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闘病記その7

大震災が起こった。ながいながい大震災であった。またいろいろなものが崩れ落ちてしまった。
揺れ動く精神とともに今日という日がまたきてしまった。眠りにつくことさえ億劫になる。空腹と共に迎える朝。しかしろくに食べるものがない。リュックサックには小さなロールパンが2つ残ったままであることを思い出す。僅かな労力でコーヒーを淹れる。ギターを抱え、弾き飽きたフレーズとともにテレビの画面を見つめる。笑えるシーンがたまにあるそれを見つめているだけだった。
15時
空腹が身体を動かそうとする。スーパーマーケットかあるいは料理という選択肢が浮かぶ。それを無視し続けながら楽器と戯れている。音楽を愛しているのか惰性のままに生きているのかどっちなんだろうか。大した腕がある訳でもない。
ゴールデンウィークが襲いかかる。肩幅は広く、顎を突き出し、胸を張った状態で私をたのしませてくれとそう言っている。現代社会は生きることが簡単すぎるのだ。務めることとその他で構成される日々を生きているだけだ。必死になることから抜け出してしまったのだ。あらゆる部屋から飛び出し生きる意味を探しはじめてしまった。しかしみなが訴えかけてくる
「隊長!生きる意味なんてどこにもありません!」
「何かに対してのめり込むことでしか人生に意味は見出せないのかもしれません!」
「生きていることを強く意識する先には絶望しかありません!ここから抜け出す必要があります!」
彼らはみんなそう言っている。
見つけよう。見つかるはず。行動すれば。行動を続ければ。どうにかなっていくことを期待する。まだこのゲームからは抜け出さない。使命だ。これは何かのための使命なんだ。なるべくしてなってしまったのだ。まだまだ確信は持てない。不安で仕方がない。がしかし。

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