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金曜日はチョコバッキーの日

「きょうは?」

朝起きると、まず聞いてくる息子。

「今日は、月曜日だから幼稚園だよ」
と、私が言うと、

「よーちえん、やだー!いかなーい!!」

と答える息子。

最近は週末に目いっぱい遊ぶと、月曜日に幼稚園に行くのを嫌がる。家でマイペースに遊ぶことに楽しみを見出してしまうようだ。

そこから、制服を着せるのがなかなか大変。
毎週繰り返される、このやりとりを改善できないか……。

そこで、息子に提案。

「金曜日まで幼稚園に行ったら、アイス食べようか?」

分かりやすいご褒美戦法(笑)

「あいす、たべる!」

息子はアイスがこの上なく大好き!
アイスを食べたい気持ちが後押しになり、制服に着替えてくれたのでした。


帰ってくると、
「あいすは?」と連呼。

「アイスは金曜日だよ。今日は月曜日だから、あと4回幼稚園に行ったら食べようね。」

と伝えます。
しかし、息子は冷凍庫に張りついていて、何度も開けてアイスを出そうとしている。

すると、パパがアイスを戻して、冷凍庫を閉める。

その攻防戦が何度か続く。

「今日はアイスはなしだよ。ママが作ったクッキーを食べようか?」
と言うと、

「くっきーはかたくて、おえってなっちゃう」

と、すでに涙目。

アイスを食べるための迫真の演技力に、こちらもたじろぐ。

そして、興奮気味に夫が言う。

「こんな表現するようになったの?!」

確かに!アイスを食べたいための表現力として、口の中でかさばるクッキーのデメリットについて伝えてきたから、夫婦で感動してしまった。

その間も、息子は冷蔵庫のアイスを狙っている。まだまだ標準はアイスに定まっている。

小競り合いをしてたらパパの体がちょうどぶつかってしまったようで、息子の頭が冷蔵庫にぶつかった。

ぶつかった頭をさすりながら、

「ここ、ぶつかっちゃったー。いたかったー!」

と泣き出し、私に飛びついてきた。

あまりの衝撃に、尻もちをつきそうになる。

騒げば食べられる構造をつくりたくなかったので、夫が必死に対応してくれたので仕方ない。

「◯◯くん、ごめんね」
と言うけど、息子は声をあげて泣いていた。

推測するに、ぶつけた箇所が痛いよりアイスを食べられなくて泣いているようだ。

そうはいっても、約束は約束だ。
泣いても、私たちは揺るがない。

息子も観念したようで、ママの手作りクッキーをおもむろに食べだし、

「おいしー!」

と、満面の笑み(笑)

おいっ!「オエってなっちゃう」と言ったくだりは、どこにいったんだーい!と心の中でツッコみつつ、ニコニコと息子を見守った。

火曜日

「きょうは?」

相変わらず、朝起きると聞いてくる。

「今日は、火曜日だよ。幼稚園に行く日。パパとママはお仕事の日。」
と言うと、

「うん」
と、言う。

山場の月曜日を超えれば、息子も穏やかな朝を過ごせる。制服への着替えもスムーズだ。

「アイスは金曜日だから、あと4回行ったら食べようね。」
と、聞かれてもいないのに、念を押す私。


帰ってきて、ご飯を食べ終わると冷蔵庫に向かう息子。

今日も攻防戦が始まるのか?と身構える。

「あいすは?」
と、聞く息子。

「〇〇くん、今日は火曜日だよ。アイスは何曜日に食べるんだっけ?」

「きんようび」

(うんうん。よく分かってる。)

「そうだね。今日はアイスの日?」

「ちがう」

「そうだね。あと3回、幼稚園に行ったら食べようね。」

冷凍庫に手をかけず、でも名残惜しそうに見つめながら、自分の椅子に戻ってきました。

昨日の出来事をきちんと理解して、我慢してくれてるんだな。すごいすごい!

水曜日・木曜日

今振り返ると、アイスと言われなかった。
朝に曜日を伝えているので、今日が金曜日でないと分かっているのかな。嬉しい。
子どもの成長はタケノコのように本当に早い。

金曜日

「きょうは?」

相変わらず確認されたので、
「今日は金曜日!今日は……?」

と、聞き返すと、
あいすのひ!

と大きな声。
よく分かってる!ニコニコした顔で、はりきって登園していった。


病院に連れていく予定があったので、帰宅は19時すぎになってしまった。娘のリクエストであるお好み焼きを、ペロリと食べた2人。

満足そうにしている息子に言う。
「〇〇くん、今日は金曜日だよ!」

すると、

「ぼくはちょこばっきーがいいーーー!!!」

と、全速力で冷蔵庫に走っていく。
ついでに娘もダッシュ。

2人の手にはシャトレーゼで買った、チョコバッキーが握られている。

娘はバニラベースのチョコバッキー
息子はチョコベースのチョコバッキー

「あけてー!」

と、息子が言う。

自分で袋を開けられない息子は、私に向かって真っすぐ腕を突き出してくる。早く食べたくて、ウズウズしているのが伝わってくる。

袋から出してあげると、一目散に自分の席に座り、両指でアイスの棒をしっかり持つ。アイスを真上にしたまま、自分の顔を90度近くまで傾けて、アイスの側面にかじりついていく。夢中になって二口、三口と続いていく。

まるで、リスのよう。かわいい、わが家のリスさんのお出ましだ。

アイスの中にあるザクザクのチョコが好きで、その触感がたまらなく美味しい。

私もたまらず、便乗。

みんなでおいしいね~
と、言う。

同じものを食べて幸せを感じられるって、最高の時間だよね。

冬のアイス。
体は冷えて少し寒いけど、心と顔はどんどん緩んでいく。

金曜日はチョコバッキーの日。

「金曜日にアイスを食べたよね~」

いつか、そんなふうに話す未来があったら嬉しいなと、想像しながら。

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