俳句編1 季語を学ぼう 【慶應義塾中等部対策講座】

慶應義塾中等部の入試問題では「俳句」がよく出題されます。
 平成21年・・・句会について問う問題
 平成25年・・・前句付けについて問う問題
 平成26年・・・披講について問う問題
など、塾の授業では、ほとんど扱われないテーマばかりです。

このような出題に対して、付け焼き刃の対策では通用しません。
日常の中で、「俳句に触れる」環境づくりが大切です。
そのためには、「生活の中に俳句が生きている」と言う状態にしておく必要があるでしょう。
それは、机にかじりついて行う「学習」とは異なるものです。

シニアの方でも、俳句を趣味にしている人はたくさんいます。
テレビ番組を観ても、出演者が俳句に挑戦し、段位を競っているようなものもあります。
このような状況を見ていると、小学生であっても、俳句に挑戦することは可能でしょう。
下手でも良いのです。毎日「一句作ってみよう」と思える環境が大切です。俳句は、学ぶこと以上に、実践することが大切なものだからです。

このように、敷居をグッと低くしておくことで、俳句が身近に感じられるようになると、不思議と偉大な先人たちの作品を学んでみようと思うようになるでしょう。
そこで、優れた俳句に沢山触れることで、さらに俳句づくりが楽しくなってくるはずです。
江戸時代の三大俳人である芭蕉、蕪村、一茶の句は、日本人であれば誰もが知っているものばかりなので、是非とも、一つでも多く触れるようにすると良いでしょう。
この三人の句は、日本の文化遺産と言えるものなので、触れる機会を大切にして欲しいです。

俳句を作る時、ルールは至って簡単です。
それは「季語を入れる」ということです。
季語さえ入っていれば、とりあえず「俳句」としての体裁は整います。

「季語の学習」の一環として、実際に俳句を作ることは、一石二鳥と言えるでしょう。
そこでは、気軽な気持ちで、やってみることが大切です。
肩肘張らずに、戯れに作ってみることで、俳句の感覚が掴めるようになってきます。

「季語」を学習する時、気をつけなければならないことは、季節のずれです。
俳句の季節感は、旧暦に基づいたものです。そのため、現代の暦とは1ヶ月位のずれがあります。
この「季節のずれ」をしっかりと意識して、学習する必要があるのです。
そのため、現代の感覚のままでは通用しないことも多いので、特に注意しないといけません。

「朝顔」は、秋の季語です。
現在では夏休みの時期に咲く花という認識が強いため、「8月=夏」と考えてしまいがちなのですが、それでは正解することはできません。

逆に秋という文字が入っている麦秋むぎあきは、夏の季語です。麦の収穫は、5月に行われます。そのため、麦にとって、収穫の「秋」は「5月」となることから、夏を表す季語となるのです。

よく勘違いしてしまうのが、五月雨さみだれでしょう。
「五月」となっているため、つい5月のゴールデンウィークをイメージしてしまうのですが、それでは全く的外れとなってしまいます。
この「五月」は、旧暦なので、現在の暦に換算すると、6月のことになります。そのため、6月の頃の長雨を指しており、今で言う「梅雨」のことを表しています。

梅雨を意味する季語に、夏闇なつやみがあります。
五月雨が降る頃(梅雨)は、空は分厚い雲で覆われています。
そのため、「昼なお暗き」闇という状況となります。
夜も、月が出ない闇です。
梅雨闇《つゆやみ》は、昼も夜も続くのです。
これは、五月闇さつきやみと言っても良いでしょう。

梅雨時は、大気が不安定となるため、雷も多くなります。
一瞬で空が闇に包まれ、雷が光る光景は誰もが経験したことがあるでしょう。
雷は、神鳴かみなりであり、「はたた神」とも言います。
梅雨闇に、真っ白な稲光が走る光景は、夏の情景なのです。
暑いだけが夏ではありません。
夏の季語に「梅雨闇」や「五月闇」があると認識するだけでも、十分「俳句の学習」になっています。

移ろいゆく四季の中で、夏には夏の季語で、秋には秋の季語・・・というように、その季節に相応しい季語を使って俳句を作ることが、最も効果的な学習と言えるでしょう。
日常生活の中で、五感を駆使して作った俳句は、鮮明に記憶に残ります。
そこで使った季語の感覚は、実際に俳句を作る過程で培われていくのです。
その感覚は、机の上でした学習の何倍もの効果をもたらすことでしょう。

この記事が参加している募集

国語がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?