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HERPを卒業したのでデザイナーとしての4年間を振り返る

こんにちは、オオカワラです。
インターンのときから含めると4年間在籍していたHERPを本日2021/08/13最終出社として8月末で退職することになりました。

度々驚かれるのですが、実はHERP社は私が新卒で入社した1社目の会社であり、社会人として大事なことのあれこれや仕事をするとはどういうことかを知る機会を与えてくれた思い入れと感謝と愛があふれるスタートアップです。2017年7月という創業してまだ4ヶ月ほどのタイミングでインターンとしてジョインし、そのさらに4ヶ月後に大学院を中退し正社員として働きはじめて、あっという間に丸4年。スタートアップでの創業期からの4年間は、さすがに多くのことがありました。今回は、良い節目としてこの4年間で何があったか、私が何をしてきたかを振り返ってみたいなと思います。

1人目のUI/UXデザイナーとしてのジョイン

私がインターンとしてジョインした2017年7月頃、当時はどんなプロダクトを作っていくかとそのプロトタイピングについて、リードエンジニアの hiroqn と ryota-ka を筆頭にボードメンバーたる fabichirox と uxkong も含めてインターンや業務委託全員で検証しているフェーズでした。

このとき、正社員としてはまだデザイナーは1人もおらず、やることもたくさんありました。そして、インターンであってもデザインの部分に関してはそこそこの裁量で任せてもらっていたこともあり、楽しさのあまり私は2017年11月に大学院を中退して正社員として1人目の「UI/UXデザイナー」としてジョインすることとなります。今現在から振り返ってみると、当時の私は専門スキル部分ではまだ未熟は未熟だし、創業期のスタートアップにて新卒ポテンシャルで採用してもらったことは本当にありがたいなと思っています。

さて、経験のある方ならおわかりいただけると思うのですが、スタートアップにおける「1人目デザイナー」は相当に負荷がかかります。なぜならば事業の成長やプロダクト開発においてデザインが関係してくるタッチポイントに全て関わり、何かしら作る必要が出てくるからです。

プロダクトのUIデザイン、各種LPデザイン、マーケ周りでのグラフィックデザイン、ピッチ資料など会社として発信する全ての広報物、ノベルティ、挙げればキリはないですが、こうしたものたちをがむしゃらに作っていくのが私の役割でした。幸い、自分のスキルセットはプロダクトを立ち上げる初期のスタートアップとうまくフィットしており、それなりにバリューを出しつつ楽しく働いていたのですが、キャパシティを超えてしばらく体調を崩してしまうときもありました。

今思うともっとセーブしながら持続可能性のある働き方ができたかもなと思うのですが、とにかく当時は「自分にできることを頑張らねば」という一心で駆け抜けていました。

採用ドメインを扱う会社のデザイナー採用

2018年春頃からは、やるべきことも増え、デザイナーの手も足りなくなってきました。それに伴い、インターンの採用や採用広報文脈で自分自身のプレゼンス向上をはじめることとなります。

この頃に Twitter で Daily UI を100日間完遂して、ぼちぼちと界隈の方々に知ってもらえるようになったというのは個人的には大きな転換点だったと思います。

また同時にこの頃、母校の研究室の後輩であり、そして今現在は入社しており主力デザイナーとしてバリバリ活躍している Tohaya がインターンとしてジョインしました。おそらく、このタイミングでジョインしてくれなかったら私は本当に枯れ果ててしまうことになっていたと思います。ありがとう Tohaya(もちろん一緒に働いてきた期間もずっとだけどね)。

この頃から現在に至るまでずっと考えていたのは「採用に関するプロダクトを扱う会社であるのに、採用ができないのはさすがにダメでしょ」ということでした。特にデザイナー採用で言えばその専門性について判断できるのはほぼ私しかおらず、私がここを適当にしてしまったら大変なことになるという使命感がありました。加えて、自分自身が採用業務を行うことで一次情報としてのドメイン知識が得られて一石二鳥という部分もあります。

4年間を通じてデザイナー採用において得られた答えの一つがデザイナー向け採用資料です。

世の中の企業はデザイナーに対してふわっと万能さを求める人材要件があまりにも多すぎます。求職者側からしたらそんなスーパーデザイナーいないよ!とツッコんでしまうのですが、不思議なことに本当に多いです。自社でやっていること・必要なことに応じた的確かつ個別具体な人材要件をしっかり定義することで刺さるべき人には刺さるというのは発見でした。そして、人材要件はその職種の人にしか定義できないので、そういう面でスクラム採用という考え方は本当に理にかなっていると思います。

また、すぐに活躍してくれるような「いい感じのデザイナー」は採用市場においてほぼいません。もう一度言います。ほぼいません。いてもリファラル経由で転職潜在層のまま転職します。よって、自社でデザイナーを育てていく、あるいは共に育っていくというのが4年間で得られたもう一つの答えです。

先述の Tohaya に加えて、4月から正式にデザイナーとして入社してくれた Sally さん、そして現・旧デザイナーインターンの皆さんには本当に助けられました(そして逆に育てられました)。この場を借りて改めてお礼させてください。

プロダクト開発、アプリケーション設計するということ

UI/UXデザイナーとして私が4年間メインでやってきたことと言えば採用管理プラットフォーム「HERP Hire」を中心としたプロダクト開発およびアプリケーション設計です。しかしながら、大変奥が深いもので4年続けてもやっと「プロダクト開発チョットワカル」な状態です。

