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【行政書士_事業継続】それでも後回しにしますか?BCPと事業継続力強化計画

 ここ福岡では、めったに地震を感じることはないので昨夜の地震アラートには、本当にびっくりしました。
 今朝の朝礼では、担当の社員さんがちょうど8年前の4月におきた熊本地震にふれ、災害などの緊急事態には、日頃の備えが必要であると改めて感じているところです。

 さて、今回は、突然の緊急事態時に、企業は何を備えていればよいのかということを、BCP(事業継続計画)の策定という視点からお伝えしたいと思います。


BCP(事業継続計画)とは

 BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
(中小企業庁HPより引用)

 BCPと聞くと、なんとなく自然災害の対策というイメージがあるのですが、先日、BCP対策を専門にされている企業の社長とお会いした際に、本来の趣旨は少し違うんです、ということを伺いました。

 BCP(事業継続計画)とは、会社のリソース(ヒトモノカネ)が予期せぬ緊急事態により損害を被った場合に、その会社の事業が早期復旧するための計画であり、それは災害によるものとは限らない、ということ。日本は災害大国なので、どことなく自然災害が起きた場合を想定してしまいますが、社長いわく

 「例えば、突然の事故で、経営陣がみんな亡くなったらどうしますか?あるいは、サイバーテロ攻撃を受けて、会社のパソコンが全部機能しなくなったらどうしますか?BCP(事業継続計画)とは、そのような場合を想定して計画するものです」とのこと。

 なるほど、BCPについてのパラダイムシフトが起こった瞬間でした。

BCPの誕生と普及率

 BCPは1970年代にアメリカとイギリスで注目され始め、2001年のアメリカ同時多発テロ以降に広まりました。
 2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロは、世界中の企業に事業継続の重要性を認識させました。この事件をきっかけに、多くの企業がBCPを制定し、事業を停止させないための対策を講じるようになりました。

 中でも印象に残るエピソードとして、メリルリンチ社があります。
 メリルリンチ社は、ワールドトレードセンターに入っていた大手証券会社であり、事件の4ヶ月前に、ハリケーンなどによる本社機能停止に備えて全社大規模模擬訓練を実施していたのです。
 2001年9月11日、訓練と同様にBCPを発動、1機目が衝突した7分後には対策本部を立ち上げて、20分後には9000人もの従業員を全員無事に避難させ、従業員の安全確保と早期の業務再開を成功させました。

2019年 ニューヨーク グランド・ゼロにて


 このメリルリンチ社の対応(BCP)が瞬く間に全世界に広がり、BCPの有効性が一気に高まりました。

日本のBCP普及率

 日本では2001年9月11日の事件がBCP普及のきっかけとなりましたが、欧米諸国に比べて日本の企業ではBCPの浸透率は高くありませんでした。
 実際、日本のBCP普及は2011年3月11日の東日本大震災を契機に始まりました。
 普及率は上下に変動しており、2008年のリーマンショックや東日本大震災の影響を受けています。
 また2023年の意識調査結果については、こちらをご覧ください.

行政書士にできること

 緊急事態が発生したとしても、企業が早期復旧するためにはBCPや事業継続力強化計画の策定はとても有効です。
 行政書士は、経済産業大臣が「事業継続力強化計画」として認定する制度の作成や申請のお手伝いができます。是非ともご活用ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html  

 本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。


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