてなかった。

詳しくいうと、雑誌はレイアウトの都合で先に写真の大きさや配置を決める。

結果的に本文の文字数がカットされてしまうこともしばしば。

でも、キャプションは写真が大きければ大きいほど文字数も多くなる。

写真どころか本文の補足までできてしまうんだよ。

それに気づいてからはキャプションといえども一切手を抜かなくなった。

むしろ、本文には書けなかったことまで書いた。

もうすっかり内容も忘れちゃったけど、あるとき渡した原稿を編集長がチェックしていて、クスッと笑ってた。どうもキャプションのことらしい。

「ここのところ、そうだったんだ(笑)」みたいな、写真とはまるで関係ない裏話だったと思う。

してやったりですよ。

専門誌やってると、読者から手紙をもらったりもする。

俺が書いた記事を絶賛してるんだけど、どうにも書いた覚えがない。

雑誌読み返してみたら、本文ではなくキャプションのことだった。編集長、あなたは正しかった。

徹夜続きで眠くて、ぜんぜん覚えてなかったよ。

それぐらい追いつめられてたほうが冴えた文章書くってこと?

いや、冴えてはいないな。本能むき出しのホンネの文章だな。

だから、読み手に刺さったのかもね。

人見神社の神事の話に戻るけど、やってはいけない禁じ手を2つ使ってる。

一つは、本文で神馬を「神馬ちゃん」と呼称していること。

ともすれば、7月の猛暑の中、神馬ちゃんに三百数十段の坂を駆け上がらせるのかと思われがちなこの神事。

もう一つは、

残りの時間は神馬ちゃん劇場でも食らいやがれっ。

の部分。

乱暴な言葉づかいのことではなくて、「時間」という概念。

本文は文字で表現されているのだから、時間という概念はそぐわない。

でも、両方とも直さなかった。

ワンちゃん猫ちゃんと本文に書くことだってあるなら神馬ちゃんだってアリだ。

むしろ、書き手の個性として押し通すべし。

残りの時間というのは、読んでくれている人たちの時間のことだ。

読者のためにとか、格好いいことはいくらでも書ける。

たしかに筆がすべっているかもしれないけれども、俺は書き手の本能で読み手のみんなにボールをぶん投げてる。

読んでくれているみんなの時間を思うことで、読み手と向き合えてる。

そのことに気づいて、なんかうれしかったよね。

俺はまだ、書き手として大丈夫なんだって。

人としてどうかはわからない。

相当どうかしているとは思う(笑)。

理屈はともかく、楽しんで読んでもらえればそれでいいよ。

該当する記事以上に熱く語っちゃってるけど、そんな感じでーす。

あ、そうそう。

この前、某牛丼店で食券買ったら、前の人が取り忘れた食券が残ってて。

すぐに店員に届けて、他のお客に声がけしてくれるかと思ったら、忙しいのかなかなかしてくれないわけ。

そうこうしてるうちに後ろのテーブルのじいさまが怒り出しちゃって。

「注文してから何分経つと思って ←あーあ、まずバナはじめちゃったよ。

【おしまい】

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