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反語でジョーク “Can you be any closer to the cake?”

中学生に高校受験の国語を教えていたとき、各学年で年に数回、反語の話をしていたように記憶しています。読解でも古文でも、理解を深めるために重要になることがままあります。またそれだけでなく、反語の説明をすると「笑える」ことが多いので、好きでよく話していました。

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アマゾンプライムで視聴できる「Just add Magic」の一場面。小学三年生の娘とこのドラマを観ながら英語を勉強していますが、ここでもやはり、反語の説明をするとウケました。(今この記事を書いている横で写真を見た娘が「あ、あのおもしろい台詞のとこだ」と言っていたので、やはりとても印象に残っているようです)

“Can you be any closer to the cake?”

まず、英語の下地がない小学生でもこの画面と共に「close to the cake」を習うことで、一発で「close」の語感をつかむことができます。そして「closer」で「もっと近く」、「can you」で「できる?」と教えるだけで、いくつもの重要な基礎を教えることができます。貴重な一場面です。

そして台詞は、反語でジョーク。最高の教材です。「Just add Magic」はこうしたナイスなジョークがふんだんに使われているので英語学習にもってこいです。

直訳すると「もっとケーキに近寄れます?」ですが、言いたいことはそうじゃないですよね。

以下、授業でそのまま使える原稿形式でお送りします。小学生相手を想定しています。

こういうのを反語って言うんだけど、たとえば、大人が子供を怒るときにこういう言い方をすることがあります。
「そんなことをしていいと思っているんですか!」
これは、絵本の「ノラネコぐんだん」の名台詞でもあります。知ってる人、多いよね。
この台詞は、本当はなんて言いたいの?「いいと思っているかどうか、質問に答えてください」って言いたいわけでは、ないよね。本当に言いたいのは、「いいわけないだろ!」だよね。「ノラネコぐんだん」はそこでのんきに「いいえ、思っていません」って答えてるけど、だからおもしろいんだよ。ギャグのセンスが光る絵本だね!
質問の言い方だけど、本当に言いたいことはその裏にある、こういうのを反語と言います。気をつけてみると普段からけっこう使っていることに気がつけます。「ねえねえ、これ良くない?(良いよね!)」もそうだし、「そんなことあり得る?(いやあり得ない!)」なんかもそうです。
(これは中高生だとよくわかるたとえ話ですが、誰かの身につけてるものでダサいものを見つけたときに冗談あるいは本気の皮肉で「そんなのどこで買うの?」なんて言い方をすることもあります)
さて、「ケーキにもっと近寄れます?」に戻ります。これ、本当はなんて言いたいの?
そうそう、「近寄りすぎじゃない?」とか「もうちょっと離れて!」ってことだよね。友達同士でこういう冗談を言う感じ、なんとなくわかるでしょ。先生は、日本も海外も同じような感覚で反語やジョークを言うんだなあと思ってちょっとうれしくなりました。
そしてこのあと、このケーキ見つめすぎ少女、ダービーっていう名前なんだけど、食いしん坊なキャラです。「もっとケーキに近寄れます?」って言われて、こういう返事をします。
”Yes!”
「ノラネコぐんだん」と同じだね!冗談に冗談で返事します。
”Yes,but then I'd be eating it”
ここは「eat」だけ分かればいいです。
「はい!近寄れます!そしてケーキを食べます!」
ってね。おもしろいよねえ。

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