保育士さんが仕事を辞めた

 教育関係の仕事、やりがいはすごくありますが、めちゃくちゃ苦しい時期がありますよね。

1.うちの子の副担任が辞めた

 うちの子のクラスの副担任の保育士さんが辞めたことを保育園の掲示で知りました。「一身上の都合」と書かれていましたが、新卒だったという点や、送り迎えのときの様子からも多分、心身を壊した、もしくは壊しそうになったから辞めたんだろうなあと勝手に想像しています。

 私も塾講師の正社員で5年以上働いてきました。辞めたくなる気持ちは非常にわかります。
 小学生から高校生と対応する塾講師よりも、0歳児から小学校入園前の子どもの面倒を見る保育士のほうがずっと負担は大きいはずなので、私が想像するよりももっと壮絶な苦しみ、葛藤があった可能性もあります。

2.教育関係の仕事の苦しさ

 前提として、教育関係の仕事を選ぶ人の多くは「子どもが好き」「人の役に立ちたい」「〇〇先生のようになりたい」「自分の学生生活が良くなかったから、自分はいい先生になりたい」といった純粋な想いを持っている人が多いです。

 もちろん、そういった想いを「おこがましい」と切り捨てることもできます。いわゆる「でもしか先生」(先生でもやるか、先生にしかなれない)のほうがそういった想いがないから、仕事と割り切って長く続けたり、生徒に対してあまり思い入れがないからいい距離感で生徒、保護者と接し、評判が良いなんてこともあるのですが。

 そういった教育関係の仕事に想いがある人は、教育現場に立ったときギャップに傷つきます。自分の想いを子どもや保護者に伝え、ギャップを埋めようともがけばもがくほど空回り、子どもや保護者からの信用を得られない。それはそうですよね。先生の想いなんて、生徒や保護者からすればどうでもいいことですし、
 また、日々の業務負荷も大きく、「子どものためにがんばろう」といった周りからの同調圧力も苦しいです。歴が浅いうちは特に苦しむと思います。私だって子どものためにがんばろうと思っているのに、身体と心がついてこないといった自身に対する不甲斐なさがより自分を痛めつけるのです。

 真面目な人ほどそういったギャップに苦しみ、周りの先生からの圧を感じて「助けて」と言えないまま潰れていくのが私が感じていた教育業界です。もう5年以上前の体験をベースにしており、世の中的にも「先生の働き方」にメスが入っているので改善していてほしいのですが。

3.特に保育士さんは厳しい?

 保育士さんの場合、言葉も通じない0歳児を相手にするため、その苦労は想像を絶すると思います。親として1人の子どもを3歳まで育てましたが、1対1でもとてもなく苦しいのに、複数人の子ども、しかも他人の子どもを世話するのは緊張と責任で押しつぶされても仕方ないと思うのです。
 しかも、子ども同士の些細なトラブルも逐一保護者に報告する必要もあります。保護者によっては事を大きくする可能性もあり、そういったプレッシャーもあると思います。

 私もうちの子が「本棚の本を背伸びして取ろうとして、本が押してきて頭にぶつかった」とか「階段で友達とふざけていたら手すりに頭をぶつけた」とか報告を受けます。
 保育士の方は申し訳なさそうに報告するのですが、私の方こそ手のかかる子どもでごめんなさい。という気持ちで聞いています。普段の家での様子を知っているので、それぐらいで済んでよかったという安心感も覚えるのです。
 しかし、そう思わない保護者の方がいるのもまた事実です。お迎えに行った際、保育士さんと保護者の方が険悪な雰囲気を放っている姿を見たことがあります。

 信頼関係がなければ、「保育士の方が都合のいいことを言っている」と疑ってしまう保護者もいるのかもしれません。特に下のクラスだと子どもは自分の身に起きたことを説明ができません。
 おそらくそういったリスクに備え、保育士さんは過剰に下手に出ていると思いますが、一方で保育士さんのストレスが心配になります。

 保育園は学校よりも稼働時間が長く、7時から20時ぐらいまで営業しています。そうなるとシフト制で業務を回すしかありません。トラブルが起きていたときに見ていた保育士さんがシフトの都合でお迎えのときに説明できず、そのときのことを知らない別の保育士さんが保護者に説明し、詰められる、なんてこともあり得るわけです。もしくは、シフト上では退勤時間を過ぎているが、保護者にしっかりと説明するためにも残業して対応する、なんてこともあり得ます。

 想像になってしまいますが、これらのことからも保育士さんの置かれた環境はかなり厳しいと思うのです。また、「いい保育園の先生になろう」と志が高い人ほど現実に打ちひしがれるのでしょう。

 

4.実は2回目の出来事

 うちの子が今の保育園に通園しはじめてから、新卒の先生が辞めるのは2回目です。1歳児クラスに上がったとき、新卒の保育士さんが副担任だったのですが、ゴールデンウィーク明けに退職されていました。
 この退職の頻度が高いのか低いのかはわかりませんが、このことからも厳しい環境に置かれているのだろうなと思うのです。

 期間の長さに関係なく、うちの子を見ていただいたのは間違いありません。そして、退職された2人も誰かのかけがえのないお子さんです。
 どこかでおふたりが健やかに生活できていればいいなと思っています。

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