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世界最大の家電見本市『CES2019』を発明的視点で見てみる

はじめまして、発明家の高橋鴻介です。2019年1月7日から1月11日にかけて「CES2019」に行ってきたので、熱も冷めやらぬうちにその様子をまとめてみようと思います。

総花的にトレンドをおさえるというよりかは、「なんかこれ面白かったな」とか「こんなふうになったら面白いな」「発明の種になるな」みたいな視点で選んでいるので、そんなつもりで読んでもらえますと嬉しく存じます。

そもそもCESってなんじゃ?

3行でわかりやすく説明すると、

って感じでしょうか。ぶっ飛んだ未来ビジョンというよりかは、地に足の着いた未来が展示されているイメージが強いです。

会場は大きく3ヶ所で、それぞれになんとなくキャラクターがあります。

ざっくり分けると…
Tech East : 大企業系
Tech West : スタートアップ/ヘルスケア系
Tech South : プラットフォーマー系

高橋はスタートアップ多めのTech Westをメインに、Tech Eastの方も少しのぞいてきたという感じです。Tech Southは商談ブースが多いので、今回は割愛。

「CES2019」で面白かったもの10選+α

他の人のツイートとかも引用しつつ、今年のCESで見つけた面白かったものを紹介します。(引用させていただいた方、ありがとうございます。)

①表現の幅を広げてくれるLGの「曲がる液晶」

ときに波の、ときに巻物のように曲がる液晶…。
「曲がる意味ってなんなの?」と最初懐疑的だったのですが、ビッグサイズで見ると圧巻。プロジェクションでは表現できないことができるようになりそうですね。

あと、巻物タイプのテレビもすごい!
「消えてるときのテレビ画面ってデッドスペースよね…」は発見だなと思いました。

②まるで印刷物…Samsungの「8K OLED」

絵画みたいだろ?ディスプレイなんだぜ、これ。
有機LEDは表現力がほんとにすごいですね。アートを配信するプラットフォーム・ビジネスとしても活用を考えているそう。リアルとデジタルの境目が小さくなっていきますね。

③ワイヤーを使って筋肉を模倣した「ロボットアーム」

NAVER LABにあった、ワイヤーの張力を利用したロボットアーム。アクチュエータは全て下の箱に収まっているため、とても静かで滑らかな動きをする。「人を傷つけない」というのがコンセプトで、ハイタッチなどもできる。ワイヤーを通じて、ちゃんと人と触れ合ったことを認識する。以前、東大の制作展でも同様のコンセプトの「KENGORO」を見ましたが、張力による筋肉の模倣は非常に自然に見えますね。

④プリミティブなテクノロジーでできた「スマートロック」

スマホについたフラッシュライトのパターンで解錠するスマートロック。
BlueToothやWifiのような技術で解錠するのもいいですが、こういうアナログでシンプルなシステムは、汎用性も高く、安価にできるのが良い点。「光のパターンを用いた〇〇」はいろいろ作れそうですね。

⑤男の子の夢!「超巨大クアドロコプター」

あんまり説明不要だとおもうけど、とにかくかっこいい!
空輸タクシーのモックアップだったそう。空飛ぶUBERみたいな感じなんでしょうか。

⑥パッドじゃなくて指につける「リズムマシン」

シンプルだけど、指につけた画像(色)認識のデバイスを用いたリズムマシン。
パッド側は完全にバッテリーレスで、形状も自由にカスタマイズ可能。画像認識を活用することで、UI側は素材も形状も、もっと自由な表現にできますね。

⑦導電インクの「距離センサー」

つたない英語で色々聞いたが、いまいち仕組みがわからず…。
導電インクで印刷したパターンの上に手をかざすと、距離を測定してくれる。パターンが和柄っぽいこともあり、折り紙とかと組み合わせると面白いことできそうですね。

