J1リーグ第27節 セレッソ大阪 VS 京都サンガF.C. マッチレビュー
心が折れるような敗戦でした。ゴール裏からは怒号や呆れたような発言・態度、ブーイングや励ましの声など様々な声が聞こえました。私は最後まで声援を出していましたが、試合終了後は何も考えれない状況でピッチを見つめることしか出来ませんでした。
今回はマッチレビューというより、今シーズン通して起きている問題を羅列した形になりますが、そのネガティブな部分がこの試合で露呈したように見えます。
※ピックアップして書き出しています。
第27節のセレッソ大阪
スタメンは上記の通りです。ブエノが先発として久々の出場でした。
セレッソは京都の檻の中
京都はセレッソ対策はシンプルでした。とにかくボールへ、中央の選手はフリーにさせるな、最終ラインは高く!です。
セレッソはキャンプからレイオフを練習していた印象です。試合前のアップでも初めに当てて落とすから行っています。試合中も奥埜やブエノ、レオなどに当てて落とすプレーが多々あります。去年までのブライトンがよくやる形です。ただ、試合中になると練習とは違い、疲労度や相手の位置、歓声によって声も通らないなどの要因が発生しています。今のセレッソは狭いエリアで判断能力を求められ、少しのミスが生じてはならないサッカーに見えます。ブライトンですら、ミドルサードで刈られショートカウンターになってしまうので、いくら選手の能力が高いとはいえどうしてもミスが発生していまう形になっているようです。どんなサッカーでもミスは生じる可能性があるだろうと考えますが、選手のミスや判断能力を最小限までに減らすことが戦術ですので、暑さで判断能力が鈍る中、狭いエリアでボールを回す利点が現状見出せないと考えます。
私はミスは誰にでも起きることで、そこに対してとやかく言うことは一切しないですが、ミスを減らすにはどのようにするのか(個人技術を上げるとかの話ではない)を突き詰める必要があるのかもしれません。
そこを突いたのが京都です。セレッソの田中・登里から前を分断し、ボールホルダーにアタック!そして中央の選手にはついていくということを繰り返すことで、意図的に中央のスペースを狭くし、セレッソのミス待ちor自ら刈り取り、ショートカウンターへというサッカーを展開しました。
セレッソは奥埜が下がり目のポジションをビルドアップ時は配置されており、ブエノは足元でもらいたい、レオもボールが触りたいから降りてくるという相手の最終ラインにとっては恐怖になることがなかったです。
檻を壊すのは誰だ
私が前半戦終了後に書いた「小菊セレッソの前半戦までの挑戦と苦悩~サポーター目線で読み解く~」の中に、セレッソは中央の裏抜けが圧倒的に少ないという内容を書きました。
今節はこの影響が如実に出ました。
京都は最終ラインを高く、中央をコンパクトにすることでセレッソのミス待ちと先ほど述べましたが、前への圧力を強くこのゲームに入っていました。それを逆手に取るような裏抜けは多くなかったです。解説の橋本さんもおっしゃていましたが、裏抜けの回数が少ないところがセレッソの懸念点です。京都はセレッソの裏抜け回数が少ない分、相手は体の向きをボール方向に向
け、目線が揃った状態でセレッソの攻撃を待ち構えることが出来ます。
かつ、セレッソは裏抜けする選手がレオしかいないので、相手からしてみれば捕まえやすいという状況も発生しています。
言わば、セレッソは京都の檻の中ボールを回し、ボールを奪われ失点してしまうという自滅が多かった気がします。
別にこれはミドルサードやアタッキングサードなど場所に問わず、裏抜けは必要です。ブエノと北野のゴールに共通しているのは、誰かが最終ラインを引っ張ってその手前をブエノと北野が使い、フリーでシュートを打つ!結局は奥に相手を引っ張って手前が空くという下記に記載している内容の通りです。
しかしセレッソは組み立て段階の段差作りが苦手な印象です。
何度も言いますが、京都はどんどんボールと人へ食いついていきます。要は京都サイドとしてはミドルサード奪い取りたいという意識が強いです。手前に来るなら奥へという相手のDFを逆手に取って攻撃するという手も一つだったかもしれません。
逆も然りでセレッソが奥行きを取ってくるようになると京都DFも裏へのボールが怖くなっていきます。そうすると奥に来るなら手前へという後出しじゃんけんを行うのも1つではないでしょうか
京都はこの段差作りが非常に上手かった印象です。原のループシュートに目が行きがちですが、裏への抜け出しが一級品でしたし、他の選手も裏への意識とそこへボールを届けるという意思共有がチームとしてまとまっていた印象です。
海外のサッカー選手でさえ、裏へのボールの対処は苦労し外へクリアで逃げることも多く、稀にミスが生じてチャンスになるかもしれません。サッカーは陣地合戦であるため、裏へのボールを増やすことも重要ではないでしょうか。
