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子育て論「叱らないで育てるなんて無理」

かつてサラリーマン時代に勤めてた会社の話からスタートします。
ちょっと前置きが長いですが、これが私の子育てに対する考え方の原点ですので・・・

私がいた会社ですが、ほとんど育てようがない新入社員をピンポイントで採用するのが、本当に得意な会社でした。

そのレベルの低さは、「社会的常識を教えても意味を理解できない動物」まさに「動物園」と呼ぶに相応しい人材の集まりでして、どんな種類の動物がいたかというと

・社員研修で頬杖をついてアクビして怒られても平然としているばかりか上司に食って掛かる新入社員。
・注意されても常に言い訳と他人の責任しか考えない新入社員。
・コンビニでみんなのご飯買ってきてと頼むと全員分のライスだけを買ってきた新入社員(笑)
・何も実績がないのに常に上から目線の新入社員。
・物を運ばせたら1日でやめた新入社員。
・会社カレンダー見ても休みの日を間違える新入社員。

しかも、この動物たちの学歴は全員が平均偏差値以上の大学。要は高学歴だけれども大人社会に適応ができず、ビジネスマンとしての成長が困難なため、社会常識を言っても理解できない、アダルトチルドレンと呼ばれる人材です。

この動物たち、傍から見たら面白い人材に見えるかもしれないですし、こういう人材を成長させるのがサラリーマンの役目!とか思う熱血な方もいるかと思いますが、実際問題、成長させるの無理!クソ忙しい中で、そんなのに構ってる暇などありません。

景気が良かった時代は、人材育成にお金も時間もかけられた時代もありましたし、アダルトチルドレンでもそこそこ実績を上げることができましたが、今の時代、新入社員だからと言って、成長させるために時間をかける余裕がある会社はほとんどありません。それはアダルトチルドレンにかけるべきお金と時間の余裕がない社会になっていると言って過言ではありません。

まだ、自分みたいな低学歴で純粋な馬鹿だったら、頭が空っぽ。純粋で物を知らないというだけなので、人間の器に空の部分があるからその部分に吸収して成長するんでしょうが、なまじ高学歴で変にプライドばかり高いと「相手を侮る」という性質が埋め込まれていて、相手をどこか自然に馬鹿にしていたり、相手の存在に価値を見出していないので、何を言っても頭に入っていかない。

ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、この「相手を侮る」というのは、完全に親が叱らずに褒め過ぎたことが原因でできる性質です。

よく、本屋に行くと「叱らないで育てる」とか「褒め続けて育てる」的な天才育成本を見かけるんですが、そんなことできるの聖人君子だけです。普通の親がそんな叱らないで育てたら、子供は小さいうちから「自分はすごいんだ」と勘違いし続け、自分が以外の相手は劣等な存在と見なして「相手を侮る」ようになります。

その結果、子供が大人になると、前述したようなアダルトチルドレン新入社員になりますが、親にしてみたら「体も健康で大きくなって、学歴も高い自慢できる大人に育った!」としか見えない。
それはそうです。働いてしまえば、それ以後は親に責任はないですから、その子がどこまで社会に適応しているかなんて分かりません。
ただ、間違いなく、アダルトチルドレンが入社した会社の人たちは「どういう育てられ方してきたんだ?親の顔が見てみたい」という評価を下しています。

それともう一つ。

「叱らないで育てる」という理論をできる人は限られています。これを無理にやろうとすると、一般的な親にとって、子育てのレベルを上げて過剰なストレスになったり、子育て放棄を生むことにも繋がります。

先ほど「叱らないで育てられるのは聖人君子だけ」と書きましたが、誰でもできる育て方じゃないんです。どんな子供でも悪いことをするときはしますし、大人になってから不利になるマズい癖というのは必ず出てきます。こういう躾けて直さなくてはいけない子供の悪い点も褒めて直さなくてはいけないとなると、よほど上手い言い方をしないと、言い方を間違え、子供にとっては悪い点が認められたと勘違いする危険性があります。
これは、子育てのレベルを過剰に上げて、叱れば良いだけのなのに、褒め続けなければと言う義務感が親のストレスを増幅させてしまいます。