⑧コーディングは魔法?「ハリーポッターコーディングキット」

魔法をコーディングでつくる、というコンセプトのプログラミング教育ツール。「その魔法どう作ったの?」みたいなコミュニケーションが子供の間で生まれるのは素敵。テクノロジーのブラックボックスな部分を魔法と紐づけてコミュニケーションを活性化するコンセプトが面白いですね。

⑨子供を労役から救う「発電牛」

労役によって教育を受けられない子どもたちを救うために生まれた、発電デバイス。発展途上国でのエネルギーの価値が高いことに注目して、簡単にエネルギーを生産できるようにしたものだそう。コンセプトも素晴らしいけど、牛の形で、乳を絞るようにバッテリーを取り出すことができるインタラクションが面白いですね。

⑩ついやってみたくなる「スーパーヒーローDNAテスト」

あなたのスーパーな一面を見つけられるDNAテスト。ちょっと不穏なイメージが強いDNA検査の中で、「ちょっとやってみたいな…」と思わせる仕掛けが素敵。強さと速さと知能の特異性が分かるとのこと。29ドルからという価格も安いですね。

⑪4本足で移動の可能性を拡張?「歩く車」

足が動いて、オフロードでも走れる車。移動について考えたときに、実は「道に縛られない」というのが一番未来かもしれないなあ…と感じました。今年はHONDAのブースでもオフロードカーのコンセプトが展示されていたので、もしかしたらそういう未来に進んでいくのかもしれません。

⑫表情認識する「車いす」

表情認識の技術を用いて操作する車いす。手足が使えない人でも操作できるという機能が素晴らしいのですが、個人的には展示員の人と会話して笑ったときに、それをトリガーにして動いちゃったり…みたいなハプニングも面白いなあと感じました。

⑬充電をおすそ分けする「スマホ」

こんなのあったら…をシンプルにカタチにしている感じが面白い。でも、僕はずっと電池をもらう側になりそうです。

日本ブースも面白かったのですが、見たことあるものが多かったので、海外のもの多めで選んでいます。日本系もどっかの機会でまとめたい…。

僕の所属する100BANCHも展示していました

Panasonic×loftwork×Cafe Companyが次の100年をつくる「100BANCH」という活動をしており、僕もそこに参加しているのですが、その中からいくつかのプロジェクトがCESに出展していました。

Now Aquaponics …  魚ー微生物ー植物で簡易的な生態系、つまり「小さい地球」をつくるプロジェクト。構想がでかい!
RGB_LIGHT … 名前の通り光の三原色のライト。これでものを照らすと、影に色がつく。その様子が美しい。
Solidknit … 通常平面である編み物で、立体物を編むというアイデア。一本の紐はもちろん解くこともできるので、解体も容易。
FUKIDASHI … かわいい吹き出し型のデバイスを挟んで会話すると、吹き出し上に外国語に変換された会話が表示される。今回一番活用例に近かったのでは?
Teplo … パーソナライズされたお茶デバイス。その人に最適なお茶を学習して沸かしてくれる。CES Innovation Award受賞とのこと!おめでとうございます!

みんな素敵でした…。僕も頑張らなきゃ。

まとめとおまけ

今回でCESは2回目なのですが、今年も面白かったです。ビジョンと社会実装でいうと、社会実装寄りの展示が多いので、「あ、世界の技術はここまで来てるのか…!」という発見が多い。特に感じたのは液晶。「あれ、これって印刷物じゃなくてディスプレイなんだ!」みたいなものが結構多かった気がします。最近よく騒がれる5Gは、スルッといろんなものに導入されていましたね。キーとなるプロダクトが…というよりはインフラとして使われているイメージ。ここで見たインスピレーションをもとに、また新しい発明考えようと思います。

最後に「Ellis Island BBQ」でおいしいステーキを食べて帰ってきたので、紹介して終わります。超でかいですが、ジューシー過ぎて、意外とサラッと食えました。ベガスにお越しの際はぜひ。

ではでは。

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