ロングボール回収役はどこへ
セレッソは開幕戦からロングボールを蹴る位置は決めています。ロングボールは逃げという認識を持っている人も多少はいるでしょう。
セレッソはロングボールの蹴りどころと立ち位置も考えられていました。
IHが高い位置にいることが高い位置に留まることで、ロングボール回収担当を担っていました。ロングボールを蹴る位置は2箇所はです。SB裏かレオへ。レオは競る際に勝つ可能性があるSBの方へ流れて競り合います。SBへロングボールを蹴る際にもレオは同サイドへ流れ、更に高い位置にいるIHも回収役へ加わることができます。
ここまではセレッソが好調だった時のロングボール回収方法です。最近はどうでしょう。
高い位置にいたIHはビルドアップに加わり、セレッソは前と後ろで分断されています。そこで競り合っても五分五分の戦いになり、セレッソがボール回収する確率を下げているように見えます。
小菊さんは試合後のコメントで「もちろん、ゲームコントロールをする中で、ロングボールも使い分けて、ということも大事にしていますが、自分たちでボールを握って主導権を握ることはキャンプからトライしていることです。いま勝てないからと言って、リスクを回避して、レオ(セアラ)へロングボールを入れてセカンドボールのバトルを徹底することは考えていません。」と話しています。要はロングボールを回収するのは残った人たちにお任せして、奥埜を少し下がり目で配置することでビルドアップを安定化させたいということは伝わりました。
結果、このマッチレビューでずっと述べている狭いエリアに人が集結しているところにも繋がります。
サイドの不利をどのように跳ね返すか
京都は後ろから無理にボールを繋がず、蹴りだすポイントは2か所と決めていました。
セレッソのサイドバックや裏、もう一つはセレッソのサイドバックとセンターバックの間です。特に京都のサイドは身長も高く、推進力もあります。対してセレッソのサイドバックは上背がそこまでないので、競り合いになると不利になります。前節のサンフレッチェは後半から越道を、前々節は望月を右サイドに配置し、競り合いをさせることで一気に前線へボールを配給していました。クロスでも京都の高い選手に相対するのはセレッソのサイドバックだったので、どのように対応するのか今後の課題かと思います。そのために西尾をサイドバックで起用するのがこの2試合ありましたが、攻撃面では奥田に分があるので、一長一短といえるでしょう。
身体能力に差が生まれるのは仕方ないですし、埋めるにはお金がかかります。どのようにチーム戦術としてサイドのサポートをどのように施工するのか期待したいです。
攻撃的選手を投入して守備ブロック崩壊
小菊さんは去年から負けている場面で守備的・バランスの選手に変えて、攻撃的な選手を投入します。ここで起きてしまうのが、ゾーンディフェンスとカウンター対策の崩壊です。
田中・奥埜を起用している場合は、お互い中盤での守備の振る舞い方を知っているので、ゾーンディフェンスはなかなか崩壊しません。また、左サイドが為田であれば、上記のようなシーンが起きても中央の広大なスペースを埋めてくれます。
監督のコメントで「柴山・北野は中盤の守備も理解してくれた」という内容を残しています。しかしながら、負けている場面ではボールを取らないといけない点からゾーンディフェンスが崩壊していきます。
そもそもゾーンディフェンスとは簡単に言うと、決められたエリアを守りながら、別の選手がエリアから外れた場合、近い選手がカバーをするということです。チャレンジ&カバーこそがゾーンディフェンスであるといっても過言ではないです。
カウンター対策も攻撃の選手を多く投入すれば脆くなります。
点を取るために、前に選手が多くいるため最終ラインはCBのみ、もしくはSBが1枚がプラスで残っているかどうかなので、最終ラインの労力は計り知れないです。神戸戦の4失点目やルヴァンカップ町田戦の3失点目のような失点パターンになります。
ゴールを取るために、前の選手を投入する意図は伝わりますが、結果的に守備が脆くなることもあります。
失点理由を最終ラインやGKが関わっているように見えますが、尻拭いをしていたという事実が存在しています。
まとめ
私の見解では守備全体に問題があるというより、攻撃のミスが生じた結果が5失点を生み出したと考えます。もちろん、ミスをするなということではありません。ミスが引き起こされる可能性を極力下げる必要があるのではないかと考えます。
ここから、国立でマリノスとの試合があり、その後は大阪ダービーが控えています。少しでも上の順位に行くには負けてられません。
私も声を枯らして応援するので久々の勝利を挙げてほしいと切に願っています。
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