「編み縫う」という安らぎを心に持っておくと、乗り越えられる気がした│介護業界で働くことは難しい2
介護の職場で働くようになって半年。デイサービスでは「体操の先生」と認知してくれるようにはなりましたが、参加率が低いという悩みがあります。本当に向いていないし辛い、と思う日々を支えてくれていたことがありました。
それは「編むことと縫うこと」。
手芸を趣味にしたいと、ずっと思っていたのですが、なかなかできませんでした。料理本と同じくらい手芸本を読むのも大好きなんです。
憧れはあっても才能が無い、私にとって手芸はそういう世界でした。
(1)編むこと
冬からずっと編んでいたのですが、初心者が編み物を始めるというのはとても難しくて。編んではほどき…を繰り返していました。もう教室に通うしかないかな〜と思っていたところ、Eテレすてきにハンドメイドで「白いポシェット」の回を見ました。←再放送みたいです。
可愛い。
けど、モチーフ16個も編めるんだろうか?
とりあえず、ひとつ編んでみよう。
時間はかかったけど、編み上がってみると、編めそう、という心境になりました。そして早く繋いでみたくて、妹にも応援を頼みました。
なんとか10個編めました。初めて挑戦したので大きさがバラバラすぎて、うまく繋がるのかちょっと心配なところ。またポシェットが完成したらnoteに書こうと思います。
(2)縫うこと
こちらはもっと難しくて。昔から針は本当に苦手で、ミシンを使えば糸が絡まるという不器用っぷりでした。
ただ、私にはひそかな夢がありました。それは「お直しできるようになりたい」ということ。お直し本を読むのが好きなんです。
大好きな2人の作家さん。
刺繍やダーニングなど、いろんな方法があって、読むだけでも癒やしの時間です。
(3)デイサービスでの体操事情
正確には乗り越えられていません。いつ切られるか分からない不安定さと闘っています。利用者さんたちが「あのひとは嫌」と言えばそれまで。
私の働くデイサービスでは午前と午後で時間帯を分けています。曜日によって、1人〜13人の利用者さんがいます。必ず体操の時間というわけでなく、畑に行ったり買い物に行ったり散歩したりして自由に過ごすことが出来ます。
つまり、出勤したけど誰も体操に参加しない、ということが起こり得るのです。利用者さんが1人だけの時間帯では、その人が退所されたら私はその時間の仕事を失います。
頑張って準備しても練習しても、利用者さんの体調や気分次第で「今日は体操イヤ」となったりします。雨の日はデイサービス自体を休む方も多いです。そうして参加率が下がり、満足度が低い、という評価に繋がります。
ある曜日で、とうとう参加者ゼロになり、人気が無いなら担当を変えようとなりました。最後の日に4名が参加してくれ、その時の反応が良かったため、続けられることになりました。危うく職を失いかけたのです。
この半年ずっとモヤモヤしていました。
利用者さんにとっては、体操よりも買い物や畑や散歩、お喋りのほうが大事なんです。自分の体を鍛える時間を意識的に作るために、せっかく「体操の時間」があるのに、なぜなのか。
ただ、運動したい利用者さんもたくさんいます。
やる気のある人は理学療法士さんが教えてくれる曜日に集めます。その曜日は毎週必ず体操です。レクリエーションには参加しません。畑にも買い物にも行きません。←もちろん参加しても良いのですが、鍛えたいという人ばかり集まるのでレクを希望しないのです。
施設的には初級クラスと上級クラスと分けたかったようです。そうして、私の担当する時間は自由な人々が集まったのです。
(4)モヤモヤとともに編み上がったもの
そんなこんなで、たくさん編み上がったモチーフです。考えこまないようにするために手を動かしていました。
先ほどの「白いポシェット」の四角いモチーフを先に完成させればいいと思うんですけど、四隅を編むのが少し苦手なんです。力加減が上手くいかないのか、いびつになってしまって。
丸の部分までなら楽しく編める。色も変えたい。ということで、丸いモチーフが量産できてしまいました。しかも、一番外側の編み方が少しずつ違うモチーフになっています。
コースターのようにグラスの下に敷くと、ちょっとだけ透けるのが可愛いです。
デイサービスで働く最大の試練が、メンタルを強くすることとは思っていませんでした。
利用者さんの気分や体調に振り回されず、参加者が1人や2人でもめげない心を、いつまで保っていられるのか。
体操の時間になっても利用者さんの準備が整わない状況をどうしたらいいのか。(食事が終わらない、トイレが混み合う、時間になってから着替える)
雨の日だけ仕方なく体操する利用者さんと分け隔てなく接する心を持てるのか。(雨の日は畑に行けないので全員体操です)
スタッフさんに相談すると、フォローすると言ってくれます。けれど、みなさん忙し過ぎて、手が回りません。
どこまでがんばれるか分かりませんが、編んだモチーフは安らぎのような「お守り」のような存在になっています。
モヤッとするたびに1つ、また1つと仕上がって、成長を実感できるのは嬉しい瞬間です。
そういう趣味を見つけられたのも、この仕事に就いたおかげだと思えば、無駄なことなど何ひとつ無いのかもしれません。
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