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坂本龍一が持ち続けた政治的な立場と津田大介氏による「歴史修正」について

これもまたTwitter( @keiomr )の連投から引っ張ってきたものになります。
異論が出ることは承知の上で、事実をベースにテーマに沿って考えてみました。

竹田賢一さんの追悼ツイートを再掲載。
ミュージックマガジンの寄稿者としてその名を知ったが、83年に唯一のアルバムを発表したA-muzikの主宰者でもあって(今も続く)学生の頃一時交流させていただいた時期がある。過激で左翼的なテーマで一貫したアルバムのクレジットには坂本龍一の名が記載されている

ここでアルバム全曲が聴ける。
それぞれの曲が異なる政治的なテーマを持っているため、音楽として純粋に楽しむのはなかなか難しいとは正直当時から感じないでもなかった。
ただね、背伸びしてでも聴かなきゃいけないものだとも思っていて、それは未だに変わらない。

中でも印象に残るのが、この後半3:50辺りから始まる『プリパ』だ。
独裁政権が続いた韓国で民主化を求める人たちに軍を動員させて軒並み殺戮するよう命じ「光州事件」として知られる歴史的な出来事が未だ生々しい記憶が残っていた当時に、強烈な抗議と連帯の意味を込めた演奏。

あの頃のA-muzikには、じゃがたらでもご活躍されていた篠田昌巳さんも正式なメンバーとして加わっていた。竹田さんを通して同じ国立住まいだからとご紹介いただき、気安い雰囲気の中でお話ししながら帰宅した夜のことは忘れようがない。
とても優しく謙虚で、クソ生意気な若僧だった僕は感銘を受けた。

その後、篠田さんはチンドンに着想を得てコンポステラというバンド(?)を結成し、ようやく優れた音楽家として評価されることになる。
しかし、そのアルバムには当然でしょと言わんばかりに『プリパ』を収録しており、この辺りの文脈はA-muzikでの活動抜きでは理解できないもの

アケミさんと同じく急逝されてしまわれたが、篠田さんの仕事もそのお人柄も信念も、彼を知る人の心には残り続けているはずだ。

光州事件を正面から見つめた映画が『タクシー運転手』。カンヌで男優賞を受賞したソン・ガンホの名演もあり、これまた大変な名画となっている。

ソン・ガンホさんは今や東アジアでは頭抜けた名優となっている。そんな彼がこうした「政治的な」映画で主演を務める意味は大きいとすべきだろう。

文在寅前大統領が民主化を求める闘士であったことを忘れることなく、未だ隠然と残る旧独裁政権側と暗闘し続けていたことを知る日本人は多くはないだろう。

光州事件の全容は未だ解明されていない。韓国では検察が民主化を求める勢力の弾圧に大きな役割りを持ち関わっていた。検察が光州事件の再捜査を渋っていたため、事件の裁きは今でも充分なものとはなっておらず、闘士として文在寅大統領は外からは見えにくい闘いを続けていた。

竹田賢一さん率いるA-muzikに、アイドルのような有名人になっても客演した坂本龍一は最期まで左翼だったと僕は考える。意味のあやふやなリベラルなどとしたならば本人は気を悪くするに違いない。
津田大介氏は坂本の政治的な業績を振り返る動画において、90年代以降に絞ることで「歴史を修正」した。

僕は津田大介氏がやった「歴史の修正」に抗議する意味で、『プリパ』と光州事件まで遡ってから文在寅に至るまで連綿と続く韓国における民主化の運動をあえて明記したく思う。
近現代史を知らない若い世代に対し、津田氏はしてはならないことをしたと強く批判しておく。
#津田大介 #坂本龍一

四年ほど前に名古屋に竹田賢一さんのソロユニットとなったA-muzikが来るとのことで、何十年か振りに観に行った。静岡の女性バンド「のいず」との対バンだった。
あえてお声をかけることなくご様子を見ていたが、ゴツい体格でエネルギッシュな雰囲気に溢れ、のいずのメンバーにもちょっかいを出す。

繊細で万事丁寧な印象が残っていたから驚いたが、本当のホンモノとはそうしたものなんだろうと認識を新たにした。
肝心の演奏はどうかというと、大正琴を使い灰野敬二みたいな轟音を始終響かせるもの。数日は耳鳴りが止まらなかった。老いて尚むしろより過激。
坂本はそんな左翼の音楽家に共鳴したのだ

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