そして、「叱らないで育てる」ということを勘違いして、なんでも褒めればいいという考え方になり、いつの間にか悪いことですら褒めるようになるケースもあります。
あるいは、悪いことは伝え方が分からないので面倒になって放置するようになることもあります。

こうなると、子供は「家の中でやることは全て正しい」という性質が脳内に固定され、家の中でやることというのは、年令を重ねると外でもやるようになります。その結果、社会人になった際に、相手を侮り、相手の思うことに無関心なアダルトチルドレンが完成されます。

かといって、なんでもかんでも叱れば良いというわけではありません。
叱り続けられた子供は自信を失くした大人になってしまうので、褒めることと叱ることのバランスは一番難しいと思います。

ただ、誰しもが子育ては初心者。評論家はたくさんいますが、自分の子供に対する子育てのプロなど一人もいません。
各家庭ごとに、環境も違えば、様々な事情もあり、子育て方法は無限に存在します。

つまり、子育てに答えはありません。
よく、相談しているわけでもないのに他人の家庭の子育てに口を出したがる人がいますが、他人の家庭の事情も考えず答えのないものに答えを出そうとする、あまりにも人間として浅はかな行為です。
(無論、子供への暴力などは別です)

答えがない子育てで、叱ったり褒めたりはどうしたら良いんでしょう。
私も小1の娘を抱え、いつも悩みます。毎日悩みます。
ただ、かつてサラリーマン時代に見てきたアダルトチルドレンのようにだけはなってほしくない。そう考えると、この子が20歳になったときに、今、この子がやっていることは本当に正しいことなのか?ということが、叱るべきポイントだと思います。そして、なぜ叱っているのかもきちんと説明することが重要です。
しつこく、1回言ってダメなら10回、10回言ってダメなら100回。多少、難しい言葉を使ってしまうこともあるかもしれませんが、アダルトチルドレンの要素を見つけたのなら、ありとあらゆる言葉と手段で徹底的に直すことをだけを目的にします。
簡単なことであれば1回言えば分かる子も多いですが、アダルトチルドレンになる資質というのは1回言って躾けても無くならないケースがほとんどです。

ご飯を食べないのであれば、どんなご飯でも美味しく食べることができる大人は、食に精通してどんな時代や場所でもコミュニケーションを円滑に図ることができるが、好き嫌いが多い大人は、食に関して人から頼られることはない。ということを分かりやすく教え続け、物事を途中までやってやめてしまうのであれば、大人になってから、一つのことをやり遂げずに投げ出す人間は信用されないということを分かりやすく教え、言い聞かせる。
要は、大人になったときの未来像を子供に反映させることが重要だと考えています。

ただし、子供の夢や、やりたいことにまで口をだすことはありません。口を出すとすれば、夢はいくつ持っても良い。やりたいことはすぐやれ。これだけです。

子供が大人になって幸せになるかどうかは、子供が大人になってからの人生で決めることですが、アダルトチルドレンになるような要素を親が子供に植え付け、大人になってからの可能性を阻害させることだけは避けなければなりません。
そういう強い意志を持ったとき、子供が悪いことをしたら、否が応でも真剣に叱ることが当たり前になると思います。叱らないで育てるなんていうことはできないはずです。

子供が親の言うことを聞かなくなる日が来るのは、あっという間です。
小学校4年生くらいになれば自我が芽生え、他人のことが気になりだし、親との接点が徐々に少なくなっていきます。高校に入ったくらいから自立の準備が始まります。
社会に出てからは、親は子供を育てることができなくなりますから、それまでは子供との真剣勝負です。

親に反発することもあるでしょう。嫌われることもあるでしょう。それで良いんです。親の目的は子供に好かれることではありません。親の愛情は子供を甘やかしたり可哀想だと思うことじゃありません。
親の役目とは、子供が人から愛され、アダルトチルドレンとは呼ばれず、様々な幸せの可能性に満ち溢れている自立した大人に育てることです。

そして、子供が「親が叱る」ということを理解するときというのは、子供が大人になり、またその子供を叱るときなのかもしれません。

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