アプリケーション設計は、どこか一工程を切り取ってその部分だけを完全に分業できません。例えば、UIデザイン部分を切り取ってそれをデザイナーだけがやるということは本来無理です。前提となるシステムアーキテクチャへの理解はもちろん、機能追加と考えうる仕様案によってどう影響があるか、そこから生まれる制約、データとそのフロントエンドでの振る舞いを踏まえて、はじめてインターフェイスのデザインに着手できます。だからこそ同じコミュニケーションプロトコルにてエンジニアと協業することが大事です。

こうしたエンジニアリングとデザインが表裏一体な開発ができるようになったのは、優秀な同期のエンジニアである mazamachi と azoson が先達としてエンジニアリング部分の捉え方をビシバシ鍛えてくれたり、フロントエンドの防人である ryota-ka が毎度フィードバックをくれたことが大きいなと思います。ありがたい。

また、アプリケーション設計とプロダクト開発は密接に関わっているが別物でもあると実感する4年間でした。プロダクト開発では、アプリケーション設計を通じて顧客にとって価値のあるものを作り、そして実際に届ける必要があります。

BtoB SaaSという領域はレベニューモデルがはっきりとしており、プロダクトがもたらす価値の創出とデリバリができてはじめてMRRをはじめとした各ビジネス指標にインパクトを与えられます。プロダクト開発の中でこのビジネスへの影響も踏まえた意思決定や仕様策定をできたのは非常に良い経験となりました。

そしてHERPでは会社全体としてこの顧客への価値の部分にこだわり続ける文化があり、全員でそこにコミットする開発をできたのは非常に幸せだったなと思います。

なぜHERPを卒業するのか

気になるところとしては私がなぜHERPを卒業するのかという部分だと思うのですが、起業したい!とか喧嘩してこんな会社やめてやる!みたいな強い理由があるわけではありません。

4年間も社会人として、デザイナーとして働いていると本当に様々な変化があります。特にスタートアップはフェーズが変わるごとにやることも人も変わりますが、この変化は予めわかっていたものなので特に違和感なく当然と思っていました。そちらよりも、誤算だったのは自分自身を取り巻く環境の大きな変化とそれによる心境や志向性の変化でした。

ここ1年ほどでマンションを購入してパートナーと楽しく暮らしたり、休日の空いた時間で面白そうな仕事を副業としてお手伝いしたりと「人生は楽しくワクワクすることこそが他の何よりも大事」というスタンスで生きてきました。このスタンスで生きていると思考の根底にはいつも「これはとてもワクワクすることだろうか?しているだろうか?」「自分の人生の時間を費やしてまでしたいことだろうか?」という自身への問いが生まれます。

HERPでは現在四半期に1回評価面談があり、そのときに自分自身の仕事とその成果と向き合うことになりますが、このときに私が自身へ向ける「ワクワクしているか?」という問いで素直にYESと言えなくなってしまったのです。正直このとき自分としてはショックでした。それが大体半年前くらいのことになります。

では逆に、自分自身が「これはワクワクするな」「楽しそうだな」「時間をかけてやってみたいな」と思うことをじっくり時間をかけて考えてみると、そこにあったのは「デザイナーとして手段・手法・媒体問わずに幅広く生活を豊かにしたい」ということでした(不思議なことに大学・大学院で教えられた fundamental なデザインに回帰するんだなあと思いました)。それまでは、採用という大きい特定のドメインにおいてデザインを通じて価値を生み、より良い世の中にするという志向が強かったのに、もっとマクロに、そして自らの暮らしの延長線上に乗っかってくる豊かさを追求したいという志向性がいつの間にか強くなっていました。

HERPは、採用という領域を通じて世の中と世の中の仕組みを変えていくことを掲げている会社です。私が仕事あるいは会社に求める機会と会社が期待する役割・成果が異なっているのにもかかわらず、そこに居続けるのはお互いあまりハッピーではないので、それならば卒業するのがいいかな、という流れになります。

4年間も在籍していたので会社もメンバーもみんなとても大好きという面で寂しさはあるのですが、十分考えた上でかなり納得感のある意思決定ができたので個人的には人生スパンで捉えたときに正解なのかなと思っています。

これから何をするのか

実は何も決まっていません。というよりもまだ敢えて決めていません。先述の「デザイナーとして手段・手法・媒体問わずに幅広く生活を豊かにしたい」という軸で何となく仕事として成立することはないかなと探したり、興味ある人や会社に連絡してお話したりしている最中です。

しばらくお金があるうちは無職をしたりゆるくフリーランスっぽく動こうとは思っていますが、せっかく全ての制約がない状態でフラットに考えられる良い機会なのでぼちぼち探っていこうかなと思っています。

また、時間だけはあるので面白そうなことをやっていたりなんか話そうぜー!という方はTwitterなどで連絡いただければオンラインでおしゃべりしましょう。お待ちしております!

最後に

現在HERPでは各職種絶賛募集中です!
UI/UXデザイナーももちろん募集しており、直近の開発だと中〜大規模かつビジネス的にも直接インパクトがある機能を多数進めています。手強いが確実に大きな価値をもたらす開発をしていきたいチャレンジングなデザイナーはぜひ応募してみてくださいね。

私は去る者ではあるのですが、心から推せる会社・開発チームなので興味のある方は私からお話できるので気軽にDMなどしてください!

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